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悪友
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骨折をした私は左腕に大げさなギプスをすることなった。
夏休み中なので遊びに行きたいのだがどうにもならない。
数日に一度祖父が車で20分以上もかけて整骨院に連れて行ってくれた。
祖父母の家から遠くの整骨院にしたのは、私が自宅に帰っても通院できるように配慮してくれたのだろう。
通院は苦痛以外の何物でもなく、骨折した時よりも治療とリハビリの方が激痛が走った。
初めての片手生活は不便極まりない。
食事は茶碗が持てず、本を見ることも困難だ。
テレビを見て暇つぶしをするほかないのだが、当時はまだ子供なので日中のテレビなどつまらない。
まるで囚人のように週2回の朝に楽しみがやってくる。
アニメと戦隊ヒーローに夢中になった時期だ。
こんなに長い夏休みは初めてだったが自宅に帰る日が訪れる。
学校が始まると私の友人がギプスを見て何故だか爆笑している。
おそらくこんな大げさな装備をしてくるとは想定外でギャップが面白かったのだろう。
自力で通院が始まることになるのだが、私の友人が整骨院にいつもついてきてくれた。
子供の足だとかなり遠いのだがそれでも一緒に来てくれた。
治療が終わり家に帰るのだが、私の家は整骨院から20~30分ぐらいなのだが、友人の家はそこからさらに20分はかかる。
友人は必ず家まで送ってくれとい私にお願いしてきた。
ある日、「なんで家まで送って欲しいの?」と聞いてみると、帰り道に古い空き家があるのだがその家が怖いようだった。
いわゆるオバケがいるかもしれないという恐怖心のようだ。
私にはその感覚は全くないし、大人になってもない。
オバケが怖い、心霊現象が怖いのような物理的な要素が不確かなものへの恐怖心はまったくなかった。
整骨院に一緒に付き合ってくれる交換条件だったのだが、実は友人を家に送った後に私の恐怖はあった。
「犬」である。
私は一度、小学校の帰り道に外で飼われている犬が可愛いと思い、犬の頭を撫でてみると腕をかまれたことがあった。
しかもだ、家に帰ると姉が泣いていたので「どうしたの?」と聞くと姉は「犬にかまれた」といいなんと、その日に姉と私は同じ犬にかまれていた。
姉の腕からは血が出るほどだったので急遽病院に行ったほどだ。
そんなわけで私は当時、犬が大の苦手であった。
帰り道によく吠える大きな黒い犬がいた。
友達といると不思議と怖くはないのだが、一人になるとかなり怖い。
鎖につながれているから問題ないように思えるが、吠える声がとにかく嫌だった。
その家を通り過ぎるまで耳をふさぎ、「あ~あ~」と声を出して犬の吠える声が聞こえにくくなるようにしたものだ。
通院をしてたある日、友人が通り道にある小さな書店に設置してあったカプセルトイを使って良いことを教えてあげると言ってきた。
その頃になると秋に入り冬に向かう日が短くなってきた季節だ。
外はもう暗い。
今思えばその季節を狙っていたのだろう。
おもむろにカプセルトイの本体を持ち上げさかさまにしはじめた。
私は何をしているのか全くわからなかったのだが、急に「チャリン、チャリン」と何かが落ちてきた。
100円玉だ。
なんとカプセルトイをさかさまにすると打ち出の小槌の如くお金がでてくるではないか。
友人は悪びれる様子もなくお金をポケットにしまった。
「すごいだろ」とむしろ自慢げだ。
私は当時、どちらかといえば優しい性格で悪い事なんかしない方だったと思うがこんなことをする友人をみて衝撃が走った。
しかもこれが悪い事であるという価値観すらなかった。
友人はそのお金でお菓子なんかを買って食べている。
その時点では友人の家の方が明らかに貧しいのはわかってはいた。
私のお小遣いは自宅だと一日50円で祖父母の家では100円だった。
50円で麦チョコとキャラメル2個が毎日のおやつ・・・、それを友人は大量にお菓子を買い喜んでいる。
