15 / 151
第1章 薬師大学校編
15話 舞の思い
しおりを挟む
舞はオウギ王やヨク達が議論している間、色々な事を思い出していた。
私は以前から少し思う事があった。
黒い影の集団は、魔人の森を侵食してエネルギーを吸い取っていた時、なぜか魔獣は操るという選択をしたのだ。
そして、黒翼人のクロルの中に入り込んだ時も、エネルギーを吸い取り消滅の方向ではなくあえて操り、兄であるブロムと戦わせたような気がしてならなかった。
もしかすると植物と違って、上手くエネルギーを吸い取れないのか?
もしくは、誰かの意図が存在したのだろうか?
今回教室に現れた黒い影達も、今まで見たものと同じ選択であったのだ。
そう考えると、この黒い影達を動かしている者がいるのかもしれない。
それはとても恐ろしい存在だと思うのだ。
黒い影は人を操る事もでき、姿形などもコピーする事もできるはず。
力や能力までは無理でも、誰かの記憶にある者の姿にはなる事が出来るのだ。
人間の世界でそんな事が起きてしまったら・・・
考えただけで恐ろしく、私はこの場で発言する事は出来なかった。
やはり、あの洞窟の閉鎖が一番良いのかもしれない。
そう思っていた時、オウギ王が口を開いた。
「今回の件は再度対策を練ることにしよう。
魔人のお二人がいたおかげで大事には至らなかった事、大変感謝しておりますぞ。
ブラック殿に状況をお伝え願いたい。」
そう言って、オウギ王はユークレイスを見たのだ。
「かしこまりました。
すぐに状況を報告いたします。
では、我々はここで失礼いたします。」
そう言うと、二人は執務室を出たのだ。
「私も失礼します。
二人と少し話したい事があるので。」
私はそう言ってみんなに頭を下げると、急いで二人の後を追ったのだ。
「二人とも待って。
話したい事があるのよ。」
追いかけて来た私を見るなり、アクアが噛みついてきた。
「舞、あの偏屈な老人は何だ。
王が立派であっても、あんな奴が近くにいるなんて、問題だな。
我々が来なければもっと大変なことになったと言うのに。」
「ええ、その通りだわ、アクア。
あの学長の言い方はひどいわね。
でも、王様は感謝していると思うわ。」
「ああ、王があんな奴でなくて良かったよ。」
そんなことをアクアが言っている横でユークレイスが私に目を向けたのだ。
「舞殿、私達からも聞きたいことがありました。」
「そうだ、舞は何であんなところにいたんだ?
ブラックは知っているのか?」
アクアにそう言われ、私は一瞬言葉に詰まったのだ。
そして、ゆっくりと二人を見つめた後言ったのだ。
「ええと・・・まだブラックにはここに来ている事は言わないでほしいの。」
それを聞くと、二人の魔人は顔を見合わせ不思議な顔をしたのだ。
私達はカクとヨクのお屋敷で、少し話をすることにした。
アクアの腕に掴まると、私達は一瞬でお屋敷の前に移動したのだ。
魔人の力は本当にすごいと、いつも感心するばかりなのだ。
お屋敷の中に入ると、二人にお茶を出しながら自分の思うことを話したのだ。
さっきは言えなかった事・・・あの黒い影達が人間の世界に来ることの恐ろしさを伝えたのだ。
「それこそ、ブラックと相談するのがいいのでは無いか?」
アクアはそう言って、目の前のお菓子を貪っていた。
ユークレイスもお茶を置くと、私を見て口を開いた。
「ブラック様にどうしてこちらに来ていることを言わないのですか?
何かお考えでも?」
「大したことでは無いのよ。
こっちでの生活が軌道に乗ったら、会いに行こうかとは思っているの。
今ブラックに会ってしまったら、こっちでの勉強がおろそかになりそうで・・・怖いのよ。
だから、もう少し黙っていてくれないかしら?
ちゃんとそのうち会いに行くから。」
私は二人に今の気持ちをそう伝えたのだ。
本音は今すぐ会いに行きたいのだ。
でも、頑張れた自分のご褒美として、取っておこうと思ったのだ。
「わかりました。
そう言うことなら・・・ただ、アクアが黙っていられるかは不明ですが。」
ユークレイスはそう言ってアクアを見たのだ。
「ブラックに隠し事は面白いから問題ないぞ。」
アクアはそう言ってニヤついたのだ。
とにかく、今は黒い影の対策なのだ。
シウン大将は他に侵食された者はいないと言っていたが、私は不安でならなかった。
あの黒い影達が、すでに別の人間に移っているかもしれないのだ。
私は以前から少し思う事があった。
黒い影の集団は、魔人の森を侵食してエネルギーを吸い取っていた時、なぜか魔獣は操るという選択をしたのだ。
そして、黒翼人のクロルの中に入り込んだ時も、エネルギーを吸い取り消滅の方向ではなくあえて操り、兄であるブロムと戦わせたような気がしてならなかった。
もしかすると植物と違って、上手くエネルギーを吸い取れないのか?
もしくは、誰かの意図が存在したのだろうか?
