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#13 征服完了編
#13 ”ツアーレ” 12人の陰謀 (1/2)
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真っ白な空間で、いきなり手を引かれた。見ると、ツアーレの制服を着た綺麗なお姉さんだ。
「お帰りなさいませ。お客様」
「ここは?」
「ここは、別荘の中ですよ」
「えっ、別荘って王女様の結婚式をしたところですか? それにしては何も無いような」
「ここは、別荘の中の、特別な部屋になります」
「もう、旅行の時間が終わったってことですよね」
「はい、そうです。次のゲートまでご案内いたします」
「ゲートって何ですか?」
「ゲートとは、各世界を繋ぐ扉のようなものです」
「ここは、仮想現実じゃないんですか?」
「お客様も、お気づきかと思いますが、ここは仮想の世界ではなく、実在する世界なんですよ」
「じゃあ」
「はい。誰かに言われませんでしたか? この世界での死亡は現実での死亡になると」
「うーん。聞いたような」
「”ツアーレ”は、疑似体験では満足せず、実在する異世界への旅行を実現してしまいました。しかし、それでは世間が騒ぎますので、便宜上、仮想現実として宣伝しているんですよ」
「どうりで、痛いし疲れるしって、本当に死ぬところでしたよ」
「良かったですね、運が良くて」
「そういう問題ですか」
「でも、大丈夫でしたよね」
「それは、そうですけど」
「私達が、しっかりとサポートしていましたから」
「私達って? …」
「もう、お忘れですか?」
「えっ、まさか! ココナ?」
「はい、ココナです。ユウキ」
「服装が全然違うから、気がつかなかった…というより別人みたいですね」
「女性には、いろんな仮面があるんですよ」
「よく見れば、確かにココナだ」
「では、そろそろ次のゲートにご案内いたします」
「そのゲートを通れば元の世界に戻るんですか?」
「いいえ。通ってきた世界を逆に辿るようにゲートを通過して現実に戻ります」
「面倒ですね。一気に戻れればいいのに」
「……さあ、行きましょう」
突然現れたドアを開け、俺は次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「破産しちゃいますよ」
「いい夢を、ありがとう」
「……」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「ヨーコさん?」
「そうかも、ですね」
「余り、話をしませんでしたね」
「出会ってから、お別れまでの時間が、短かったですからね」
「そう言えば俺は、溺れたんですか?」
「はい、びっくりしました。ちょっと予定外でした」
「予定外?」
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺は、そこにあるドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「死んじゃいますよ」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「隊長!」
「リリスで~す」
「異星人の侵略って、本当だったんですか?」
「ニャンのことかな~。分かんな~い」
「それ、ちょっと無理がありますよ」
「このぼけなすがー」
「ところで、ウララはどうなりました?」
「ううう」
俺の携帯が鳴った。いつの間にか俺のポケットに戻っている。
知らない番号からだ。
「出てみれば~」
「もしもし」
「ユウキ?」
「その声は、ウララ!」
「びっくりした? 今ね…」突然、切れた。死に癖は治らなかったのか?
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺は、そこにあるドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「無理ですよ~」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「クミコ?」
「覚えておったのか。責任は取って貰うぞ」
「分かったよ。責任を取ろう」
「ご冗談ですよ。お客様」
「本気だったのに」
俺の携帯が鳴った。ウララからだ。
「もしもし」
「ユウキ?」
「生きてた?」
「携帯、落としちゃって。生きてるよ」
「じゃあ、運命は変わったんだね」
「もちろんよ。それでね…」突然、切れた。
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺はドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「責任は取れませんよ」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「お姉さんですね」
「隠せないものだね、私の天才が」
「一目でわかりますよ」
「おお、それは良かった」
「本当、過労死するところでしたよ」
「あれも、これも、あのイカれ野郎のせいだ」
「そうですね。行き先ざきでケンジに出会うなんて、いい迷惑でしたよ」
「ほお、君は気付いていないのかね」
「はあ、何がです?」
「あれが、偶然ではなく、必然だったのを」
「はあ?」
「今の君になら、話しても許してくれるだろう。君がイカれ野郎と、ことごとく出会ったのは、全て私の筋書き通りだったと」
「筋書き? 何故何故?」
「始めに謝罪しておこう。すまぬことをした」
「いいですよ。もう済んだことですから」
「なら、次に進みたまえ。こちらにどうぞ」
「ええ!」
「冗談だ。真実を語ろう。しかし、ここを出たら忘れてくれて構わないぞ」
「続けてください」
「あのイカれ野郎ことケンジは、客としては最低なのだ」
「それは、分かります」
「しかし、私達はもう、我慢の限界を超えていたのだ。分かるかね」
「何となく」
「だが、どうであれ、客は客だ。私達がどうのこうのする訳にはいかぬ」
「左様で」
「そこでだ。私達の代わりに、あのイカれ野郎を成敗してくれる者を探しておったのじゃ」
「ほお」
「そこで君だ。初めての客で、他の客に面識がない。若いから、そうそう死なないだろう、ということで君が選ばれた」
「死んだらどうすんですか?」
「それは心配無い……した。君は私達の手厚い保護下にあったのだ。思い出してくれたまえ。君がどんなに危険な目にあっても、大丈夫だっただろう?」
「確かに。でもイリアにオールで叩かれた時は、死んだと思いましたよ」
「あれはハプニングだ。旅にハプニングは付きものだ。スパイスのようなものと考えてくれればいい」
「スパイスですか?」
「安心したまえ。君を引き上げ、ココナのいる世界に無事届けたであろう」
「海岸で伸びてましてけど」
