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#12 世界を救ったで章

#12.3 可愛い娘達がいました

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三日後、作戦の成功を祝う祝賀パーティーが開かれました。皆さん、着飾っての参加です。脅威が去った後のパーティーは何だか開放的です。

当時、連絡の取れなくなっていた政府とも交渉が上手くいき我が国の領土は1000倍も拡大しました。だって誰も居ませんでしたから、そこに旗を立ててきたので。するとどうでしょう、旗の先に誰も入れなくなってしまったのです。別に何か仕掛けをした訳ではありません。心理的にその先に進めなくなったようです。お陰で傘下に入る企業や人が増えました。もう、窓から手を出したらそこは外国、ということは無くなりました。

パーティー会場の隅が騒がしいですが、その中心にマオがいます。そうです、回収してきました。もう、放っておくと何をしでかすか分からないですから。仕方ないので手元に置くことにしました。もう一人の魔王ことケンジも序でに回収し政府に引き取ってもらいました。今頃は都市破壊の件で絞られていることでしょう。

シロちゃんの話では転移装置を使って召喚した魔王の意識は24時間位で元の世界に戻ってしまうそうです。それにしても政府はよく分からないもので、とんでもないことをしたものです。

まあ、こんなところでしょうか。それでは乾杯の挨拶をさせて頂きます。

「我が国の安全と繁栄を願って、乾杯!」
「「乾杯!」」

お酒の飲めない私はジュースを飲んでいます。その他の方は無礼講です。今日のこの一時は宜しいでしょう。

「俺の活躍を見たか!」

マオがはしゃいでいます。自分が何をしたのか相変わらず自覚が無いようです。ちょっと聞き耳を立ててみましょう。

「何が活躍だ、この戯け者が」

アッ君がマオを打った叩いています。アッ君との約束の通り、今は正式に国民となりました。この人も放っておくとロクなことをしなさそうです。

「そうじゃマオ、お前のせいで死ぬところじゃったんだぞう。死んで詫びよ」

シロちゃんもそうですね、序でに引き取ることにしました。結局、厄介なジジイ達です。

「おいマオ、お前は力が使えなかったんじゃないのか」とマオを小突いているアッ君。それに、
「ああ、俺もそう思っていたんだが、なんだかこう力が湧いてきてな」と能天気なマオ。
「お前は馬鹿だからな、そんな力、どっかに捨ててこい」
「なにおーって、もうねえよ、そんな力」
「本当か、なら結構だ」

「なにが結構だ、仮に残ってても今じゃ魔王が5人も居るんだぞ。お前達も気をつけろ、特にシロちゃんはよって、居ないじゃないかよ」

そうです、すみれ組5人全員が魔王の力を覚醒させたのです。これで向かうところ敵なしです。

次郎は太郎にべったりとくっついています。次郎にとっては太郎は命の恩人ですからね。騙された揚げくに命を狙われましたが、情報を漏らしたことには変わりはありません。次郎の処罰については考えどころです。

少し離れて綺麗なドレスを着た栄子がいます。孫にも衣装とはこのことでしょうか、とても似合っています。太郎と次郎がベタベタなので少し離れていますが、そこにシロちゃんの登場です。その魂胆、見え見えですよ。

「わしと踊ってくれんかの」と栄子の前に立ち塞がるシロちゃんに、
「嫌です、いやらしい」と言いながら距離を取る栄子です。

それでもシロちゃんが何とかして栄子に触ろうとしています。これはでは、いくら無礼講でも許せませんね。それに栄子は武器になるものは持っていません。いざとなれば、です。

「なら、触るだけで許そう」としつこいシロちゃんに、
「嫌です、あっち行ってください」と更に逃げる栄子です。

そこにマオ達が近寄ってきました。シロちゃんの無礼を止めてくれるのでしょうか、期待薄です。

「おい、エロジジイ、また問題を起こす気か」とマオですが、
「マオ、お主には言われとうないわ」と言い返すシロちゃんです。
「シロちゃんよ、こんな小娘相手に何やってるんだ」
「わしはこやつの恩師なんじゃぞ、何をしても良いはずじゃ」
「アホか」

マオがシロちゃんを蹴飛ばしました。私の教育が功を奏したようです。見事に倒れたシロちゃんですが、その場で回転し栄子の足首を掴みました。どうやら最初からそれが狙いだったようです。

「なにすんだよ、このエロボケジジイ。お前も吹き飛ばしてやる、えい!」と叫ぶ栄子に、
「ホッホー、お主も魔王になったのかの、ホッホー」と動じないシロちゃんです。

これはいけません。マオ達も何ぼさっと見ているのですか、シロちゃんを引き剥がしなさい。なら私が、と思った時です。シロちゃんの体が後ろの方に引っ張られていきます。

「何じゃ、何じゃ、おお」

飛ばされそうになったシロちゃんがアッ君の腕を掴みました。

「何をする、離せジジイ」

そう言いながらアッ君もマオの腕を掴みました。

「おい、何すんだよ、離せよ」
「一回、死んでこい、えい!」

栄子の一声で吹き飛ばされていくジジイ達です。その姿は会場から消えて行きました。まあ、あなたまで魔王の力を。ジジイ達がどこまで飛んで行ったのかは知りませんが、今度は大丈夫です。この国は広くなりましたから、どこに飛んでいっても国内です。存分に羽を伸ばしてきて下さい。

そんな光景を微笑ましく見つめる私たちすみれ組です。良い風が吹くこと願って止みません。


むかしむかし、あるところに、可愛い娘達がいました。その娘達は国を治め、魔王の力で平和を、友情と信頼で国民との絆を深め、末長く繁栄したそうです。その娘達はすみれ組と呼ばれ皆から愛され続けたのでした。めでたし、めでたし。

【おわり】
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