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#9 未来 リリス編
#9.2 痛恨の人選ミス
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猫型異星人。それは地球の猫と見分けが付かない程、よく似ている。唯一の違いは目付きだそうだ。それも、良い悪いではなく。異星人の目付きだとういう。
彼等の目的は人類を家畜化し、この地球を乗っ取ることにある。既に人類の99.999999%が、彼等が振りまくウィルスにより感染し、彼等の忠実なる僕となってしまった。
彼等が活発に活動する夜には、地球救世軍のある建物が攻撃され、今も激しい衝撃音が、中にいる俺達のところまで響いてくる。更に、我々を攻撃してくるのは彼等だけではなかった。我々の組織を快く思わない、全世界の人、組織、国が、ついでに攻撃してくるのだ。
だが、我々地球救世軍の建物は、周囲をシールドと呼ばれるもので守られているらしく、持ち堪えている。
もしかしたら、シールドとは、心の壁のことかもしれない。我々の、人類を救うという神聖なる志が、その壁を形作っているのだ。しかし、それがいつまで保つのかは、誰にも分からない。我々の、運命やいかに。
◇
第二回救世作戦。
我々地球救世軍は、昨日の戦闘により、大幅に数を減らした。正直に言おう。残存戦力は隊長と俺、そしてクミコの3名だけである。勇敢にして果敢な兵士だった46名が、彼等の忠実なる僕となった。
我々は急遽、体制を立て直し、奴らと遭遇した公園に向かった。新米である俺達にも新たなる武器が与えられ、奴らとの戦闘に備えた。
そうだ。今日の俺達は昨日までの俺達とは違う。強力な武器で奴らを蹴散らしてくれる。それが、散っていった仲間達への餞だ。
「お前達! 警戒を怠るな」
「イエス・マム」x 2
俺達は、公園のベンチに座っている。周囲を見渡すと、とてものどかだ。公園の遊具は点検済み。砂場の砂も整えた。人影も、奴らの気配も無い。順風満帆。一撃必殺。
風が、秋の到来を告げるかのように、爽やかな空気を運んでいる。その中に混じって、シャカシャカと機械音が聞こえてきた。それは次第に大きくなり、近づいてくる。
「総員、第一種警戒態勢!」
「イエス・マム」x 2
俺達は襲撃に備えた。耳を澄ませ周囲を警戒し、武器の最終確認をする。
「来た!」
隊長が吠える。
「総員、第一種攻撃態勢!」
「イエス・マム」x 2
「これは、演習ではない。繰り返す。これは演習ではない」
奴らの第一陣が現れた。シャカシャカ音の正体が判明。ドローン部隊だ。ドローンと合体した奴らが、編隊で向かってくる。
「迎撃用意! 迎撃始め!」
俺は、飛行編隊に向かって突進。俺の武器”じょうろ”を振り回す。しかし、上空の敵に対して”じょうろ”では、何の役にも立たない。痛恨の選択ミスである。
クミコは、飛行編隊に向かって突進。クミコの武器”手動式噴射機”で液体を噴射する。しかし、8個のプロペラを持つドローンの風圧は強烈で、噴射した液体がクミコの顔に吹き返される。想定外の選択ミスである。
隊長は、自慢の銃で、一発撃っては逃げ、逃げては一発撃つ、を繰り返している。痛恨の人選ミスである。
俺は、翻訳機のスイッチを入れた。
ネコ語0 > ニャーニャニャ。
日本語0 > こちら、キャット・ファイター・ルナ。敵を撃退。
ネコ語1 > ニャニャニャーニ。
日本語1 > こちら、キャット・ファイター・アルテミス。敵を撃退。
ネコ語2 > ニャニャニャーニニ。
日本語2 > こちら、キャット・ファイター・ダイアナ。敵を撃退。
ネコ語3 > ニャニャニャーニニニャ。
日本語3 > こちら、キャット・タンク・炎の戦士。敵を発見。攻撃する。
戦車の形をした段ボールに身を包んだ敵が、その砲身を俺に向けている。気が付いたら、もうそこに、いたんだ。
俺は、”じょうろ”で応戦。これが役に立つ時が来た。思う存分、戦車に損害を与えた。敵は迷走を始める。
ネコ語4 > ニャニャニャーニニニ。
日本語4 > こちら、キャット・ファイター・マモル。援護する。
新たな敵のドローンが突如出現。俺の頭上でホバリングをしている。それを見上げる俺。どんな手を使ってくるか、要注意だ。その時、雨が降ってきた。天の恵み。晴れ渡る空に雨。運命は俺に味方した。
「ユウキ! 逃げろー。それは、
ファイナル・キャット・オシッコ・シャワー・タイム・アタックだー」
大口を開けて見上げていた俺は、のたうちまくった。一生後悔しそうだ。
「総員、撤退!」
俺達は、戦場を逃れ、退散した。完敗である。
◇
地球救世軍の本部に戻った俺達。誰も語ることもなく、沈黙が続いた。初めて味わった敗北。いろんな意味で塩っぱい。
「クミコ、大丈夫か? …クミコ!」
クミコの胸から白い猫が這い出てきた。そんな場所に隠れていたとは。もともと巨乳だったから、今ままで気が付かなかったぜ。クミコは、その猫を抱きかかえて、ご満悦だ。
「隊長! クミコが」
「どうしたのかな~。クミコ!」
「隊長! どうしましょう?」
「…仕方ないな~。放っておくのニャ」
「隊長!」
「大丈夫だよ~。大丈夫~」
「隊長まで失ったら、俺は、俺は」
「人類よ。我等と和解せよ」
「クミコ!」
