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第4章 火山のドラゴン編
138話 それぞれの思い
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ブラックは魔人の国へ繋がる洞窟を歩きながら、ため息をついていた。
舞をカクの家に送った後、今回の事を色々考えていたのだ。
そして昨夜の舞を見て、ますます手放したく無いと思ったのだ。
ジルコンに選んでもらったと言う少し妖艶な雰囲気のドレスが、長い黒髪と白い肌にとても似合っていたのだ。
赤らめた頬に触れた時、大きな黒い瞳で私を見る舞に今まで以上に心を奪われたのだ。
出来るならば、このまま城にずっといてほしいと思ったのだが、それは無理な話なのはわかっていた。
だから、舞を困らせる事は言えなかった。
私と舞では住む世界が違うのはわかっている。
魔人と人間なのだ。
すでに長らく生きているが、私の命は後どのくらい続くのだろうか。
もうこのまま舞と同じ時間を刻み終わりのある人生があるのなら、それでも構わないとも思った。
考えても仕方が無いのだが、考えずにはいられなかった。
どうすれば、舞と一緒に過ごすことができるのか・・・。
○
○
○
魔人の森では精霊があの封印の石を眺めながら考えていた。
石の中ではドラゴンが丸まっていて、今のところ目覚める様子はなかった。
精霊はドラゴンが目覚めた後の事を考えた。
岩山の精霊に頼んで石から出してもらったとしても、完全体では無いためドラゴンはエネルギー体なのだ。
だとしても、目覚めたのがわかったのなら、封印をといてあげたいのだ。
しかし実体が無いのも問題であり、依り代が必要となるだろう。
だが、意志のある者を依り代にするわけにはいかない。
そうだとするなら・・・
そう思っていた時に森の入り口にブラックの気配を感じたのだ。
森の中心の広場に向かっているようなので、私がいる場所までいつものように木のトンネルを作ったのだ。
「どうしました?
ドラゴンが気になって来たのですか?」
トンネルを抜けて現れたブラックにそう声をかけると、何やら浮かない顔であった。
「ああ、それもあるのですが、他にも話したい事が・・・」
私はブラックに以前と同じようにテーブルと椅子を作り出し、座るように促したのだ。
そして、封印の石をブラックに見せたのだ。
「まだ、眠っているようですね。」
ブラックは興味深そうに、石の中のドラゴンを見ていたが、すぐにため息をついてその石を渡し、思いもしないことを話し始めたのだ。
「私の命はいつまで続くのだろう。
もう、十分生きたはずなのに、まだ終わりが来そうに無いのですよ。」
「魔人ですからね。
それもあなたのエネルギー量を考えると数百年は衰える事は無いかと。
以前、ハナとこの森に来た頃と比べても、ほとんど変わらないと思いますよ。
何か・・・問題でも?」
そんな質問をしてくるとは、多分舞の事を考えてなのだろう。
「人間にでもなりたいのですか?」
そう言うと、ブラックは見透かされたような表情をして笑ったのだ。
「そこまでは考えていないですよ。
・・・でも、精霊はお見通しですね。
私はあなたと舞の関係をとても羨ましく思ってますよ。
舞に頼られているあなたをね。」
ブラックは舞の気持ちを全くわかっていないようだ。
私のような存在はあの岩山の精霊が言ったように、誰かに肩入れする事はタブーなのである。
だが、ハナや舞には助けられた恩から私は自分の思うままにしてきただけなのだ。
そして舞の近くにいればわかるのだ。
ブラックを思う気持ちが特別な事を。
「私は出来る事をしているだけですよ。
ブラックの方が何倍も頼りにされていると思いますよ。」
私の方こそ、舞に思われているブラックが羨ましく感じるのだ。
精霊という立場では、執着という気持ちが問題であるのはわかっている。
しかしブラックでは無いが、私も舞がずっと近くにいてくれればと思うのだ。
その後ブラックは少しだけ話をすると、最後に一言私に告げて城に戻ったのだ。
「しかし・・・ハナの時は諦めましたが、今回は諦めるつもりは無いですよ。」
その言葉はブラック自身に言い聞かせたのかもしれないが、私に向けた宣戦布告にも聞こえたのだ。
