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#12 強い風
#12.2 風の便り
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爽やかな初夏の風が高原に吹く頃。
その高原でケイコとマチコは、これから何をするか相談している最中です。勿論、遊ぶ内容についてのことです。これが春先であればタンポポで遊ぶとか、夏であればサーフィンをするなどですが、生憎と中途半端な季節、それで悩んでいるという訳です。
「探検に行こう」
名案が浮かんだケイコです。但し、飽くまでプカプカと浮かんできた『だけ』です。その証拠に空を見上げながら言っていたからです。しかし、そんなことは先刻お見通しのマチコです。
「はあ? どこによぉ。なんか当てでもあるのぉ?」と本気にはしていないです。それに、
「さあ」と答える通常運転のケイコでした。
ビューン、ソワソワ、アレレのレ。
そんなやり取りをしていると、急にケイコの家に引き戻されたケイコたちです。呼んだのはヨシコ、カッコよく言えば召喚、呆れるケイコたちです。
「ちょっとぉ、ヨシコぉ、何してくれてんのよぉぉぉ」
呼び出した張本人であるヨシコに詰め寄るマチコです。もちろん、その後ろで何か言いたくてウズウズしているケイコです。そしてあれこれと考え、やっと
「ちょとおおお、ヨシコおおお、いけずううう」と言うことが出来ました、これですっきりのケイコです。
その逆、全然スッキリしていないヨシコ、
「あんたたち、それどころじゃないのよおおおおおおおおお」と血相を変えていました。それに「「あっそ」」のケイコたちです。
「何をそう慌てておるのじゃ、ヨシコおばさんや」
「そうだよぉ、おばさん」
ケイコに続けてマチコの『おばさん』口撃に、今回ばかりは怯まないヨシコおばさん、反撃です。
「つべこべ言ってないで、これを見るんだよー」
ヨシコが『これ』と言ったとたん、目の前に大きなスクリーンが登場、ちょうど大型テレビっといったところでしょうか。そこに映し出されたのは、なんと、ニュース番組です。それもニャーゴ、ニャージロウ、そしてノリコが出演しています。その番組こそ、『風の便り ニュース』、だそうです。
「風の子の皆さん、こんにちは」
ニュースに驚いているケイコとマチコをよそに、ノリコがニュースを始めました。因みに、画面の中央にニャーゴ、その右側にニャージロウ、そして画面の隅っこにノリコが写っています、続けましょう。
取り敢えずノリコの挨拶に、こちらも「こんにちはー」と返すケイコとマチコ、序でにペコリです。そしてその画面に向かって、
「ノリコや、元気そうでなによりじゃ」と偉そうに応えているケイコです。それに、
「あんたぁ、あの子と知り合いなのぉ」とマチコが尋ねると、
「いかにも。旅の途中で、途中で、途中で、の友じゃ、うん」のケイコです。
そんなケイコたちに、
「ほれ、あんたたち。ちゃんと見るんだよ」と喝を入れるヨシコです。
「「は~い」」
そうして、漸くニュース番組がノリコの司会で始まりました。
「ニュースをお知らせ、です。
最近、世界各地で風の子が行方不明になる事件が起きてるにゃ、です。
遊んでたら、どっかに行ってしまったシマコ、
遊んでたら、どっかに行ってしまったサチコ、
遊んでたら、どっかに行ってしまったリンコ、たちたちですにゃ、です」
「ちょっとぉ、この子、大丈夫?」と、ノリコの説明に心配するマチコ、
「大丈夫にゃ」と太鼓判を押すケイコ。その語尾の、
「にゃぁ?」に疑問なマチコです。
そんな視聴者の不安や疑問を払拭しようと続けるノリコです。
「任せてください、にゃ、です。
続けるですよ。唯一生き残ったミツコさんに聞いてみました、です」
「あれあれ、みんな死んじゃったのぉぉぉ」
『生き残った』に反応したマチコが驚きの声を上げましたが、それを、手をブラブラさせて制止するケイコ、
