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第3章 翼国編
71話 転移の穴
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スピネルはアクアにこの世界について話したが、まずは自分で見てもらうのが一番と思ったのだ。
二人は城の外の広場に出た。
魔人の中でもスピネルは風と火を操る事を得意としており、空中に浮遊したり移動する事は全く問題なかった。
しかし、アクアは本来翼があるドラゴンのため、自由自在に高速で飛ぶことも可能なのだ。
スピネルはアクアに乗せてもらい飛んでみたかったのだ。
「さあ、私を乗せて行ってくれるかい?」
スピネルがそう言うと、アクアは本来の大きなドラゴンに戻った。
スピネルを乗せると、すぐに舞い上がったのだ。
「やっぱり、このスピードがいいねー。
自分で移動するのとは違うね。
アクア、向こうに湖があるから行ってみよう。」
二人は回転したり、急降下したりと飛行を楽しんでいた。
アクアはこんなに自由に飛ぶ事ができたのは、いつ以来だろうと、興奮していたのだ。
そして、湖の上を飛んでいた時である。
遠くに黒い点のようなものが見えたのだ。
「アクア、あれ見える?」
スピネルはブラックから先日の森での件を聞いていたので、もしかしてと思ったのだ。
「ここからだとハッキリしないが、鳥のように羽ばたいているように見えるぞ。」
アクアの目はかなり遠くでも見る事が出来るらしく、スピネルには黒い点であったものが、アクアの目には黒い鳥のように見えるらしい。
アクアに魔人と同じ姿になってもらい、その黒い鳥のようなものをそっと追いかける事にしたのだ。
さすがに巨大なドラゴンの姿での追跡は難しいのだ。
アクアは以前と同じ10歳くらいの少年の姿になった。
背中にはドラゴンと同じ小型の翼を出すことができ、問題なく飛べるようだ。
それに、それほど早く飛んでいるわけでは無かったので、ドラゴンの姿でなくても、二人は追うことが出来たのだ。
後をつけているのを気づかれないように、途中の木や岩などの影に隠れながら追ったのだ。
そして少しずつ距離を縮めていくと、やはり鳥ではなく、黒い翼を持つ者である事がわかった。
驚いた事にその中の一人が、なんと舞を抱えているのが見えたのだ。
「あれは舞ではないか?
どうして、一緒にいるのだ?」
アクアは驚いて、すぐに向かおうとしたところをスピネルが止めたのだ。
「舞がなぜそこにいるかはわからないけど、人質になっているなら、安易に攻撃するのはまずいよ。
このままどこに行くのか、ついていってみよう。」
スピネルはアクアを落ち着かせ、二人はそのまま様子を伺ったのだ。
確かに、むやみに向かっていって、舞に何かあってからでは、ブラックに会わせる顔がないのだ。
それは二人とも同意見だった。
言葉には出さないが、ブラックが以前のハナと同じように、舞を大事に思っている事がよくわかるからだ。
二人は慎重に後をつけていった。
すると湖の岩場の間に吸い込まれるように入っていったのだ。
黒い翼の者達が行ったあとに、スピネルとアクアはその岩場の近くに降りたのだ。
そこには人が数人入れるくらいの大きな穴が下に向かって口を開けていたのだ。
穴の中を覗くと、暗闇で先を見る事は出来なかった。
「スピネル、どうする?