だから私は舞のブラックに対する思いを知っていたが、話すのをやめたのだ。
舞をカクの家に送った後、今回の事を色々考えていたのだ。
そして昨夜の舞を見て、ますます手放したく無いと思ったのだ。
ジルコンに選んでもらったと言う少し妖艶な雰囲気のドレスが、長い黒髪と白い肌にとても似合っていたのだ。
赤らめた頬に触れた時、大きな黒い瞳で私を見る舞に今まで以上に心を奪われたのだ。
出来るならば、このまま城にずっといてほしいと思ったのだが、それは無理な話なのはわかっていた。
だから、舞を困らせる事は言えなかった。
私と舞では住む世界が違うのはわかっている。
魔人と人間なのだ。
すでに長らく生きているが、私の命は後どのくらい続くのだろうか。
もうこのまま舞と同じ時間を刻み終わりのある人生があるのなら、それでも構わないとも思った。
考えても仕方が無いのだが、考えずにはいられなかった。
どうすれば、舞と一緒に過ごすことができるのか・・・。
○
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魔人の森では精霊があの封印の石を眺めながら考えていた。
石の中ではドラゴンが丸まっていて、今のところ目覚める様子はなかった。
精霊はドラゴンが目覚めた後の事を考えた。
岩山の精霊に頼んで石から出してもらったとしても、完全体では無いためドラゴンはエネルギー体なのだ。
だとしても、目覚めたのがわかったのなら、封印をといてあげたいのだ。
しかし実体が無いのも問題であり、依り代が必要となるだろう。
だが、意志のある者を依り代にするわけにはいかない。
そうだとするなら・・・
そう思っていた時に森の入り口にブラックの気配を感じたのだ。
森の中心の広場に向かっているようなので、私がいる場所までいつものように木のトンネルを作ったのだ。
「どうしました?
ドラゴンが気になって来たのですか?」
トンネルを抜けて現れたブラックにそう声をかけると、何やら浮かない顔であった。
「ああ、それもあるのですが、他にも話したい事が・・・」
私はブラックに以前と同じようにテーブルと椅子を作り出し、座るように促したのだ。
そして、封印の石をブラックに見せたのだ。
「まだ、眠っているようですね。」
ブラックは興味深そうに、石の中のドラゴンを見ていたが、すぐにため息をついてその石を渡し、思いもしないことを話し始めたのだ。
「私の命はいつまで続くのだろう。
もう、十分生きたはずなのに、まだ終わりが来そうに無いのですよ。」
「魔人ですからね。
それもあなたのエネルギー量を考えると数百年は衰える事は無いかと。
以前、ハナとこの森に来た頃と比べても、ほとんど変わらないと思いますよ。
何か・・・問題でも?」
そんな質問をしてくるとは、多分舞の事を考えてなのだろう。
「人間にでもなりたいのですか?」
そう言うと、ブラックは見透かされたような表情をして笑ったのだ。
「そこまでは考えていないですよ。
・・・でも、精霊はお見通しですね。
私はあなたと舞の関係をとても羨ましく思ってますよ。
舞に頼られているあなたをね。」
ブラックは舞の気持ちを全くわかっていないようだ。
私のような存在はあの岩山の精霊が言ったように、誰かに肩入れする事はタブーなのである。
だが、ハナや舞には助けられた恩から私は自分の思うままにしてきただけなのだ。
そして舞の近くにいればわかるのだ。
ブラックを思う気持ちが特別な事を。
「私は出来る事をしているだけですよ。
ブラックの方が何倍も頼りにされていると思いますよ。」
私の方こそ、舞に思われているブラックが羨ましく感じるのだ。
精霊という立場では、執着という気持ちが問題であるのはわかっている。
しかしブラックでは無いが、私も舞がずっと近くにいてくれればと思うのだ。
その後ブラックは少しだけ話をすると、最後に一言私に告げて城に戻ったのだ。
「しかし・・・ハナの時は諦めましたが、今回は諦めるつもりは無いですよ。」
その言葉はブラック自身に言い聞かせたのかもしれないが、私に向けた宣戦布告にも聞こえたのだ。
だから私は舞のブラックに対する思いを知っていたが、話すのをやめたのだ。
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