不幸と幸福の反覆

三毛猫マン

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懺悔

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父親は母に暴力、母親は姉と私に虐待。

それでもほんの少しだけ幸せな習慣が我が家に訪れた。



両親の小料理屋が定休日である月曜日に、「外食をするか自宅ですき焼き」が習慣になったのである。



おそらく大なり小なり子供に対する罪悪感があったのか、父親の母に対する暴力への罪悪感のどちらかなのだろう。複雑に絡み合う「懺悔の気持ち」。



そんな理由だとしても私は外食などしたことはなかったのでその経験はキラキラしたものだった。



外食は父親が独立する前の居酒屋でするのだが、居酒屋と表現するのは失礼なほど多岐にわたる料理部門があった。



お寿司、洋食、焼き鳥、和食と部門別に店の中で入り口が分かれている。

私がその店で必ず頼んだのは「ミックスフライ定食」だった。



子供の私にはエビフライとホタテフライがとにかく美味しく大好物の一品になった。

今現在も洋食が好きなジャンルの一位である。



外食の帰り道は父親とかけっこをし、居酒屋で私が寝てしまうとおんぶをして帰ってきてくれた。



父親との初めての触れ合いが、確かにそこにはあったのだ。



外食以外の「すき焼き」は百貨店の精肉店で高級な肉を買ってきて父親が料理をした。

母親は肉を食べないので別の物を作っていた。



初めて我が家に一家団欒と呼べる瞬間が訪れた。

私は肉は嫌いだが、このおかげですき焼きと牛丼は好きになった。



「父親が料理をして家族が食べる」のが日常になってきたこの頃から私も見よう見まねで料理に工夫をするようになった。



調味料をどのようにして使うのか、食材の刻み方、あらゆるゆることを吸収した。



週に5日は私が自炊しなくてはならない事実は変わらない。

土日は祖父母の家に行っていたので土曜日の夜は祖母の手作りで助かっていた。



母親の虐待は少し減ってきたように感じ、平穏な日々が始まったかのように思っていた・・・が、ある日事件が起こる。



夕方、私は自宅敷地内の外で暇つぶしをしていると、急に祖父母がやってきた。

祖父はスーツを着て、祖母は着物を着ている。



手には紫色の風呂敷で包んだ何かしらかを持って普段とは様子が違う。

祖父母は私にいつも穏やかに接してくれたのだが、その日は無表情で私に「家に入ってきちゃ駄目だよ」と言ってきた。



だいぶ時間が経過した。

ようやく祖父母が家から出てきた。



その後を追って母親が出てきて泣きながら「どうかお願いします!お願いします!」と叫んでいるが、祖父母は振り返ることなくその場を立ち去った。



後に知ったのだが、私を祖父母が引き取る話だった。



祖父母の家に預けられる前には知らなかった事を祖父母が知ることになりそのようなことになったのだろう。



思い起こすと、私が初めて祖父母の家に預けられたときに、母親のご飯を炊いてきた話がきっかけだと思う。



母親はそのストレスから虐待が再開した。

それでも私は母が何か哀れに思い仕方のない事だと言い聞かせていた。
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