不幸と幸福の反覆

三毛猫マン

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昭和

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私が小学生の昭和時代、先生の教育方法は体罰が日常だった。

怒鳴る、ビンタなんて当たり前である。



田舎だったせいなのか誰も声を上げる親はいなかったように感じるが、どちらかというと「先生様」のような存在だ。



学校でなにをされても「先生の言う通りにしなさい」という風潮があった。

職業としての先生の価値観が当時と今ではだいぶ違いがあるように思える。



ある日の授業中、とある女の子が「おもらし」をしてしまう。

この子は小学を卒業するまで誰とも話をしているのを見たこともないような、無口で人と交わらなかった。



私は「第二次ベビーブーム」のピークの生まれだったので、田舎でも学校の生徒はかなり多く目立たない子供はたくさんいたし、話をしたことがない子供の方が多かった。



目立ちたくない人には生きやすい時代だったと思う。



おもらしをした女の子をクラスの悪ガキが授業中に大きな声で「先生、おもらししてるよ~」などと笑いものにしようとした。



先生は悪ガキに近寄り「往復ビンタ」を炸裂させ、その後、教室の外に出し授業が終わるまで入り口前で立たせた。



先生のズボンの前チャックが開いていることを教えただけでビンタ・・・。

今では考えられない。



女性の年配担任が西武ライオンズのキャップをかぶってきた女の子に向かって「女の子がそんな野球帽をかぶってきたら駄目だ」などと禁止にもした。



そんな私も教室前の廊下で野球ごっこをしていて教室入り口のガラスを割り、ビンタをされた一人である。



令和の時代には「セピア色のフィルム」を見ているような記憶だが、何となくこの時代は世の中に活気と元気で溢れていた。



当時は情報発信の手段は携帯電話やネットなどはないから固定電話や手紙である。



日常の事実を知る手段が限定的だったことで「みんな、そんなもんだろう」という漠然とした暮らしだったのであろう。



大型スーパー、コンビニ、ショッピングモール、そんなものはない。

小型のスーパーはあったが商店街と共存共栄できていてみんな顔見知りだった。



悪い事をすると近所の人が叱ってくれて、泣いている子供がいると見知らぬ大人が声をかけて心配してくれた。



今では迷惑おじさん、変質者扱いをされるのかもしれないが、当時は助け合いと言われ、そんな社会がそこに確かにあったのだ。



体罰なんてありえない、それでも先生は子供に対して本気で向き合っていたような、自信を持って接していたような印象だ。



現代の価値と比較すると当時の教育のありようを肯定はしないが、なぜだろう、感謝をしている。



情報を広げる手段が増え、情報を手にする機会も増え、24時間開いているコンビニで便利になり、遠くへの移動も早くなりあらゆる物事が進歩した。



半世紀近く生きてきて思う。

「昔は良かった」などいうつもりはないのだが、便利と豊かさを手に入れた代償はたくさんある気がしている。
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