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第1章 薬師大学校編
20話 光
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どうしたら良いかと考えていると、私を呼ぶ声がしたのだ。
振り向くとカクが温室から出て来た。
「舞、何かあったの?」
私はカクを見た後、目線を黒い影に侵食された先生に向けたのだ。
カクはその方向を見て固まったのだ。
私はふとカクの出てきた温室を見て思ったのだ。
あそこには強い光が集まっているはず。
ただあの場所にそのまま引き込む事は無理なのだ。
やっぱり分離するだけで精一杯なのだろうか。
そう思っていた時、カクは私が何を考えているかわかったようなのだ。
「舞、上手くいくかも。」
カクはそう言って温室へと駆け出すと、あるハンドルを回し始めたのだ。
それを見た私は黒い影達に向かって叫んだのだ。
「いったいあなた達の希望は何なの?」
すると、黒い影達は私に思念を送ってきたのだ。
『・・・我らの繁栄が全て。
この世界にあのお方をお呼びする為の準備が必要なのだ。』
そう伝えながら、侵食された先生はこちらに歩いてきたのだ。
「あのお方って、この世界が一つだった頃から存在する者よね。
その者はこの世界にいる事を許されなかったはず。
あなた達も元の世界に戻らなくてはならないはずよ。」
『何故その事を知っている・・・
お前は何者だ!』
「知りたかったら、私の中に入ることね。
入れればだけど。」
私はそう言って、ただならぬ雰囲気に圧倒されていたケイトの手を取り、カクの待つ温室に走ったのだ。
私達が温室に着いた時は、もうすでに外からの光は遮断され、薄暗い場所となっていたのだ。
ただ、部屋の外よりもだいぶ気温が高くなっており、そこがさっきまで明るい日差しを浴びていた温室である事を物語っていたのだ。
私達が温室の奥に進むと侵食された先生も入ってきた。
それを見たカクはそっと温室の入り口を閉じたのだ。
そして私はケイトの手を取り、入ってきた先生を見ると、先生の中にいた黒い影の集団の一部が、私達の方に矢のような形になり向かってきたのだ。
少しだけ怖かったが、私にはブラックから貰ったペンダントといざとなれば助けてくれる指輪があるのだ。
私はケイトに手を離さないように伝え、意を決してその黒い影の矢を身体で受け止める事にした。
すると黒い影の矢が当たる直前に、私とケイトを青白い光が包み込み、黒い影の矢は弾かれたのだ。
予想通り、ブラックのペンダントの魔力が私達の周囲に結界を作り出し、黒い影の集団は私達に何もする事はできなかったのだ。
『何故だ!
たかが、人間のくせに・・・』
黒い矢になった集団は先生の体に戻ると悔しそうにそう思念を送ってきたのだ。
「そうよ、たかが人間。
でもね、あなた達の思う通りにはいかない事はあるのよ。」
そう言いながら私は鞄からある薬を取り出したのだ。
そして近づいて来た侵食された先生に、その薬を投げつけたのだ。
すると、破裂した小さなボールから明るい光が立ち昇り、あっという間に先生を包んだのだ。
すると、先生の頭上に黒い霧のような影の集団が湧き出て来たのだ。
先生はその場にゆっくりと倒れ込んだ。
私はそれを見て叫んだのだ。
「カク、今よ。
屋根を全開放して!」
その指示を待っていたかのように、カクがさっき回したハンドルを素早く逆に回し始めたのだ。
さっきまで温室全体を囲んでいた屋根と壁が折り畳まれたカーテンの様に収まっていき、それと同時に眩しい光が差し込んできたのだ。
丁度お昼過ぎの日差しは真上から差して、殆ど影を作ることもなかったのだ。
暗いところから一気に眩しい空間に変わり、誰もが直視できない状況であった。
その時、叫び声の様な思念が私の頭に響いたのだ。
そして目を細めながら、目前の黒い影の集団を見ると黒い塵の様になり下にパラパラと落ちていったのだ。
私は安心してゆっくりと息をついたのだ。
手を繋いでいたケイトは床に座り込んで放心状態のようだった。
ここにユークレイスがいればと思ったが、仕方がない。
ただ、彼女への影響力の大きいカク先生がいることが救いだった。
「舞、大丈夫だった?