「え? 私は今、何を言ったのだ?」
「心配ないよ~。侵略された人間は、時々変なことを言うだけで、害はないよ~」
「とうとう、クミコまで敵の手に落ちるとは」
◇◇
彼等の目的は人類を家畜化し、この地球を乗っ取ることにある。既に人類の99.999999%が、彼等が振りまくウィルスにより感染し、彼等の忠実なる僕となってしまった。
彼等が活発に活動する夜には、地球救世軍のある建物が攻撃され、今も激しい衝撃音が、中にいる俺達のところまで響いてくる。更に、我々を攻撃してくるのは彼等だけではなかった。我々の組織を快く思わない、全世界の人、組織、国が、ついでに攻撃してくるのだ。
だが、我々地球救世軍の建物は、周囲をシールドと呼ばれるもので守られているらしく、持ち堪えている。
もしかしたら、シールドとは、心の壁のことかもしれない。我々の、人類を救うという神聖なる志が、その壁を形作っているのだ。しかし、それがいつまで保つのかは、誰にも分からない。我々の、運命やいかに。
◇
第二回救世作戦。
我々地球救世軍は、昨日の戦闘により、大幅に数を減らした。正直に言おう。残存戦力は隊長と俺、そしてクミコの3名だけである。勇敢にして果敢な兵士だった46名が、彼等の忠実なる僕となった。
我々は急遽、体制を立て直し、奴らと遭遇した公園に向かった。新米である俺達にも新たなる武器が与えられ、奴らとの戦闘に備えた。
そうだ。今日の俺達は昨日までの俺達とは違う。強力な武器で奴らを蹴散らしてくれる。それが、散っていった仲間達への餞だ。
「お前達! 警戒を怠るな」
「イエス・マム」x 2
俺達は、公園のベンチに座っている。周囲を見渡すと、とてものどかだ。公園の遊具は点検済み。砂場の砂も整えた。人影も、奴らの気配も無い。順風満帆。一撃必殺。
風が、秋の到来を告げるかのように、爽やかな空気を運んでいる。その中に混じって、シャカシャカと機械音が聞こえてきた。それは次第に大きくなり、近づいてくる。
「総員、第一種警戒態勢!」
「イエス・マム」x 2
俺達は襲撃に備えた。耳を澄ませ周囲を警戒し、武器の最終確認をする。
「来た!」
隊長が吠える。
「総員、第一種攻撃態勢!」
「イエス・マム」x 2
「これは、演習ではない。繰り返す。これは演習ではない」
奴らの第一陣が現れた。シャカシャカ音の正体が判明。ドローン部隊だ。ドローンと合体した奴らが、編隊で向かってくる。
「迎撃用意! 迎撃始め!」
俺は、飛行編隊に向かって突進。俺の武器”じょうろ”を振り回す。しかし、上空の敵に対して”じょうろ”では、何の役にも立たない。痛恨の選択ミスである。
クミコは、飛行編隊に向かって突進。クミコの武器”手動式噴射機”で液体を噴射する。しかし、8個のプロペラを持つドローンの風圧は強烈で、噴射した液体がクミコの顔に吹き返される。想定外の選択ミスである。
隊長は、自慢の銃で、一発撃っては逃げ、逃げては一発撃つ、を繰り返している。痛恨の人選ミスである。
俺は、翻訳機のスイッチを入れた。
ネコ語0 > ニャーニャニャ。
日本語0 > こちら、キャット・ファイター・ルナ。敵を撃退。
ネコ語1 > ニャニャニャーニ。
日本語1 > こちら、キャット・ファイター・アルテミス。敵を撃退。
ネコ語2 > ニャニャニャーニニ。
日本語2 > こちら、キャット・ファイター・ダイアナ。敵を撃退。
ネコ語3 > ニャニャニャーニニニャ。
日本語3 > こちら、キャット・タンク・炎の戦士。敵を発見。攻撃する。
戦車の形をした段ボールに身を包んだ敵が、その砲身を俺に向けている。気が付いたら、もうそこに、いたんだ。
俺は、”じょうろ”で応戦。これが役に立つ時が来た。思う存分、戦車に損害を与えた。敵は迷走を始める。
ネコ語4 > ニャニャニャーニニニ。
日本語4 > こちら、キャット・ファイター・マモル。援護する。
新たな敵のドローンが突如出現。俺の頭上でホバリングをしている。それを見上げる俺。どんな手を使ってくるか、要注意だ。その時、雨が降ってきた。天の恵み。晴れ渡る空に雨。運命は俺に味方した。
「ユウキ! 逃げろー。それは、
ファイナル・キャット・オシッコ・シャワー・タイム・アタックだー」
大口を開けて見上げていた俺は、のたうちまくった。一生後悔しそうだ。
「総員、撤退!」
俺達は、戦場を逃れ、退散した。完敗である。
◇
地球救世軍の本部に戻った俺達。誰も語ることもなく、沈黙が続いた。初めて味わった敗北。いろんな意味で塩っぱい。
「クミコ、大丈夫か? …クミコ!」
クミコの胸から白い猫が這い出てきた。そんな場所に隠れていたとは。もともと巨乳だったから、今ままで気が付かなかったぜ。クミコは、その猫を抱きかかえて、ご満悦だ。
「隊長! クミコが」
「どうしたのかな~。クミコ!」
「隊長! どうしましょう?」
「…仕方ないな~。放っておくのニャ」
「隊長!」
「大丈夫だよ~。大丈夫~」
「隊長まで失ったら、俺は、俺は」
「人類よ。我等と和解せよ」
「クミコ!」
「え? 私は今、何を言ったのだ?」
「心配ないよ~。侵略された人間は、時々変なことを言うだけで、害はないよ~」
「とうとう、クミコまで敵の手に落ちるとは」
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