ブラックに報告するか?」
正直、アクアはこのまま追跡を続けたかった。
今までずっと外に出れない状況だったので、舞を心配するかたわら、不謹慎ではあるがワクワクもしていたのだ。
何か面白い事が起きるのでは無いかと、大人しく待っている事は出来なかったのだ。
それはスピネルも同じで、この穴の中がどうなっているか、興味深々であったのだ。
「このまま、追跡しよう。
舞がどこに連れて行かれたかわかってから、ブラックに連絡しよう。
いざとなれば、我々が舞を守ればいいわけだしね。」
二人の意見は一致し、二人ともその暗い穴の中に入っていったのだ。
先が見えないため、ゆっくりと降下する事にした。
アクアは暗闇でもある程度周りを見通せるので、先に行ってもらい確かめながら降りていったのだ。
しばらく進むと、明るい光が見えてきた。
そこには、二人が見たこともない世界があったのだ。
二人は城の外の広場に出た。
魔人の中でもスピネルは風と火を操る事を得意としており、空中に浮遊したり移動する事は全く問題なかった。
しかし、アクアは本来翼があるドラゴンのため、自由自在に高速で飛ぶことも可能なのだ。
スピネルはアクアに乗せてもらい飛んでみたかったのだ。
「さあ、私を乗せて行ってくれるかい?」
スピネルがそう言うと、アクアは本来の大きなドラゴンに戻った。
スピネルを乗せると、すぐに舞い上がったのだ。
「やっぱり、このスピードがいいねー。
自分で移動するのとは違うね。
アクア、向こうに湖があるから行ってみよう。」
二人は回転したり、急降下したりと飛行を楽しんでいた。
アクアはこんなに自由に飛ぶ事ができたのは、いつ以来だろうと、興奮していたのだ。
そして、湖の上を飛んでいた時である。
遠くに黒い点のようなものが見えたのだ。
「アクア、あれ見える?」
スピネルはブラックから先日の森での件を聞いていたので、もしかしてと思ったのだ。
「ここからだとハッキリしないが、鳥のように羽ばたいているように見えるぞ。」
アクアの目はかなり遠くでも見る事が出来るらしく、スピネルには黒い点であったものが、アクアの目には黒い鳥のように見えるらしい。
アクアに魔人と同じ姿になってもらい、その黒い鳥のようなものをそっと追いかける事にしたのだ。
さすがに巨大なドラゴンの姿での追跡は難しいのだ。
アクアは以前と同じ10歳くらいの少年の姿になった。
背中にはドラゴンと同じ小型の翼を出すことができ、問題なく飛べるようだ。
それに、それほど早く飛んでいるわけでは無かったので、ドラゴンの姿でなくても、二人は追うことが出来たのだ。
後をつけているのを気づかれないように、途中の木や岩などの影に隠れながら追ったのだ。
そして少しずつ距離を縮めていくと、やはり鳥ではなく、黒い翼を持つ者である事がわかった。
驚いた事にその中の一人が、なんと舞を抱えているのが見えたのだ。
「あれは舞ではないか?
どうして、一緒にいるのだ?」
アクアは驚いて、すぐに向かおうとしたところをスピネルが止めたのだ。
「舞がなぜそこにいるかはわからないけど、人質になっているなら、安易に攻撃するのはまずいよ。
このままどこに行くのか、ついていってみよう。」
スピネルはアクアを落ち着かせ、二人はそのまま様子を伺ったのだ。
確かに、むやみに向かっていって、舞に何かあってからでは、ブラックに会わせる顔がないのだ。
それは二人とも同意見だった。
言葉には出さないが、ブラックが以前のハナと同じように、舞を大事に思っている事がよくわかるからだ。
二人は慎重に後をつけていった。
すると湖の岩場の間に吸い込まれるように入っていったのだ。
黒い翼の者達が行ったあとに、スピネルとアクアはその岩場の近くに降りたのだ。
そこには人が数人入れるくらいの大きな穴が下に向かって口を開けていたのだ。
穴の中を覗くと、暗闇で先を見る事は出来なかった。
「スピネル、どうする?
ブラックに報告するか?」
正直、アクアはこのまま追跡を続けたかった。
今までずっと外に出れない状況だったので、舞を心配するかたわら、不謹慎ではあるがワクワクもしていたのだ。
何か面白い事が起きるのでは無いかと、大人しく待っている事は出来なかったのだ。
それはスピネルも同じで、この穴の中がどうなっているか、興味深々であったのだ。
「このまま、追跡しよう。
舞がどこに連れて行かれたかわかってから、ブラックに連絡しよう。
いざとなれば、我々が舞を守ればいいわけだしね。」
二人の意見は一致し、二人ともその暗い穴の中に入っていったのだ。
先が見えないため、ゆっくりと降下する事にした。
アクアは暗闇でもある程度周りを見通せるので、先に行ってもらい確かめながら降りていったのだ。
しばらく進むと、明るい光が見えてきた。
そこには、二人が見たこともない世界があったのだ。
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