今回教室に現れた黒い影達も、今まで見たものと同じ選択であったのだ。
そう考えると、この黒い影達を動かしている者がいるのかもしれない。
それはとても恐ろしい存在だと思うのだ。
黒い影は人を操る事もでき、姿形などもコピーする事もできるはず。
力や能力までは無理でも、誰かの記憶にある者の姿にはなる事が出来るのだ。
人間の世界でそんな事が起きてしまったら・・・
考えただけで恐ろしく、私はこの場で発言する事は出来なかった。
やはり、あの洞窟の閉鎖が一番良いのかもしれない。
そう思っていた時、オウギ王が口を開いた。
「今回の件は再度対策を練ることにしよう。
魔人のお二人がいたおかげで大事には至らなかった事、大変感謝しておりますぞ。
ブラック殿に状況をお伝え願いたい。」
そう言って、オウギ王はユークレイスを見たのだ。
「かしこまりました。
すぐに状況を報告いたします。
では、我々はここで失礼いたします。」
そう言うと、二人は執務室を出たのだ。
「私も失礼します。
二人と少し話したい事があるので。」
私はそう言ってみんなに頭を下げると、急いで二人の後を追ったのだ。
「二人とも待って。
話したい事があるのよ。」
追いかけて来た私を見るなり、アクアが噛みついてきた。
「舞、あの偏屈な老人は何だ。
王が立派であっても、あんな奴が近くにいるなんて、問題だな。
我々が来なければもっと大変なことになったと言うのに。」
「ええ、その通りだわ、アクア。
あの学長の言い方はひどいわね。
でも、王様は感謝していると思うわ。」
「ああ、王があんな奴でなくて良かったよ。」
そんなことをアクアが言っている横でユークレイスが私に目を向けたのだ。
「舞殿、私達からも聞きたいことがありました。」
「そうだ、舞は何であんなところにいたんだ?
ブラックは知っているのか?」
アクアにそう言われ、私は一瞬言葉に詰まったのだ。
そして、ゆっくりと二人を見つめた後言ったのだ。
「ええと・・・まだブラックにはここに来ている事は言わないでほしいの。」
それを聞くと、二人の魔人は顔を見合わせ不思議な顔をしたのだ。
私達はカクとヨクのお屋敷で、少し話をすることにした。
アクアの腕に掴まると、私達は一瞬でお屋敷の前に移動したのだ。
魔人の力は本当にすごいと、いつも感心するばかりなのだ。
お屋敷の中に入ると、二人にお茶を出しながら自分の思うことを話したのだ。
さっきは言えなかった事・・・あの黒い影達が人間の世界に来ることの恐ろしさを伝えたのだ。
「それこそ、ブラックと相談するのがいいのでは無いか?」
アクアはそう言って、目の前のお菓子を貪っていた。
ユークレイスもお茶を置くと、私を見て口を開いた。
「ブラック様にどうしてこちらに来ていることを言わないのですか?
何かお考えでも?」
「大したことでは無いのよ。
こっちでの生活が軌道に乗ったら、会いに行こうかとは思っているの。
今ブラックに会ってしまったら、こっちでの勉強がおろそかになりそうで・・・怖いのよ。
だから、もう少し黙っていてくれないかしら?
ちゃんとそのうち会いに行くから。」
私は二人に今の気持ちをそう伝えたのだ。
本音は今すぐ会いに行きたいのだ。
でも、頑張れた自分のご褒美として、取っておこうと思ったのだ。
「わかりました。
そう言うことなら・・・ただ、アクアが黙っていられるかは不明ですが。」
ユークレイスはそう言ってアクアを見たのだ。
「ブラックに隠し事は面白いから問題ないぞ。」
アクアはそう言ってニヤついたのだ。
とにかく、今は黒い影の対策なのだ。
シウン大将は他に侵食された者はいないと言っていたが、私は不安でならなかった。
あの黒い影達が、すでに別の人間に移っているかもしれないのだ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

[完結連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ・21時更新・エブリスタ投
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

夫が不良債権のようです〜愛して尽して失った。わたしの末路〜
帆々
恋愛
リゼは王都で工房を経営する若き経営者だ。日々忙しく過ごしている。
売り上げ以上に気にかかるのは、夫キッドの健康だった。病弱な彼には主夫業を頼むが、無理はさせられない。その分リゼが頑張って生活をカバーしてきた。二人の暮らしでそれが彼女の幸せだった。
「ご主人を甘やかせ過ぎでは?」
周囲の声もある。でも何がいけないのか? キッドのことはもちろん自分が一番わかっている。彼の家蔵の問題もあるが、大丈夫。それが結婚というものだから。リゼは信じている。
彼が体調を崩したことがきっかけで、キッドの世話を頼む看護人を雇い入れことにした。フランという女性で、キッドとは話も合い和気藹々とした様子だ。気の利く彼女にリゼも負担が減りほっと安堵していた。
しかし、自宅の上の階に住む老婦人が忠告する。キッドとフランの仲が普通ではないようだ、と。更に疑いのない真実を突きつけられてしまう。衝撃を受けてうろたえるリゼに老婦人が親切に諭す。
「お別れなさい。あなたのお父様も結婚に反対だった。あなたに相応しくない人よ」
そこへ偶然、老婦人の甥という紳士が現れた。
「エル、リゼを助けてあげて頂戴」
リゼはエルと共にキッドとフランに対峙することになる。そこでは夫の信じられない企みが発覚して———————。
『愛して尽して、失って。ゼロから始めるしあわせ探し』から改題しました。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる