17 / 44
#5 魔王をやっつけるで章
#5.2 じーさんず
しおりを挟む【刻狼亭】別館の旅館内部にある『従業員休憩所』。
怒りに拳を震わせて喚いているのは年若い従業員達ばかりだった。
「貴族の奴等、引っ掻いてやりたい!」
「客だからって何でも許されると思うな!」
「俺はお前等の召使じゃねぇーんだっつーの」
「何がチップはずむから相手をしろなのよ!ふざけんなっていうのよ!」
金持ちの上客相手にやり返す事も出来ずにこうして、すごすごと休憩所で愚痴の言い合いをしてストレスを発散させる従業員に交じり、若女将の朱里も交じって休憩所の座布団の上でぺたーんと伸びている。
「若女将、大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫、じゃないです!貴族の態度の悪さなんなのー!」
朱里が座布団を握りしめながら足をバタバタさせて喚いて、従業員が朱里に同情の目を向ける。
「あー、若女将も被害に遭いましたか」
「あの貴族連中早く帰ってほしいですよねー」
「若に媚売りに来てるのはいいけど、私等に横暴な態度を取れば若にも連絡入るのにバカじゃないのって思いますよね」
「他国の重鎮だか何だか知らないけど、うちを他の旅館と同じにみるなっつーの!」
ワッと同じ思いの従業員が喚いては愚痴を募らせる。
ベテランの古株従業員達は仕方がない奴等だと生暖かい視線を送るも、分からなくは無いと頷きもする。
「若女将はどんな目にあったんです?」
「貴族の子供達に、廊下とかで道塞がれたり、わざとぶつかられたりしてるの!スカートはめくられるし、三角巾は取られたりするし、とにかく嫌がらせが酷いの!」
朱里が顔を上げて従業員に話すと、従業員が同情の目を向ける。
小さい体の朱里は貴族の子供の恰好のオモチャなのだ。
一応、従業員の様な立場でうろちょろしている朱里がお客の子供相手に大きな態度をとるわけにもいかず、絡まれたら逃げたり隠れたりで、余計に子供達をヒートアップさせている。
ルーファスに相手にしなくても良いと言われたが、調理場から出ると廊下などで捕まったり、旅館の自分の部屋に戻ると部屋の前で待ち構えられたりしている。
貴族の子供達に目をつけられてからは【刻狼亭】の印字されていない三角巾したりしていても、追い回されてハガネや、何故か朱里を追い回していたはずのイルマール達に助けられたりしている。
「若女将、子供に目をつけられやすいですからね・・・」
「ううっ・・・子供は好きだけど、あの子達は嫌い」
旅館で暇を持て余している子供ほど性質の悪い物は無いのではないかと言うぐらいには朱里の中で貴族の子供は最悪なモノになっている。
ルーファスの叔父ギルよりも性質が悪いのでは?とすら思っている。
ギルは現在【刻狼亭】の料亭の方で癖のある上客相手にルーファスとやりこめている最中らしく、アルビーが「とても静かな屋敷になってるよ」と言っている。
「今日は若女将はジュース作り終わったんですか?」
「終わりましたー。廊下の子供が居なくなったら帰ります」
朱里が貴族の子供に追い回されるようになって体力的にフラフラと危ない足取りの朱里に周りからストップがかかり、今現在は1日限定100本『復興祈願ジュース』として売り出して毎日売り切っている。
よって朱里の働く時間はとても短い。
「アカリ、そろそろ大丈夫そうだぞ」
ハガネが廊下を見回し、朱里が従業員に「お疲れ様です。お先に失礼します」と丁寧にお辞儀をしてからソロソロと廊下に出ていく。
「貴族のガキ共に見つからない様に部屋から出ないようにな?」
「今日は部屋に戻って編み物の続きでもするよ」
「まだやってたのか?」
「ハガネが色々編み方教えてくれたからバリエーション増えて楽しいよ」
