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#12 近代 ウララ編
#12.2 君、死にたもうことなかれ (2/2)
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目を開くとそこは……最初にいたアパートの部屋だった。
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「四ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『臨時ニュースです。
昨日のデパートで火災で、業務上過失致死傷の疑いの支店長……
本日、午後3時……』
勝手についたテレビに驚いた俺は、テレビのスイッチを切り、何が起こってるのか考えてみた。
家賃を取りに来るカツミ。それも、だんだん溜まっていくようだ。その直後に電話が掛かる。今回は掛かってこないようだ。じゃあ、勝手についたテレビは何だったのか。気になるので、もう一度テレビをつけてみる。
『……デパートの支店長ケンジ(36)が逮捕されました』
ケンジだって?
そう思った時、電話が鳴った。
「もしもし?」
『ユウキさん?」
「はい」
「私、ウララの母です」
「はい」
「実は、ウララが、うう」
「ウララが? どう……」
「デパートの火災に巻き込まれて……」
「それで、怪我は? 大丈夫なんですか?」
「……亡くなったの。ごめんなさいね。もっと早く電話できれば良かったんだけど」
俺は、そのあと、何を聞いたのか覚えていない。
◇
目を開くとそこは……最初にいたアパートの部屋だった。
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「五ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『ニュースです。
住宅街で発生した暴力団同士の発砲事件で、その巻き添えになった被害者のウララさんの死亡が確認されました』
はあ? って思っていると電話が掛かったきた。
「もしもし?」
『ユウキさん?」
「はい」
「私、ウララの母です」
「テレビ、見ました! どうして」
「ごめんなさいね。もっと早く電話できれば良かったんだけど」
俺は、そのあと、何を聞いたのか覚えていない。
◇
目を開くとそこは……最初にいたアパートの部屋だった。
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「六ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『臨時ニュースです……』。
テレビが、最初からついていたのか、それとも自動でスイッチが入ったのか分からない。テレビでは、飛行機事故のニュースをやっている。どうやら墜落したらしい。乗客・乗員の名簿がすごい勢いで流れていく。大勢いるのだろう。でもこれじゃ全然読めない。しかし、ウララの名前のところで一瞬だけ流れが止まった。
どう見てもおかしい。他の人の名前はフルネームなのに、”ウララ”としか表示されていない。ついでに何かの配慮なのか、年齢が省略されている。
更に画面は流れ、乗務員のところで止まった。そこには、ヨーコとココナの名前、年齢不詳とある。飛行機は、機長の異常行動で墜落したとある。その機長の名はケンジ。ケンジ=人類の敵は、この世界でも、その本領を発揮しているようだ。
このテレビ、何か仕掛けでもあるのかと裏を覗くと、電話が掛かってきた。と思ったら切れた。この時代でも、ワン切りはあるようだ。電話に気を取られている隙に、テレビの電源が切れていた。このテレビ、怪しくてしょうがない。
ウララは死んだ。これは連続殺人事件なのか。この世界は俺に、何を見せたいんだ? 俺は、ウララを知っている事になっているのか、それとも知らない事にするのか。どっちなのだろう。どのみち、ウララは死ぬ運命にあるようだ。諦めた方がいい。
この連鎖。家賃を払ったら終わるのか。
◇
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「四ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『臨時ニュースです。
昨日のデパートで火災で、業務上過失致死傷の疑いの支店長……
本日、午後3時……』
勝手についたテレビに驚いた俺は、テレビのスイッチを切り、何が起こってるのか考えてみた。
家賃を取りに来るカツミ。それも、だんだん溜まっていくようだ。その直後に電話が掛かる。今回は掛かってこないようだ。じゃあ、勝手についたテレビは何だったのか。気になるので、もう一度テレビをつけてみる。
『……デパートの支店長ケンジ(36)が逮捕されました』
ケンジだって?
そう思った時、電話が鳴った。
「もしもし?」
『ユウキさん?」
「はい」
「私、ウララの母です」
「はい」
「実は、ウララが、うう」
「ウララが? どう……」
「デパートの火災に巻き込まれて……」
「それで、怪我は? 大丈夫なんですか?」
「……亡くなったの。ごめんなさいね。もっと早く電話できれば良かったんだけど」
俺は、そのあと、何を聞いたのか覚えていない。
◇
目を開くとそこは……最初にいたアパートの部屋だった。
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「五ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『ニュースです。
住宅街で発生した暴力団同士の発砲事件で、その巻き添えになった被害者のウララさんの死亡が確認されました』
はあ? って思っていると電話が掛かったきた。
「もしもし?」
『ユウキさん?」
「はい」
「私、ウララの母です」
「テレビ、見ました! どうして」
「ごめんなさいね。もっと早く電話できれば良かったんだけど」
俺は、そのあと、何を聞いたのか覚えていない。
◇
目を開くとそこは……最初にいたアパートの部屋だった。
誰かが玄関のドアを叩く。
「ユウキさん、ユウキさん。いるんでしょう?」
俺の名前を呼ぶ、カツミの声。
「今、開けるよ」
俺は涙を拭って、ドアを開けた
「ユウキさん。家賃がまだなので支払ってください」
「カツミ、ちょっと待ってよ」
「六ヶ月前から待ってます」
「家賃って、数時間前に話ししたじゃないか」
「寝ぼけてますか? 今日は初対面です」
「そんな馬鹿な」
「家賃の支払いをお願いします」
「無理~」
「はあ、想定通りです。ユウキは相変わらず臆病者です」
「それほどでもない」
「分かりました。用意ができ次第、下の店舗に来てください」
カツミが去ると、玄関のドアが自動ドアのようにバタンと閉じた。それと同時にテレビの音声が聞こえてきた。
『臨時ニュースです……』。
テレビが、最初からついていたのか、それとも自動でスイッチが入ったのか分からない。テレビでは、飛行機事故のニュースをやっている。どうやら墜落したらしい。乗客・乗員の名簿がすごい勢いで流れていく。大勢いるのだろう。でもこれじゃ全然読めない。しかし、ウララの名前のところで一瞬だけ流れが止まった。
どう見てもおかしい。他の人の名前はフルネームなのに、”ウララ”としか表示されていない。ついでに何かの配慮なのか、年齢が省略されている。
更に画面は流れ、乗務員のところで止まった。そこには、ヨーコとココナの名前、年齢不詳とある。飛行機は、機長の異常行動で墜落したとある。その機長の名はケンジ。ケンジ=人類の敵は、この世界でも、その本領を発揮しているようだ。
このテレビ、何か仕掛けでもあるのかと裏を覗くと、電話が掛かってきた。と思ったら切れた。この時代でも、ワン切りはあるようだ。電話に気を取られている隙に、テレビの電源が切れていた。このテレビ、怪しくてしょうがない。
ウララは死んだ。これは連続殺人事件なのか。この世界は俺に、何を見せたいんだ? 俺は、ウララを知っている事になっているのか、それとも知らない事にするのか。どっちなのだろう。どのみち、ウララは死ぬ運命にあるようだ。諦めた方がいい。
この連鎖。家賃を払ったら終わるのか。
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