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第1章 薬師大学校編
21話 ブラックの不安
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昨夜の精霊は、眠ってしまった舞を抱き上げベッドに寝かせたのだ。
そして舞の寝顔を見ながら考えていたのだ。
それにしても、舞から聞いた話には驚きばかりだった。
やはりあの指輪に宿し者達は、私なんかよりもっといにしえから存在していた。
自分よりも格上である事は、見ただけでわかってはいたのだが、三つの世界が実はつながっていた事が驚きだったのだ。
私、いや森の記憶の始まりは、私が若木で立っており何も無い世界だったはず。
黒い影達は、私が存在する前から闇に息を潜めていたとは・・・
弱点が聞けたことは良かった。
強い光・・・考えなくては。
だが、スヤスヤと横で眠っている舞を見ていると、今は難しいことは考えたくなくなったのだ。
舞が不安で眠れないと言っていたので、さりげなく気持ちを楽にする植物の香りで包んであげたのだ。
舞の白い頬は少しだけ赤みをさして、唇も優しいピンク色に潤んでいたのだ。
そんな舞を見ているとつい触れたくなって、眠っている舞の頭を撫でて頬に手を置いたのだ。
私の心は舞を思う気持ちで溢れた。
・・・やっぱりブラックには渡したく無い。
私は舞の頬にそっとキスすると、その場から移動したのだ。
そして私や舞の生活を脅かす者は絶対に排除しなければと強く思ったのだ。
○
○
○
魔人の国の城に戻ったユークレイスは、本当に舞がこっちの世界に来ている事をブラックに言わなくて良いのか悩んでいた。
後で何で言わなかったのかと怒られるのが嫌だったのだ。
アクアと違って、怒られ慣れているわけでは無いのだ。
とにかく人間の国であった事を報告する為に、ブラックの執務室をノックして入ったのだ。
中に入るとブラックが険しい顔をして椅子に腰掛けていたのだ。
横でネフライトがどうしたら良いかと、困ったような顔をこちらに向けたのだ。
「ブラック様、人間の国で起こった事の報告があります。」
私がそう言うと即座にブラックが答えたのだ。
「ちょっと待ってくれ、ユークレイス。
話を聞きたいのだが、心配な事があって・・・どうしたら良いかと考えているのです。」
私はネフライトに目をやると小声で教えてくれたのだ。
「舞殿に渡したペンダントの石の魔力が減ったらしく、心配で何も手につかないのですよ。
何かあったのでは無いかと・・・
だが、向こうの世界に行くことも出来ないわけで、困ったものです。」
それを聞いて、ますます黙っていて良いのか不安になったのだ。
それは正しく、学校で私が魔法をかけた時に結界が働いて、魔力が減ったことに他ならないのだ。
それを知ってて黙っている事が心苦しかったのだ。
私は冷や汗を顔や背中にかき始めたのだ。
「ブラック様・・・実は・・・」
私が我慢できず声をかけた時、バタンと執務室の扉が開いたのだ。
「ブラック、人間の国で大変な事があったぞ。
あの黒い影の集団が人間を侵食しててな、まあ我らがいた事で問題なかったのだがな。
あ、ユークレイスからもう聞いていたか。
それと、もっと面白い事があったのだぞ。
まあ、それは簡単には言えないのだがな、はっはっはっ。」
アクアがいきなり入ってきて、そんな勿体ぶった言い方をしたのだ。
アクアの言い方に、勘の良いブラックは何かピンと来たのかアクアに詰め寄ったのだ。
「アクア、一体何があったと言うのですか?