彼女も怖い思いをしたよね。」
そう言ってケイトを見たのだ。
私はこっそりとカクに話したのだ。
「私は大丈夫。
それより彼女を気遣って、他言無用である事をしっかりと言って欲しいの。
彼女、カクの大ファンだから、きっと言う事を聞くはず。」
カクは少し不思議な顔をしたが、すぐにケイトの前に座り込み、彼女を真っ直ぐに見たのだ。
「ケイトさん、怖かったよね。
もう安心して、大丈夫だから。
あの怖い影はいなくなったから。
舞にはその調査で以前から手伝ってもらっていたんだよ。
他の人が知ったらみんな心配するから、ここで見た事は内緒にしてくれるかな?
先生と約束してくれる?」
そう言って、ケイトの手を取り目を見つめたのだ。
私の考えがうまく伝わったようで、カクの演技は素晴らしかったのだ。
さっきまで放心状態だったケイトの目が生き生きとして、顔が紅潮しているのがわかった。
「はい、わかりました。
先生との約束は絶対守ります。」
そう言ってカクを見つめ直したのだ。
私はすかさず、さっきケイトから預かった物をカクに渡したのだ。
「ケイトからのプレゼントだって。」
「ああ、ありがとう。
じゃあ、二人には授業の準備を手伝ってもらおうかな。
ケイトさん、準備室からみんなに配る資料を持ってきてくれる?」
そう言うと、ケイトは元気に返事をして駆け出したのだ。
カクに目をやると、ドッと疲れた表情をしていたのだ。
「舞、僕に何をやらせるんだよ。
あの黒い影の集団に遭遇した事自体恐ろしかったのに・・・」
「ごめんね。
でも、カクは私の考えている事が何でもわかるみたい。
すごいよ。
心が繋がってるみたいね。」
わたしがそう大袈裟に言うと、まんざらでも無い顔をしたのだ。
倒れていた魔鉱力学の先生も目を覚まし、何故ここにいるのかというような不思議な顔をしていたのだ。
そして、カク先生の授業は問題なく始まったのだ。
振り向くとカクが温室から出て来た。
「舞、何かあったの?」
私はカクを見た後、目線を黒い影に侵食された先生に向けたのだ。
カクはその方向を見て固まったのだ。
私はふとカクの出てきた温室を見て思ったのだ。
あそこには強い光が集まっているはず。
ただあの場所にそのまま引き込む事は無理なのだ。
やっぱり分離するだけで精一杯なのだろうか。
そう思っていた時、カクは私が何を考えているかわかったようなのだ。
「舞、上手くいくかも。」
カクはそう言って温室へと駆け出すと、あるハンドルを回し始めたのだ。
それを見た私は黒い影達に向かって叫んだのだ。
「いったいあなた達の希望は何なの?」
すると、黒い影達は私に思念を送ってきたのだ。
『・・・我らの繁栄が全て。
この世界にあのお方をお呼びする為の準備が必要なのだ。』
そう伝えながら、侵食された先生はこちらに歩いてきたのだ。
「あのお方って、この世界が一つだった頃から存在する者よね。
その者はこの世界にいる事を許されなかったはず。
あなた達も元の世界に戻らなくてはならないはずよ。」
『何故その事を知っている・・・
お前は何者だ!』
「知りたかったら、私の中に入ることね。
入れればだけど。」
私はそう言って、ただならぬ雰囲気に圧倒されていたケイトの手を取り、カクの待つ温室に走ったのだ。
私達が温室に着いた時は、もうすでに外からの光は遮断され、薄暗い場所となっていたのだ。
ただ、部屋の外よりもだいぶ気温が高くなっており、そこがさっきまで明るい日差しを浴びていた温室である事を物語っていたのだ。
私達が温室の奥に進むと侵食された先生も入ってきた。
それを見たカクはそっと温室の入り口を閉じたのだ。
そして私はケイトの手を取り、入ってきた先生を見ると、先生の中にいた黒い影の集団の一部が、私達の方に矢のような形になり向かってきたのだ。
少しだけ怖かったが、私にはブラックから貰ったペンダントといざとなれば助けてくれる指輪があるのだ。
私はケイトに手を離さないように伝え、意を決してその黒い影の矢を身体で受け止める事にした。
すると黒い影の矢が当たる直前に、私とケイトを青白い光が包み込み、黒い影の矢は弾かれたのだ。
予想通り、ブラックのペンダントの魔力が私達の周囲に結界を作り出し、黒い影の集団は私達に何もする事はできなかったのだ。
『何故だ!
