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クシェル様が見てるのに※
しおりを挟む「え……必要、ない?」
今日は朝からクシェル様の様子がおかしかった。授業を受けに行く時のいってらっしゃいのキスも無かったし、昼食の時も膝の上じゃなく隣に座らされるし、わたしが今日一日の出来事を話している最中も何処か上の空で、まるでわたしに関心がないようだった。
もしかして、わたし避けられてる?嫌われた?
いや、そんなはずない。だって言ってくれたもん「どんなわたしでも変わらず好きでいる」って「絶対に嫌いにならない」って、だから多分これはわたしの勘違いーーだよね?
「クシェル様飲みます、よね?」
わたしは縋る思いで、クシェル様に自ら首を晒した。しかしーー
「いや、いい……必要ない」
「え……必要、ない?」
クシェル様に「必要ない」と目を逸らされてしまった。
「な、なんで……わ、わたしなら大丈夫ですよ?朝は確かに(昨日の疲れもあって)少しボーとしてましたけど、今は普通に元気で、気を使う必要は……っ!」
クシェル様のその言葉が信じられなくて、逸らされた目を覗き込む。
本当は飲みたいんだよね?でも、わたしのことを気遣って断った。そうなんだよね?じゃないとクシェル様がわたしに『必要ない』なんて言うはずがない。
しかし、その瞳は『夕暮れ時』のままだった。
嘘だ。どうして?
吸血自体はわたしの体調を気遣って、二、三日に一回のペースで行われていた。だけど、クシェル様のその赤い瞳を見ない日はなかった。
ましてや、ここ数日はジークお兄ちゃんとのごたごたもあり、その間吸血は行われていない。
なのにーー
「あ、も、もしかして、わたしが昨日ジークお兄ちゃんと二人で寝たから怒ってます?そ、それともまたお兄ちゃんとだけそ、そういうことをしたから?」
わたしのその言葉にあからさまに眉を顰め、不快感を露わにするクシェル様。
「っで、でも、それはジークお兄ちゃんが教えてくれたからで……く、クシェル様もそうしたいならっ!」
「俺にそんな汚い欲はない!」
クシェル様の頬へ伸ばした手を払われ、怒鳴られた。
「っ……汚い」
確か朝もクシェル様はそんなことを言っていた。「俺のコハクが汚された」と、そう言って涙を流していた。そうか、だからクシェル様はわたしを避けていたのか、わたしが汚い存在だから。だから嫌いにーー
「お前いい加減にしろよ」
「ジーク、お兄ちゃんっ……」
隣で見守ってくれていたジークお兄ちゃんはわたしが泣きそうになっているのに気付くと、まるでその涙を隠すように、わたしの顔を自分の胸に押し当て、抱き寄せた。
「そんなに認めたくないか。コハクを不安にさせてまで、コハクを拒絶してまで通す意地になんの意味があるんだ?」
「拒絶⁈そ、そんなつもりは」
「必要ないと言っただろ?コハクの手を払って、コハクの優しさを拒んだだろうが!」
「ち、違う。ただ俺はっ、俺はコハクに」
「もういい、分かった。お前がその気なら……認めざるを得なくさせてやる」
「うぇっ⁈ぃや、何⁈ジークお兄ちゃん嫌!ヤダ!」
ジークお兄ちゃんはクシェル様に何やら不穏な宣言をすると、わたしをクシェル様の方へ向かせ、服をはだけさせ始めた。
「すまないコハク。少し協力してくれ」
「き、協力⁈」
「大丈夫。コハクは何も考えずただ俺に愛されていればいい」
「む、無理だよ!だってクシェル様がっんゃ!」
み、耳を舐められた。
「大丈夫、アイツは少し意地を張っているだけだ。コハクを嫌いになったわけではない。安心してくれ」
そして、クシェル様に聞こえないように、耳元で囁かれる。
「んっ、ほ、本当?」
「あー、それを今から証明する。だから、な?」
「うぅ、でもそれでもし、クシェル様に気持ち悪がられでもしたら」
もし、クシェル様がそういう行為自体を汚いものだと思っているとしたら、そういう行為を受け入れているわたしも汚い者に映るはずだ。そして、その行為を気持ち良いと思ってしまうわたしはきっとーー
「そんな事は絶対にない。万が一そうなったとしても、安心しろ。俺が居る。俺は決してコハクを裏切らない」
そう言ってわたしを見つめるジークお兄ちゃんの目は真剣そのもので、わたしはジークお兄ちゃんのその言葉を信じることにした。
「んっ、んやっ!ダメっ!」
ジークお兄ちゃんの言葉を信じると決めたけど、これはちょっと無理ぃ!
クシェル様に嫌われる嫌われない以前に、こんな姿見られてるってだけで、死ぬほど恥ずかしい!こんなの人に見せるようなものじゃない!
「ヤダっ、ぁん!ん、そんなっ、ぃあん⁈」
わたしは一糸まとわぬ姿で、ジークお兄ちゃんの足の間に座らされ、堂々と晒された両方の胸を揉まれている。
そして、左の乳首を摘まれ思わず大きな声が出てしまった。
それが恥ずかしくて、口を塞げば、仕置きとばかりに今度はそこをコリコリと捏ね回され、更に強い刺激を与えられる。
「んっ、ふぅんっ、んん゛っ!」
ダメ、それをされたらアソコがっ、ムズムズして、お腹がぁっ!
「コハク言葉にしないと分からないぞ?」
嘘。絶対分かってやってる。
「や、やめっ⁈ぃんんっ!んーっ!」
やめてと言おうとしたら、右も同じように摘まれ、両方同時に捏ね回された。
「んー?」
め、目が笑ってない。声は穏やかで一見笑顔に見えるのに目が全然笑ってない。これは、ダメなやつ。わたしをダメにする、いじめっ子モードのお兄ちゃん!