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺はドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「次は確実に死にますよ」
「その時は、私の名を呼びたまえ。天才の……」
「お帰りなさいませ。お客様」
「ここは?」
「ここは、別荘の中ですよ」
「えっ、別荘って王女様の結婚式をしたところですか? それにしては何も無いような」
「ここは、別荘の中の、特別な部屋になります」
「もう、旅行の時間が終わったってことですよね」
「はい、そうです。次のゲートまでご案内いたします」
「ゲートって何ですか?」
「ゲートとは、各世界を繋ぐ扉のようなものです」
「ここは、仮想現実じゃないんですか?」
「お客様も、お気づきかと思いますが、ここは仮想の世界ではなく、実在する世界なんですよ」
「じゃあ」
「はい。誰かに言われませんでしたか? この世界での死亡は現実での死亡になると」
「うーん。聞いたような」
「”ツアーレ”は、疑似体験では満足せず、実在する異世界への旅行を実現してしまいました。しかし、それでは世間が騒ぎますので、便宜上、仮想現実として宣伝しているんですよ」
「どうりで、痛いし疲れるしって、本当に死ぬところでしたよ」
「良かったですね、運が良くて」
「そういう問題ですか」
「でも、大丈夫でしたよね」
「それは、そうですけど」
「私達が、しっかりとサポートしていましたから」
「私達って? …」
「もう、お忘れですか?」
「えっ、まさか! ココナ?」
「はい、ココナです。ユウキ」
「服装が全然違うから、気がつかなかった…というより別人みたいですね」
「女性には、いろんな仮面があるんですよ」
「よく見れば、確かにココナだ」
「では、そろそろ次のゲートにご案内いたします」
「そのゲートを通れば元の世界に戻るんですか?」
「いいえ。通ってきた世界を逆に辿るようにゲートを通過して現実に戻ります」
「面倒ですね。一気に戻れればいいのに」
「……さあ、行きましょう」
突然現れたドアを開け、俺は次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「破産しちゃいますよ」
「いい夢を、ありがとう」
「……」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「ヨーコさん?」
「そうかも、ですね」
「余り、話をしませんでしたね」
「出会ってから、お別れまでの時間が、短かったですからね」
「そう言えば俺は、溺れたんですか?」
「はい、びっくりしました。ちょっと予定外でした」
「予定外?」
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺は、そこにあるドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「死んじゃいますよ」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「隊長!」
「リリスで~す」
「異星人の侵略って、本当だったんですか?」
「ニャンのことかな~。分かんな~い」
「それ、ちょっと無理がありますよ」
「このぼけなすがー」
「ところで、ウララはどうなりました?」
「ううう」
俺の携帯が鳴った。いつの間にか俺のポケットに戻っている。
知らない番号からだ。
「出てみれば~」
「もしもし」
「ユウキ?」
「その声は、ウララ!」
「びっくりした? 今ね…」突然、切れた。死に癖は治らなかったのか?
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺は、そこにあるドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「無理ですよ~」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「クミコ?」
「覚えておったのか。責任は取って貰うぞ」
「分かったよ。責任を取ろう」
「ご冗談ですよ。お客様」
「本気だったのに」
俺の携帯が鳴った。ウララからだ。
「もしもし」
「ユウキ?」
「生きてた?」
「携帯、落としちゃって。生きてるよ」
「じゃあ、運命は変わったんだね」
「もちろんよ。それでね…」突然、切れた。
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺はドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
「責任は取れませんよ」
◇
「お帰りなさいませ。お客様」
「お姉さんですね」
「隠せないものだね、私の天才が」
「一目でわかりますよ」
「おお、それは良かった」
「本当、過労死するところでしたよ」
「あれも、これも、あのイカれ野郎のせいだ」
「そうですね。行き先ざきでケンジに出会うなんて、いい迷惑でしたよ」
「ほお、君は気付いていないのかね」
「はあ、何がです?」
「あれが、偶然ではなく、必然だったのを」
「はあ?」
「今の君になら、話しても許してくれるだろう。君がイカれ野郎と、ことごとく出会ったのは、全て私の筋書き通りだったと」
「筋書き? 何故何故?」
「始めに謝罪しておこう。すまぬことをした」
「いいですよ。もう済んだことですから」
「なら、次に進みたまえ。こちらにどうぞ」
「ええ!」
「冗談だ。真実を語ろう。しかし、ここを出たら忘れてくれて構わないぞ」
「続けてください」
「あのイカれ野郎ことケンジは、客としては最低なのだ」
「それは、分かります」
「しかし、私達はもう、我慢の限界を超えていたのだ。分かるかね」
「何となく」
「だが、どうであれ、客は客だ。私達がどうのこうのする訳にはいかぬ」
「左様で」
「そこでだ。私達の代わりに、あのイカれ野郎を成敗してくれる者を探しておったのじゃ」
「ほお」
「そこで君だ。初めての客で、他の客に面識がない。若いから、そうそう死なないだろう、ということで君が選ばれた」
「死んだらどうすんですか?」
「それは心配無い……した。君は私達の手厚い保護下にあったのだ。思い出してくれたまえ。君がどんなに危険な目にあっても、大丈夫だっただろう?」
「確かに。でもイリアにオールで叩かれた時は、死んだと思いましたよ」
「あれはハプニングだ。旅にハプニングは付きものだ。スパイスのようなものと考えてくれればいい」
「スパイスですか?」
「安心したまえ。君を引き上げ、ココナのいる世界に無事届けたであろう」
「海岸で伸びてましてけど」
「さあ、次に行きましょう。こちらにどうぞ」
俺はドアを開け、次のゲートへと向かう。
「また来てくださいね」
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