「静かに聞くんじゃもん」と言い放ちます。
「もん?」
またまた語尾が気になるマチコですが、画面の中央に神妙な趣のミツコが現れ、ニュースが続きます。あっと、中央に居たニャーゴは左にずれました。
「こんにちは、ミツコです。
私は、これを捕獲しました。見てください、これなんです」
画面全体に映し出された黒い物体。それはミツコが捕えた正体不明のドローンです。それを見たケイコが何時ものように、
「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、
「なに? それ」と不思議がるマチコ、
「あんぎゃあああ」と悲鳴を上げるノリコ、画面から消えてしまいました。
それでも、まだまだ続くミツコの怨念、いえ、説明です。
「これは間違いなく宇宙人が侵略のために作った機械なのです」
ミツコの恐ろしい口調と断言に、
「なんじゃあああ、こらあああ」と涙を堪えならが叫ぶケイコ、
「なに? それ」と冷静なマチコ、
「あんぎゃあああ」と画面には映っていませんが、どこかで叫ぶノリコの絶叫です。
それでも、まだまだ続くミツコの執念、いえ、説明です。
「疑う方も、信じられないと言う方もいるでしょう。でも残念です、本当のことなのなのです。ほら、その証拠に、これ自体が白状したのです。さあ、観念して正直に話すのです、さあああ」
ミツコに拘束されたドローンがプルプルと震えながら苦しがっています。しかし、容赦しないミツコに観念したのか、か細い音で、
「ピコピコピー」と証言したのです。それを聞き届けたミツコ、
「ほら、今、『そうだ』と言いましたよ。大変なんです! みなさん」と勝利宣言んです。それに、ほぼ泣いているケイコが、
「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、
「なに? それ」と興味なさそうなマチコ、
「あんぎゃあああ」とどこかで叫ぶノリコです。
たぶん、次が最後の一押し、念には念を入れてのミツコです。
「皆さん、気をつけてください。これで風の子たちが誘拐されたのは、間違いありません! きっとどこかで泣いているはずなんです!」
最後の一押しで、とうとう泣き出したケイコ、
「なんじゃあああ、こらあああ」です。
「あれ? 死んだって言ってなかったっけぇぇぇ」と何時も冷静なマチコ、というか、余り関心を寄せていない風でもあります。
「にゃー、にゃー、にゃにゃー」
これはニャーゴでもニャージロウでもなく、ノリコの鳴き声、いいえ、泣き声です。それを聞きつけたケイコは自分の涙を拭い、
「しっかりするのじゃ、ノリコ」と励まし、
「はい、にゃ」と、なんとか持ち直すノリコ、その語尾に
「にゃぁ?」と不思議がるマチコです。
ここで、画面から消えていたノリコがニャージロウに乗って再登場、画面に向かって、
「ということにゃ、です。みなさん、どうしましょう」と涙ながらに訴えたのでした。それに、毅然と立ち向かうケイコ、体がプルプルと震えても、です。
「どうもこうも、うむ、決まっておるじゃろうて」
「そうですよね」とケイコの檄に勇気を奮い立たせるノリコ、
「はあ?」と、何が決まっているのか分からないマチコです。
勇気を貰ったノリコは、涙を拭い、司会を続けます。
「でも、どこに居るのしょうか、にゃ~」
「う~む、それが問題じゃ」と考え込むケイコに、
「それは、問題ありません」とキッパリのミツコ、いきなりの再登場です。
「なんと」と目を丸くして驚くケイコに、
「宇宙です」と、またまたキッパリのミツコ。
「宇宙とな」と言いながら、さて、それはどこだろう、のケイコです。もちろん、そんなことは百も承知のミツコが、
「はい、空の上のまた上の、そのまた上です」と説明し、
「なるほど。では、どうやってそこまで行くかじゃが」と納得するも、また悩むケイコです。そして、話がトントン拍子に進んで行くことに、
「ええぇぇぇ、行くのぉぉぉ」と驚くマチコ、