「ぃあっ、い、いじめないでぇ」
お兄ちゃんの腕を掴み抵抗を試みるが、胸からもたらされる刺激のせいで手に力が入らない。
「いじめ?俺は気持ち良い事しかしてないだろう?」
そう言ってお兄ちゃんは不適な笑みを浮かべると、左はそのままに、右だけ摘んだその先っぽをスリスリと摩り始めた。
「んぅうっ、っあ、やめっ、一緒に、違うのらめっ、それらめぇ!」
どっちも、昨日教えられた。気持ち良い事。確かにジークお兄ちゃんは気持ち良い事しかしていない。でも、今はクシェル様が見てるのに、そんなことされたらお腹の奥がぁーー
「もうやめろ!コハクが嫌がってるだろ!」
わたしの抵抗を無視して愛撫を続けるジークお兄ちゃんのその姿に、流石のクシェル様も見かねて止めに入る。しかし当の本人に悪びれた様子はなくーー
「コハクの嫌がる事はしていない」
「はあ?どう見ても拒まれていただろ」
「コハクは恥ずかしがりやだからな、本気で拒んでいたわけじゃない。だろ?」
「ひゃっ!」
耳元で囁くのはずるい。絶対そうしたらわたしが否定出来なくなるのを分かっててやってる。
「なぁコハク?クシェルに見られてるのが恥ずかしかっただけだよな?」
「んっ、っあ、ダメ!ソコっあ!」
右胸を解放されたかと思ったら、今度はその手が迷いなくアソコへと伸ばされ、ワレメに指を這わされる。
「ダメ?何がダメ?」
「うぅっ、今、ソコ撫でちゃっ、んぁあ」
「ソコ?ちゃんと言わないと分からないだろ?」
「んああっ!ぅあ、だ、大事なとこっ、コハクの大事なぁ、っあぁだめ!」
左胸の先を少し強めに摘まれると同時に、大事なとこに指の腹を食い込まされ、撫で回される。
「なんでダメ?こんなに濡れてるのに?」
そう言うと、今度は穴の入り口を掻き混ぜ、態とらしく『クチュクチュ』と音を鳴らすジークお兄ちゃん。
「っき、気持ち、いいから、んぅ、良いから、だめ、クシェル様がっ、見てるのにぃんっ、ぁあ⁈嫌っ、我慢出来なくなぅう!」
気持ち良いと認めたご褒美なのか、今度はあのちっちゃな粒をクリクリと撫で摩られる。
ダメダメダメっ!も、戻れなくなる。お腹が泣いて、奥が疼いて、最後のアレが欲しくなってしまう。クシェル様の見てる前ではしたなく次を求めてしまいたくなっちゃうぅー!
「なぁクシェル、拒んでないだろ?」
「…………」
「ハハ、目ぇ赤くなってるぞ」
「あ、あっ、何でっ?さっきは」
「さぁ?なんでだろうな。なぁクシェル?」
「っ!お前……」
「自覚出来たか?お前のそれも俺と同じだって事、認める気になったか?」
ヒート時以外の吸血は愛を求める行為。そして、その欲は瞳の色に現れる。
つまり今のわたしの姿を見て、瞳を赤く染めてくれてるって事は、そういう意味でもクシェル様はわたしのことを求めてくれてるってこと?気持ち悪く思ってない、嫌われてないってことだよね?愛してくれてるってことだよね!
ジークお兄ちゃんの言った通りだったんだ。良かったーー
「んひぁあっ⁈な、なんでぇぇー!!」
やっとクシェル様と目があった。わたしに赤い瞳を向けてくれた。そのことに喜びを感じたその瞬間。
首ではなく、なんとわたしの大事なとこをクシェル様に舐められていた。驚いて、咄嗟に足を閉じようとしたが、反対に腿を掴まれ広げられる。
「ったく、お前は……俺もまだなのに」
「そ、そんなとこ、っあ、クシェルさっんむ⁈ん、んん゛ーー!!」
あまりの出来事に頭がついて行かず、一旦クシェル様にそれをやめてもらおうとクシェル様の頭に手を伸ばそうとしたら、いきなり顎を掴まれジークお兄ちゃんに口を塞がれた。
「良かったなクシェルにキスしてもらえて」
キス?ソコをな、舐めるのが⁈
「コハクは、キスも好きだもんなぁ。俺ともいっぱいしようなぁ」
そう言って答えを返す暇も与えられず、再びジークお兄ちゃんに口を塞がれた。
クシェル様の濡れた滑らかな舌がわたしの大事なとこを包んで、吸血の時みたいに唾液を塗り込まれて、かと思ったら今度は唾液ごとわたしの穴から滲み出た液を吸われる。
それと合わせるように、口の中もジークお兄ちゃんの厚い舌でいっぱいにされて、上顎を摩られて、舌を絡め取られ、吸われる。
本当だ。わたしクシェル様に大事なとこにキスされてる。ジークお兄ちゃんとクシェル様、同時に二人からキスしてもらってる。愛してもらってる!
「んぃーク、ぉにぃひゃん」
「んー?」
一旦、ジークお兄ちゃんにキスを止めてもらって、わたしはクシェル様に手を伸ばした。
「んぁ、く、クシェルしゃまぁ」
「っ!す、すまないコハク俺はなんて事をっ⁈」
顔を上げてくれたクシェル様の唇に『ちゅ』と触れるだけのキスを返す。謝らないで、わたしは怒ってないよ。嬉しかったよ。そう思いを込めて。
だからーー
「もっといっぱい愛して、隠してるもの全部見せて、二人の全てを受け止めさせて」
それがわたしの愛だから。
「わたしにも二人を愛させて」
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