たかが、人間のくせに・・・』
黒い矢になった集団は先生の体に戻ると悔しそうにそう思念を送ってきたのだ。
「そうよ、たかが人間。
でもね、あなた達の思う通りにはいかない事はあるのよ。」
そう言いながら私は鞄からある薬を取り出したのだ。
そして近づいて来た侵食された先生に、その薬を投げつけたのだ。
すると、破裂した小さなボールから明るい光が立ち昇り、あっという間に先生を包んだのだ。
すると、先生の頭上に黒い霧のような影の集団が湧き出て来たのだ。
先生はその場にゆっくりと倒れ込んだ。
私はそれを見て叫んだのだ。
「カク、今よ。
屋根を全開放して!」
その指示を待っていたかのように、カクがさっき回したハンドルを素早く逆に回し始めたのだ。
さっきまで温室全体を囲んでいた屋根と壁が折り畳まれたカーテンの様に収まっていき、それと同時に眩しい光が差し込んできたのだ。
丁度お昼過ぎの日差しは真上から差して、殆ど影を作ることもなかったのだ。
暗いところから一気に眩しい空間に変わり、誰もが直視できない状況であった。
その時、叫び声の様な思念が私の頭に響いたのだ。
そして目を細めながら、目前の黒い影の集団を見ると黒い塵の様になり下にパラパラと落ちていったのだ。
私は安心してゆっくりと息をついたのだ。
手を繋いでいたケイトは床に座り込んで放心状態のようだった。
ここにユークレイスがいればと思ったが、仕方がない。
ただ、彼女への影響力の大きいカク先生がいることが救いだった。
「舞、大丈夫だった?
彼女も怖い思いをしたよね。」
そう言ってケイトを見たのだ。
私はこっそりとカクに話したのだ。
「私は大丈夫。
それより彼女を気遣って、他言無用である事をしっかりと言って欲しいの。
彼女、カクの大ファンだから、きっと言う事を聞くはず。」
カクは少し不思議な顔をしたが、すぐにケイトの前に座り込み、彼女を真っ直ぐに見たのだ。
「ケイトさん、怖かったよね。
もう安心して、大丈夫だから。
あの怖い影はいなくなったから。
舞にはその調査で以前から手伝ってもらっていたんだよ。
他の人が知ったらみんな心配するから、ここで見た事は内緒にしてくれるかな?
先生と約束してくれる?」
そう言って、ケイトの手を取り目を見つめたのだ。
私の考えがうまく伝わったようで、カクの演技は素晴らしかったのだ。
さっきまで放心状態だったケイトの目が生き生きとして、顔が紅潮しているのがわかった。
「はい、わかりました。
先生との約束は絶対守ります。」
そう言ってカクを見つめ直したのだ。
私はすかさず、さっきケイトから預かった物をカクに渡したのだ。
「ケイトからのプレゼントだって。」
「ああ、ありがとう。
じゃあ、二人には授業の準備を手伝ってもらおうかな。
ケイトさん、準備室からみんなに配る資料を持ってきてくれる?」
そう言うと、ケイトは元気に返事をして駆け出したのだ。
カクに目をやると、ドッと疲れた表情をしていたのだ。
「舞、僕に何をやらせるんだよ。
あの黒い影の集団に遭遇した事自体恐ろしかったのに・・・」
「ごめんね。
でも、カクは私の考えている事が何でもわかるみたい。
すごいよ。
心が繋がってるみたいね。」
わたしがそう大袈裟に言うと、まんざらでも無い顔をしたのだ。
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