私はこの日をきっかけに人としての道を多少外れてしまう。
そうこの友人から悪友に変化した瞬間、悪い子になっていくのだ。
夏休み中なので遊びに行きたいのだがどうにもならない。
数日に一度祖父が車で20分以上もかけて整骨院に連れて行ってくれた。
祖父母の家から遠くの整骨院にしたのは、私が自宅に帰っても通院できるように配慮してくれたのだろう。
通院は苦痛以外の何物でもなく、骨折した時よりも治療とリハビリの方が激痛が走った。
初めての片手生活は不便極まりない。
食事は茶碗が持てず、本を見ることも困難だ。
テレビを見て暇つぶしをするほかないのだが、当時はまだ子供なので日中のテレビなどつまらない。
まるで囚人のように週2回の朝に楽しみがやってくる。
アニメと戦隊ヒーローに夢中になった時期だ。
こんなに長い夏休みは初めてだったが自宅に帰る日が訪れる。
学校が始まると私の友人がギプスを見て何故だか爆笑している。
おそらくこんな大げさな装備をしてくるとは想定外でギャップが面白かったのだろう。
自力で通院が始まることになるのだが、私の友人が整骨院にいつもついてきてくれた。
子供の足だとかなり遠いのだがそれでも一緒に来てくれた。
治療が終わり家に帰るのだが、私の家は整骨院から20~30分ぐらいなのだが、友人の家はそこからさらに20分はかかる。
友人は必ず家まで送ってくれとい私にお願いしてきた。
ある日、「なんで家まで送って欲しいの?」と聞いてみると、帰り道に古い空き家があるのだがその家が怖いようだった。
いわゆるオバケがいるかもしれないという恐怖心のようだ。
私にはその感覚は全くないし、大人になってもない。
オバケが怖い、心霊現象が怖いのような物理的な要素が不確かなものへの恐怖心はまったくなかった。
整骨院に一緒に付き合ってくれる交換条件だったのだが、実は友人を家に送った後に私の恐怖はあった。
「犬」である。
私は一度、小学校の帰り道に外で飼われている犬が可愛いと思い、犬の頭を撫でてみると腕をかまれたことがあった。
しかもだ、家に帰ると姉が泣いていたので「どうしたの?」と聞くと姉は「犬にかまれた」といいなんと、その日に姉と私は同じ犬にかまれていた。
姉の腕からは血が出るほどだったので急遽病院に行ったほどだ。
そんなわけで私は当時、犬が大の苦手であった。
帰り道によく吠える大きな黒い犬がいた。
友達といると不思議と怖くはないのだが、一人になるとかなり怖い。
鎖につながれているから問題ないように思えるが、吠える声がとにかく嫌だった。
その家を通り過ぎるまで耳をふさぎ、「あ~あ~」と声を出して犬の吠える声が聞こえにくくなるようにしたものだ。
通院をしてたある日、友人が通り道にある小さな書店に設置してあったカプセルトイを使って良いことを教えてあげると言ってきた。
その頃になると秋に入り冬に向かう日が短くなってきた季節だ。
外はもう暗い。
今思えばその季節を狙っていたのだろう。
おもむろにカプセルトイの本体を持ち上げさかさまにしはじめた。
私は何をしているのか全くわからなかったのだが、急に「チャリン、チャリン」と何かが落ちてきた。
100円玉だ。
なんとカプセルトイをさかさまにすると打ち出の小槌の如くお金がでてくるではないか。
友人は悪びれる様子もなくお金をポケットにしまった。
「すごいだろ」とむしろ自慢げだ。
私は当時、どちらかといえば優しい性格で悪い事なんかしない方だったと思うがこんなことをする友人をみて衝撃が走った。
しかもこれが悪い事であるという価値観すらなかった。
友人はそのお金でお菓子なんかを買って食べている。
その時点では友人の家の方が明らかに貧しいのはわかってはいた。
私のお小遣いは自宅だと一日50円で祖父母の家では100円だった。
50円で麦チョコとキャラメル2個が毎日のおやつ・・・、それを友人は大量にお菓子を買い喜んでいる。
私はこの日をきっかけに人としての道を多少外れてしまう。
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