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第1章 薬師大学校編
40話 仮面の老人
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扉を閉めた仮面の老人は、笑いたい衝動を抑えていた。
私は扉を閉めた後、笑いが込み上げて来たのだ。
やっと私の計画が始まる。
「この扉には誰も近付け無いように。
もちろん、中にいる者達は外に出してはならんぞ。」
私は部屋の入り口に待機していた者に、リョウも部屋の外に出さないように伝えたのだ。
彼はきっと私の期待に応える事は無いだろう。
あの黒髪の娘を連れて来たのも、何らかの策があるのだろう。
心から私の考えに共感していない事は分かっていた。
それでも彼は私の計画の為には必要な駒であった。
何か策を練っているのかも知れないが、それでも私の計画は変わらないのだ。
やっと、先祖の思いを継ぐ事が出来るのだ。
我一族に語り継がれていたこと。
『黒髪の娘現れる時、魔人に災いをもたらす。
その時こそ、我らが動く時。』
あれから五百年という歳月の中、本当に魔人達が現れると思っていた人達はどのくらいいただろうか?
我一族でさえ、ほとんどの者が考えていなかったはず。
私は子供の頃に代々語り継がれていた言葉を聞いて、何故か頭から離れなかったのだ。
気になったものの、色々な書物を読んでも人魔戦争について詳しく書かれている物は一切なかった。
どの書物も戦いの末、人間達が勝利し魔人達は別の世界に消えて行ったとしか書かれていないのだ。
しっかりと戦いについて記録されている書物が無いとは、王室による情報管理がなされたと思われるのだ。
だが、私は長い年月が経っても、忘れる事は無かったのだ。
少しずつではあるがその戦争の状況を示す物を集めたのだ。
我一族の先祖は魔人討伐を掲げる集団を導く者の一人であった事。
そして魔人の攻撃によって命を落とした事がわかったのだ。
だが、王家を一時軟禁したこともあり、彼らは英雄とはならなかった。
しかし、私の中では魔人を追い出し、人間だけの世界を作った素晴らしい英雄なのだ。
その世界を作り出した先祖の功績を、我らは継がなければならないのだ。
多少の犠牲があっても、それが正しい道であるのだ。
そして、今日私はその偉業を継ぐのだ・・・
私はその館を出ると、城がある中心部へ向かった。
同志達はすでに準備をしてくれているのだ。
後は国民を味方につける事。
その為に私は、有識者、軍関係者などを今まで上手く取り込んで来たのだ。
いつか現れるであろう魔人達に対抗するべく準備をして来たのだ。
昔と違い、武力で対抗が無理なのはわかっていた。
特に今の軍部はあのシウン大将の下、強力な軍隊が結成されているのだ。
だが、今は言論の力も同じくらい世の中を動かす事が出来ると私は知っている。
こんな老いぼれになってしまったが、私が生きている時に得られたこの機会を無にする訳にはいかない。
あの黒髪の娘が現れた事が、今行動すべきという証なのだ。
そして、あの娘の作る薬は最後の砦と言えるのだ。
用意された馬車の中で、私は仮面を外したのだ。
窓に映る私の老いた顔は、いつもの生真面目な顔と違い喜びに満ち溢れていたのだ。
馬車が街の中心である城の近くに着くと、私は城と大学校の間に位置する暗い公園に向かったのだ。
慣れ親しんだこの場所から始まるのだ・・・
私は扉を閉めた後、笑いが込み上げて来たのだ。
やっと私の計画が始まる。
「この扉には誰も近付け無いように。
もちろん、中にいる者達は外に出してはならんぞ。」
私は部屋の入り口に待機していた者に、リョウも部屋の外に出さないように伝えたのだ。
彼はきっと私の期待に応える事は無いだろう。
あの黒髪の娘を連れて来たのも、何らかの策があるのだろう。
心から私の考えに共感していない事は分かっていた。
それでも彼は私の計画の為には必要な駒であった。
何か策を練っているのかも知れないが、それでも私の計画は変わらないのだ。
やっと、先祖の思いを継ぐ事が出来るのだ。
我一族に語り継がれていたこと。
『黒髪の娘現れる時、魔人に災いをもたらす。
その時こそ、我らが動く時。』
あれから五百年という歳月の中、本当に魔人達が現れると思っていた人達はどのくらいいただろうか?
我一族でさえ、ほとんどの者が考えていなかったはず。
私は子供の頃に代々語り継がれていた言葉を聞いて、何故か頭から離れなかったのだ。
気になったものの、色々な書物を読んでも人魔戦争について詳しく書かれている物は一切なかった。
どの書物も戦いの末、人間達が勝利し魔人達は別の世界に消えて行ったとしか書かれていないのだ。
しっかりと戦いについて記録されている書物が無いとは、王室による情報管理がなされたと思われるのだ。
だが、私は長い年月が経っても、忘れる事は無かったのだ。
少しずつではあるがその戦争の状況を示す物を集めたのだ。
我一族の先祖は魔人討伐を掲げる集団を導く者の一人であった事。
そして魔人の攻撃によって命を落とした事がわかったのだ。
だが、王家を一時軟禁したこともあり、彼らは英雄とはならなかった。
しかし、私の中では魔人を追い出し、人間だけの世界を作った素晴らしい英雄なのだ。
その世界を作り出した先祖の功績を、我らは継がなければならないのだ。
多少の犠牲があっても、それが正しい道であるのだ。
そして、今日私はその偉業を継ぐのだ・・・
私はその館を出ると、城がある中心部へ向かった。
同志達はすでに準備をしてくれているのだ。
後は国民を味方につける事。
その為に私は、有識者、軍関係者などを今まで上手く取り込んで来たのだ。
いつか現れるであろう魔人達に対抗するべく準備をして来たのだ。
昔と違い、武力で対抗が無理なのはわかっていた。
特に今の軍部はあのシウン大将の下、強力な軍隊が結成されているのだ。
だが、今は言論の力も同じくらい世の中を動かす事が出来ると私は知っている。
こんな老いぼれになってしまったが、私が生きている時に得られたこの機会を無にする訳にはいかない。
あの黒髪の娘が現れた事が、今行動すべきという証なのだ。
そして、あの娘の作る薬は最後の砦と言えるのだ。
用意された馬車の中で、私は仮面を外したのだ。
窓に映る私の老いた顔は、いつもの生真面目な顔と違い喜びに満ち溢れていたのだ。
馬車が街の中心である城の近くに着くと、私は城と大学校の間に位置する暗い公園に向かったのだ。
慣れ親しんだこの場所から始まるのだ・・・
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