「それなら任せておくれな。あれで行くといいよ」と久しぶりのヨシコです。
その『あれ」を見上げて、「ほっほー」と唸るケイコです。
◇
その高原でケイコとマチコは、これから何をするか相談している最中です。勿論、遊ぶ内容についてのことです。これが春先であればタンポポで遊ぶとか、夏であればサーフィンをするなどですが、生憎と中途半端な季節、それで悩んでいるという訳です。
「探検に行こう」
名案が浮かんだケイコです。但し、飽くまでプカプカと浮かんできた『だけ』です。その証拠に空を見上げながら言っていたからです。しかし、そんなことは先刻お見通しのマチコです。
「はあ? どこによぉ。なんか当てでもあるのぉ?」と本気にはしていないです。それに、
「さあ」と答える通常運転のケイコでした。
ビューン、ソワソワ、アレレのレ。
そんなやり取りをしていると、急にケイコの家に引き戻されたケイコたちです。呼んだのはヨシコ、カッコよく言えば召喚、呆れるケイコたちです。
「ちょっとぉ、ヨシコぉ、何してくれてんのよぉぉぉ」
呼び出した張本人であるヨシコに詰め寄るマチコです。もちろん、その後ろで何か言いたくてウズウズしているケイコです。そしてあれこれと考え、やっと
「ちょとおおお、ヨシコおおお、いけずううう」と言うことが出来ました、これですっきりのケイコです。
その逆、全然スッキリしていないヨシコ、
「あんたたち、それどころじゃないのよおおおおおおおおお」と血相を変えていました。それに「「あっそ」」のケイコたちです。
「何をそう慌てておるのじゃ、ヨシコおばさんや」
「そうだよぉ、おばさん」
ケイコに続けてマチコの『おばさん』口撃に、今回ばかりは怯まないヨシコおばさん、反撃です。
「つべこべ言ってないで、これを見るんだよー」
ヨシコが『これ』と言ったとたん、目の前に大きなスクリーンが登場、ちょうど大型テレビっといったところでしょうか。そこに映し出されたのは、なんと、ニュース番組です。それもニャーゴ、ニャージロウ、そしてノリコが出演しています。その番組こそ、『風の便り ニュース』、だそうです。
「風の子の皆さん、こんにちは」
ニュースに驚いているケイコとマチコをよそに、ノリコがニュースを始めました。因みに、画面の中央にニャーゴ、その右側にニャージロウ、そして画面の隅っこにノリコが写っています、続けましょう。
取り敢えずノリコの挨拶に、こちらも「こんにちはー」と返すケイコとマチコ、序でにペコリです。そしてその画面に向かって、
「ノリコや、元気そうでなによりじゃ」と偉そうに応えているケイコです。それに、
「あんたぁ、あの子と知り合いなのぉ」とマチコが尋ねると、
「いかにも。旅の途中で、途中で、途中で、の友じゃ、うん」のケイコです。
そんなケイコたちに、
「ほれ、あんたたち。ちゃんと見るんだよ」と喝を入れるヨシコです。
「「は~い」」
そうして、漸くニュース番組がノリコの司会で始まりました。
「ニュースをお知らせ、です。
最近、世界各地で風の子が行方不明になる事件が起きてるにゃ、です。
遊んでたら、どっかに行ってしまったシマコ、
遊んでたら、どっかに行ってしまったサチコ、
遊んでたら、どっかに行ってしまったリンコ、たちたちですにゃ、です」
「ちょっとぉ、この子、大丈夫?」と、ノリコの説明に心配するマチコ、
「大丈夫にゃ」と太鼓判を押すケイコ。その語尾の、
「にゃぁ?」に疑問なマチコです。
そんな視聴者の不安や疑問を払拭しようと続けるノリコです。
「任せてください、にゃ、です。
続けるですよ。唯一生き残ったミツコさんに聞いてみました、です」
「あれあれ、みんな死んじゃったのぉぉぉ」
『生き残った』に反応したマチコが驚きの声を上げましたが、それを、手をブラブラさせて制止するケイコ、
「静かに聞くんじゃもん」と言い放ちます。
「もん?」
またまた語尾が気になるマチコですが、画面の中央に神妙な趣のミツコが現れ、ニュースが続きます。あっと、中央に居たニャーゴは左にずれました。