何気に朱里の髪の結い紐を結ったり、小手先器用な事が得意なハガネは編み物も色々知っていて、ネルフィームに貰った毛糸で朱里に色々な編み方を教えてくれた。
「まぁアカリが楽しいなら良いけどな。俺は飽き性だから1時間で止めちまうな」
「編み方いっぱい覚えてるのにね」
「俺の前の主君が何も出来ない分、色々覚えたからな。アイツは本当に何やらせても酷かった」
「ハガネの前の主君はどんな人だったの?」
ハガネが片眼を開けて朱里を見ながらフッと笑うと、「じゃあ、茶菓子でも出してくれよ」そう言って朱里の借りている客室を開けて入っていく。
朱里が編み物の準備をし、茶菓子をテーブルに置いて座椅子に腰掛けると、ハガネが朱里にお茶を出して朱里の向かい側の座椅子に腰を掛ける。
「俺の初めての主君は、自信家で堂々として、不器用な変な女だった」
怒りに拳を震わせて喚いているのは年若い従業員達ばかりだった。
「貴族の奴等、引っ掻いてやりたい!」
「客だからって何でも許されると思うな!」
「俺はお前等の召使じゃねぇーんだっつーの」
「何がチップはずむから相手をしろなのよ!ふざけんなっていうのよ!」
金持ちの上客相手にやり返す事も出来ずにこうして、すごすごと休憩所で愚痴の言い合いをしてストレスを発散させる従業員に交じり、若女将の朱里も交じって休憩所の座布団の上でぺたーんと伸びている。
「若女将、大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫、じゃないです!貴族の態度の悪さなんなのー!」
朱里が座布団を握りしめながら足をバタバタさせて喚いて、従業員が朱里に同情の目を向ける。
「あー、若女将も被害に遭いましたか」
「あの貴族連中早く帰ってほしいですよねー」
「若に媚売りに来てるのはいいけど、私等に横暴な態度を取れば若にも連絡入るのにバカじゃないのって思いますよね」
「他国の重鎮だか何だか知らないけど、うちを他の旅館と同じにみるなっつーの!」
ワッと同じ思いの従業員が喚いては愚痴を募らせる。
ベテランの古株従業員達は仕方がない奴等だと生暖かい視線を送るも、分からなくは無いと頷きもする。
「若女将はどんな目にあったんです?」
「貴族の子供達に、廊下とかで道塞がれたり、わざとぶつかられたりしてるの!スカートはめくられるし、三角巾は取られたりするし、とにかく嫌がらせが酷いの!」
朱里が顔を上げて従業員に話すと、従業員が同情の目を向ける。
小さい体の朱里は貴族の子供の恰好のオモチャなのだ。
一応、従業員の様な立場でうろちょろしている朱里がお客の子供相手に大きな態度をとるわけにもいかず、絡まれたら逃げたり隠れたりで、余計に子供達をヒートアップさせている。
ルーファスに相手にしなくても良いと言われたが、調理場から出ると廊下などで捕まったり、旅館の自分の部屋に戻ると部屋の前で待ち構えられたりしている。
貴族の子供達に目をつけられてからは【刻狼亭】の印字されていない三角巾したりしていても、追い回されてハガネや、何故か朱里を追い回していたはずのイルマール達に助けられたりしている。
「若女将、子供に目をつけられやすいですからね・・・」
「ううっ・・・子供は好きだけど、あの子達は嫌い」
旅館で暇を持て余している子供ほど性質の悪い物は無いのではないかと言うぐらいには朱里の中で貴族の子供は最悪なモノになっている。
ルーファスの叔父ギルよりも性質が悪いのでは?とすら思っている。
ギルは現在【刻狼亭】の料亭の方で癖のある上客相手にルーファスとやりこめている最中らしく、アルビーが「とても静かな屋敷になってるよ」と言っている。
「今日は若女将はジュース作り終わったんですか?」
「終わりましたー。廊下の子供が居なくなったら帰ります」
朱里が貴族の子供に追い回されるようになって体力的にフラフラと危ない足取りの朱里に周りからストップがかかり、今現在は1日限定100本『復興祈願ジュース』として売り出して毎日売り切っている。