言いたくて仕方ないような感じですね。」
「いや、そんな事は無いぞ。
私は口が固いからな、はは。」
「まあ、いいでしょう。
ユークレイスに聞けばわかる事ですからね。
さあ、話してください。」
今度は私に詰め寄ってきたのだ。
これでは私がバラしたことになる。
アクアがあんな態度をして無ければ・・・
「あ、ユークレイス、口止めされたのに言ってしまうのだな。
私と違って口が軽いのだなー」
そう言ってそそくさと、アクアは部屋を出ていってしまったのだ。
そして残された私は、魔人の王の追求に耐える事ができなかったのだ。
アクアには絶対に仮を返してもらおうと誓ったのだ。
そして舞の寝顔を見ながら考えていたのだ。
それにしても、舞から聞いた話には驚きばかりだった。
やはりあの指輪に宿し者達は、私なんかよりもっといにしえから存在していた。
自分よりも格上である事は、見ただけでわかってはいたのだが、三つの世界が実はつながっていた事が驚きだったのだ。
私、いや森の記憶の始まりは、私が若木で立っており何も無い世界だったはず。
黒い影達は、私が存在する前から闇に息を潜めていたとは・・・
弱点が聞けたことは良かった。
強い光・・・考えなくては。
だが、スヤスヤと横で眠っている舞を見ていると、今は難しいことは考えたくなくなったのだ。
舞が不安で眠れないと言っていたので、さりげなく気持ちを楽にする植物の香りで包んであげたのだ。
舞の白い頬は少しだけ赤みをさして、唇も優しいピンク色に潤んでいたのだ。
そんな舞を見ているとつい触れたくなって、眠っている舞の頭を撫でて頬に手を置いたのだ。
私の心は舞を思う気持ちで溢れた。
・・・やっぱりブラックには渡したく無い。
私は舞の頬にそっとキスすると、その場から移動したのだ。
そして私や舞の生活を脅かす者は絶対に排除しなければと強く思ったのだ。
○
○
○
魔人の国の城に戻ったユークレイスは、本当に舞がこっちの世界に来ている事をブラックに言わなくて良いのか悩んでいた。
後で何で言わなかったのかと怒られるのが嫌だったのだ。
アクアと違って、怒られ慣れているわけでは無いのだ。
とにかく人間の国であった事を報告する為に、ブラックの執務室をノックして入ったのだ。
中に入るとブラックが険しい顔をして椅子に腰掛けていたのだ。
横でネフライトがどうしたら良いかと、困ったような顔をこちらに向けたのだ。
「ブラック様、人間の国で起こった事の報告があります。」
私がそう言うと即座にブラックが答えたのだ。
「ちょっと待ってくれ、ユークレイス。
話を聞きたいのだが、心配な事があって・・・どうしたら良いかと考えているのです。」
私はネフライトに目をやると小声で教えてくれたのだ。
「舞殿に渡したペンダントの石の魔力が減ったらしく、心配で何も手につかないのですよ。
何かあったのでは無いかと・・・
だが、向こうの世界に行くことも出来ないわけで、困ったものです。」
それを聞いて、ますます黙っていて良いのか不安になったのだ。
それは正しく、学校で私が魔法をかけた時に結界が働いて、魔力が減ったことに他ならないのだ。
それを知ってて黙っている事が心苦しかったのだ。
私は冷や汗を顔や背中にかき始めたのだ。
「ブラック様・・・実は・・・」
私が我慢できず声をかけた時、バタンと執務室の扉が開いたのだ。
「ブラック、人間の国で大変な事があったぞ。
あの黒い影の集団が人間を侵食しててな、まあ我らがいた事で問題なかったのだがな。
あ、ユークレイスからもう聞いていたか。
それと、もっと面白い事があったのだぞ。
まあ、それは簡単には言えないのだがな、はっはっはっ。」
アクアがいきなり入ってきて、そんな勿体ぶった言い方をしたのだ。
アクアの言い方に、勘の良いブラックは何かピンと来たのかアクアに詰め寄ったのだ。
「アクア、一体何があったと言うのですか?
言いたくて仕方ないような感じですね。」
「いや、そんな事は無いぞ。
私は口が固いからな、はは。」
「まあ、いいでしょう。
ユークレイスに聞けばわかる事ですからね。
さあ、話してください。」
今度は私に詰め寄ってきたのだ。
これでは私がバラしたことになる。
アクアがあんな態度をして無ければ・・・
「あ、ユークレイス、口止めされたのに言ってしまうのだな。
私と違って口が軽いのだなー」
そう言ってそそくさと、アクアは部屋を出ていってしまったのだ。
そして残された私は、魔人の王の追求に耐える事ができなかったのだ。
アクアには絶対に仮を返してもらおうと誓ったのだ。
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