「こんにちは、ミツコです。
私は、これを捕獲しました。見てください、これなんです」
画面全体に映し出された黒い物体。それはミツコが捕えた正体不明のドローンです。それを見たケイコが何時ものように、
「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、
「なに? それ」と不思議がるマチコ、
「あんぎゃあああ」と悲鳴を上げるノリコ、画面から消えてしまいました。
それでも、まだまだ続くミツコの怨念、いえ、説明です。
「これは間違いなく宇宙人が侵略のために作った機械なのです」
ミツコの恐ろしい口調と断言に、
「なんじゃあああ、こらあああ」と涙を堪えならが叫ぶケイコ、
「なに? それ」と冷静なマチコ、
「あんぎゃあああ」と画面には映っていませんが、どこかで叫ぶノリコの絶叫です。
それでも、まだまだ続くミツコの執念、いえ、説明です。
「疑う方も、信じられないと言う方もいるでしょう。でも残念です、本当のことなのなのです。ほら、その証拠に、これ自体が白状したのです。さあ、観念して正直に話すのです、さあああ」
ミツコに拘束されたドローンがプルプルと震えながら苦しがっています。しかし、容赦しないミツコに観念したのか、か細い音で、
「ピコピコピー」と証言したのです。それを聞き届けたミツコ、
「ほら、今、『そうだ』と言いましたよ。大変なんです! みなさん」と勝利宣言んです。それに、ほぼ泣いているケイコが、
「なんじゃあああ、こらあああ」と叫び、
「なに? それ」と興味なさそうなマチコ、
「あんぎゃあああ」とどこかで叫ぶノリコです。
たぶん、次が最後の一押し、念には念を入れてのミツコです。
「皆さん、気をつけてください。これで風の子たちが誘拐されたのは、間違いありません! きっとどこかで泣いているはずなんです!」
最後の一押しで、とうとう泣き出したケイコ、
「なんじゃあああ、こらあああ」です。
「あれ? 死んだって言ってなかったっけぇぇぇ」と何時も冷静なマチコ、というか、余り関心を寄せていない風でもあります。
「にゃー、にゃー、にゃにゃー」
これはニャーゴでもニャージロウでもなく、ノリコの鳴き声、いいえ、泣き声です。それを聞きつけたケイコは自分の涙を拭い、
「しっかりするのじゃ、ノリコ」と励まし、
「はい、にゃ」と、なんとか持ち直すノリコ、その語尾に
「にゃぁ?」と不思議がるマチコです。
ここで、画面から消えていたノリコがニャージロウに乗って再登場、画面に向かって、
「ということにゃ、です。みなさん、どうしましょう」と涙ながらに訴えたのでした。それに、毅然と立ち向かうケイコ、体がプルプルと震えても、です。
「どうもこうも、うむ、決まっておるじゃろうて」
「そうですよね」とケイコの檄に勇気を奮い立たせるノリコ、
「はあ?」と、何が決まっているのか分からないマチコです。
勇気を貰ったノリコは、涙を拭い、司会を続けます。
「でも、どこに居るのしょうか、にゃ~」
「う~む、それが問題じゃ」と考え込むケイコに、
「それは、問題ありません」とキッパリのミツコ、いきなりの再登場です。
「なんと」と目を丸くして驚くケイコに、
「宇宙です」と、またまたキッパリのミツコ。
「宇宙とな」と言いながら、さて、それはどこだろう、のケイコです。もちろん、そんなことは百も承知のミツコが、
「はい、空の上のまた上の、そのまた上です」と説明し、
「なるほど。では、どうやってそこまで行くかじゃが」と納得するも、また悩むケイコです。そして、話がトントン拍子に進んで行くことに、
「ええぇぇぇ、行くのぉぉぉ」と驚くマチコ、
「それなら任せておくれな。あれで行くといいよ」と久しぶりのヨシコです。
その『あれ」を見上げて、「ほっほー」と唸るケイコです。
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