よって朱里の働く時間はとても短い。
「アカリ、そろそろ大丈夫そうだぞ」
ハガネが廊下を見回し、朱里が従業員に「お疲れ様です。お先に失礼します」と丁寧にお辞儀をしてからソロソロと廊下に出ていく。
「貴族のガキ共に見つからない様に部屋から出ないようにな?」
「今日は部屋に戻って編み物の続きでもするよ」
「まだやってたのか?」
「ハガネが色々編み方教えてくれたからバリエーション増えて楽しいよ」
何気に朱里の髪の結い紐を結ったり、小手先器用な事が得意なハガネは編み物も色々知っていて、ネルフィームに貰った毛糸で朱里に色々な編み方を教えてくれた。
「まぁアカリが楽しいなら良いけどな。俺は飽き性だから1時間で止めちまうな」
「編み方いっぱい覚えてるのにね」
「俺の前の主君が何も出来ない分、色々覚えたからな。アイツは本当に何やらせても酷かった」
「ハガネの前の主君はどんな人だったの?」
ハガネが片眼を開けて朱里を見ながらフッと笑うと、「じゃあ、茶菓子でも出してくれよ」そう言って朱里の借りている客室を開けて入っていく。
朱里が編み物の準備をし、茶菓子をテーブルに置いて座椅子に腰掛けると、ハガネが朱里にお茶を出して朱里の向かい側の座椅子に腰を掛ける。
「俺の初めての主君は、自信家で堂々として、不器用な変な女だった」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~
青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
一年後に君はいない
柴野日向
ライト文芸
「僕、来年死ぬんだ」
同じ高校に入学した少年、結城佑は言った。
「私、時間を戻せるんだ」
南浜高校の二年生である茜瑞希はそう返した。
誰とでもすぐに仲良くなり、人懐こい佑は特に瑞希を好いていた。彼に辟易しながらも、瑞希は同じサークルで活動し、時には共に心霊スポットを巡り、神様のいる川を並んで眺めた。
佑の運命と瑞希の能力。その二つの深い関わりを、二人はまだ知らない。

新人聖騎士、新米聖女と救済の旅に出る~聖女の正体が魔王だなんて聞いてない~
福留しゅん
ファンタジー
「実は余は魔王なのです」「はい?」「さあ我が騎士、共に救済の旅に出ましょう!」「今何つった?」
聖パラティヌス教国、未来の聖女と聖女を守る聖騎士を育成する施設、学院を卒業した新人聖騎士ニッコロは、新米聖女ミカエラに共に救済の旅に行こうと誘われる。その過程でかつて人類に絶望を与えた古の魔王に関わる聖地を巡礼しようとも提案された。
しかし、ミカエラは自分が魔王であることを打ち明ける。魔王である彼女が聖女となった目的は? 聖地を巡礼するのはどうしてか? 古の魔王はどのような在り方だったか? そして、聖地で彼らを待ち受ける出会いとは?
普通の聖騎士と聖女魔王の旅が今始まる――。
「さあ我が騎士、もっと余を褒めるのです!」「はいはい凄い凄い」「むー、せめて頭を撫でてください!」
※小説家になろう様にて先行公開中
シシルナ島物語 隻眼の牙狼族の少年 ノルドの成長譚
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

恋する私の日常~彼との出会いから別れまで~
六角
恋愛
大学のサークルで出会ったカッコ良い男性に恋心を抱いた主人公。しかし彼には彼女がいて、諦めかけた時に彼から告白され、交際がスタート。しかし彼との関係が深まるにつれて、不安が募り、ついに彼との別れを決意する。それから数年後、偶然再会した彼からの言葉に、再び心を揺さぶられる主人公。彼との関係が再び始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる