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#3 近代 カツミ編
#3.2 亡命者 (3/3)
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俺達はセリスを回収(バットは未回収)後、大使館ではなく駅に向かった。その駅で要人のおっさんを降ろすと、事務所に戻った。任務は失敗だったのか?
カツミ先生が、また黒板の前で反省会を始めた。もちろん、椅子の上に立っている。
「本日の任務は成功しました」
俺は手を上げて質問した。
「エージェント・カツミ、最終地点が違っていましたが、それで良かったんですか?」
「エージェント・ユウキ。いい質問です」
「それと」
「エージェント・ユウキ。質問を許可します」
「エージェントって付けるの、面倒なんですけど」
「エージェント・ユウキ。私もそう思っています」
「では、付けないということで、いいですか?」
「私も、人数が増えたのので、こうなるとは想定外でした。でも…」
「いいじゃないか、カツミ。オレも面倒だ。うう…」
セリスは一度も言った事が無い気がする。
モジモジするカツミ。トイレに行きたいのだろうか?
「分かりました。そうしましょうか。一応、規律だったんですが」
セリスが自分の胸のあたりを気にしていた。
「どうした? セリス。どこか痛むのか?」
事故の後だ。無理もないだろう。
「ああ、この辺が少し痛いんだ。ユウキ、少し揉んでくれよ」
「ここでか!」
「ん? ベットの上ならいいのか? オレはここでも構わないぞ」
イリアがホウキの柄で、俺とセリスの頭を、結構強めに叩いた。その後、イリアは知らん顔をしいてる。
「オホン。そういう事は後でしてください。説明を続けます」
俺とセリスは、頭を抱えて聞くことになった。
「本日の任務は成功です。目的地が変更になったのは、実は、私も知らなかったのです」
観衆のどよめきが…起こらなかった。
「続けます。要人と思われていた人物は、偽物、つまり替え玉でした。本物の要人は ”チーム ケンジ” が護送したそうです。私達は、最初から囮に利用されたようです」
また、”ケンジ”だ。どうしてくれよう。
「それでも、私達の任務は成功です。見事、囮の役目を果たせましたから。成功と言っていいでしょう。それに、報酬も出ましたから」
「やったー! やっと、お金が手に入る。これで俺達も、自由だー」
「”チーム ツアーレ”には報酬はでません」
「おー」「えー」「あー」
「何で! カツミ!」
「ユウキに呼び捨てにされるのは、ちょっと抵抗がありますね」
「何で! カツミ!、カツミ! 答えろ! カツミ!、カツミ!」
「はいはい。連呼されすぎて、慣れてしまいました。
それでは伺いますが、貴方達が壊した車の修理代、誰が支払うのでしょうか?」
「それは……必要経費じゃないんですか?」
「以前にも言いましたが、当社は民間諜報機関です。全て自前なんです。ということで、修理代を考慮しますと赤字になります。それとも、別途お支払いして頂けますか?」
「悪徳!」「ブラック!」「ハラッパ族!」
「大丈夫です。次の任務で挽回すれば良いだけです」
旅行社のお姉さんが言っていた。
「借金があっても、別の世界に移動できますか?」
『その場合、パスポートは”差し押さえ”となります。つまり、借金が返済されるまで、パスポートは一時無効となり、ご使用出来なくなってしまいます。これは、より現実的な旅行を楽しんで頂くための当社の方針となっております。ですから、なるべく借金をされない方が宜しいですよ。良い旅を』
何か、はめられている気がするのは、気のせいだろうか。
逃げることはMission Impossibleだ。
カツミ先生が、また黒板の前で反省会を始めた。もちろん、椅子の上に立っている。
「本日の任務は成功しました」
俺は手を上げて質問した。
「エージェント・カツミ、最終地点が違っていましたが、それで良かったんですか?」
「エージェント・ユウキ。いい質問です」
「それと」
「エージェント・ユウキ。質問を許可します」
「エージェントって付けるの、面倒なんですけど」
「エージェント・ユウキ。私もそう思っています」
「では、付けないということで、いいですか?」
「私も、人数が増えたのので、こうなるとは想定外でした。でも…」
「いいじゃないか、カツミ。オレも面倒だ。うう…」
セリスは一度も言った事が無い気がする。
モジモジするカツミ。トイレに行きたいのだろうか?
「分かりました。そうしましょうか。一応、規律だったんですが」
セリスが自分の胸のあたりを気にしていた。
「どうした? セリス。どこか痛むのか?」
事故の後だ。無理もないだろう。
「ああ、この辺が少し痛いんだ。ユウキ、少し揉んでくれよ」
「ここでか!」
「ん? ベットの上ならいいのか? オレはここでも構わないぞ」
イリアがホウキの柄で、俺とセリスの頭を、結構強めに叩いた。その後、イリアは知らん顔をしいてる。
「オホン。そういう事は後でしてください。説明を続けます」
俺とセリスは、頭を抱えて聞くことになった。
「本日の任務は成功です。目的地が変更になったのは、実は、私も知らなかったのです」
観衆のどよめきが…起こらなかった。
「続けます。要人と思われていた人物は、偽物、つまり替え玉でした。本物の要人は ”チーム ケンジ” が護送したそうです。私達は、最初から囮に利用されたようです」
また、”ケンジ”だ。どうしてくれよう。
「それでも、私達の任務は成功です。見事、囮の役目を果たせましたから。成功と言っていいでしょう。それに、報酬も出ましたから」
「やったー! やっと、お金が手に入る。これで俺達も、自由だー」
「”チーム ツアーレ”には報酬はでません」
「おー」「えー」「あー」
「何で! カツミ!」
「ユウキに呼び捨てにされるのは、ちょっと抵抗がありますね」
「何で! カツミ!、カツミ! 答えろ! カツミ!、カツミ!」
「はいはい。連呼されすぎて、慣れてしまいました。
それでは伺いますが、貴方達が壊した車の修理代、誰が支払うのでしょうか?」
「それは……必要経費じゃないんですか?」
「以前にも言いましたが、当社は民間諜報機関です。全て自前なんです。ということで、修理代を考慮しますと赤字になります。それとも、別途お支払いして頂けますか?」
「悪徳!」「ブラック!」「ハラッパ族!」
「大丈夫です。次の任務で挽回すれば良いだけです」
旅行社のお姉さんが言っていた。
「借金があっても、別の世界に移動できますか?」
『その場合、パスポートは”差し押さえ”となります。つまり、借金が返済されるまで、パスポートは一時無効となり、ご使用出来なくなってしまいます。これは、より現実的な旅行を楽しんで頂くための当社の方針となっております。ですから、なるべく借金をされない方が宜しいですよ。良い旅を』
何か、はめられている気がするのは、気のせいだろうか。
逃げることはMission Impossibleだ。
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