3 / 5
第3話 成長する被転生者
しおりを挟む月日は流れ、あれから3年が経った。12歳だった少年たちも今は15歳となり青春真っ只中、多感な日々を送っていることだろう。但し、少年Aこと新生Aにとって、である。一方の少年Bは、……?、???、ちょっと待て! 少年Bと思っていた少年が……可憐な少女の姿をしているではないか。——補足しておくが、その姿は生前の、在りし日の延長であり、決して自らの想像で創造したものではない。その根拠として一例を挙げると、それは幽霊の姿を見れば一目瞭然である。その幽霊、生前と全く違う姿をしていたら困るだろう、……いや、誰だか分からなくなってしまうだろう。よって生きていた頃の姿を継承するのが普通だ。それがもし普通でないとしたら、……いや、クドくなるのでここまでにしておこう。以降、少年Bを改め、女性らしく「ユイ」とする。
とすると、新生Aは良き青年に成長した、と思いきや、美しい少女になっているではないか。こちらは事情が面倒だ。何せ人格というか心は少年Aであり、体は少女Bでは何かと不都合が、——その辺の混乱は3年の月日の間にアレコレとあっただろうが、今では落ち着いて(馴染んで)いるようだ。以降、新生Aを改め、中性的な名称「ヒロミ」としよう。
それよりもなにも神が性別を間違えるとは、……と今更文句を言ったところで、これこそ後の祭りということだ。それと、神とやらが人間の性別を正確に理解していたかどうかなど怪しいところではあるが、敢えてそうしたとも考えられる。どちらにせよ、その真相はまさしく「神のみぞ知る」だ。
ところで、さり気なく少女Bは成長し、とあるが、霊体だか精神・意識体、魂などなど、とにかく実体の無い? フワッとした存在であるユイに成長など有り得るのだろうか。答えは「ある」だ。先程の、姿形の例のように、霊が人生最後の姿をしているということで説明がつくだろう。今回は普通と違い、ユイの体が生きて成長しているからである。但しその体はヒロミによってユイとして生きている。
ユイの肉体が生き続け、かつ成長しているのであるから、ユイの霊体のような存在も一緒に成長するのは自然の流れであろう。そして更に、どこだか知らない場所でユイは、見たり聞いたり話をすることが出来るようになっている。が、これはそのような器官が有る訳ではないので、飽くまでユイが思い浮かべる想像の上で、のことであり、話す相手は神B、見えるのは想像上の世界か、または「あの世・天国」のようなところだろう。
では、そのような能力、つまり感覚や思考する能力はどうなっているのか。その答えは簡単である。生存している肉体があるのだから、ユイはヒロミの能力、ズバリ「脳」をヒロミと共有しているのである。これが可能となるのは、ヒロミの体はもともとユイの支配下にあったものであり、肉体と心が離れ離れになっている現状でも、そうそう縁が切れるものではないからだ。これは、霊が生前の姿を反映していることからも推測できるだろう。
そうなると、「脳」を共有することによって、却って2人が混乱するだけではないか、という疑問が生じる。これは次のように説明できる。
オーラをご存知だろうか。それを人体から発する霊的な何かであると定義すると、それが人によって違うものだということに異論はないだろう。この、人によって違うというのはつまり、……個性でも良いが、波長が異なると言える。謂わば人の固有振動とすれば、それには周波数があるということであり、その周波数が異なるが故に「脳」を共有しても問題がない。
具体的には、ヒロミが脳を使用する時はヒロミの周波数を使い、ユイの場合はユイの周波数が使われる。それぞれ周波数が異なるので脳にアクセスするタイミングが異り、よって共有が可能となる。そして周波数が異なれば互いに混信することなく干渉もされない(殆どの場合)。これはヒロミとユイが互いの存在を認識できないことも意味し、同様なことはラジオやテレビでも起きていることである。但し、他の人よりも余計に脳を酷使することになるので、実体を持つヒロミは疲れやすいだろう。
こうしてユイが人並みに思考できる仕組みが解明されたとする。となれば、次にユイが思い考えることといえば、それは自身の復活になるだろう。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうでもいいことを気にせず書いちゃう日記(Jan.2025)
弘生
エッセイ・ノンフィクション
どうでもいいことを、ハッと思った時にそのまんま書いてしまおうという、誰の何の役にも立たん、独り言が口に出てしまったようなメモ日記
あとで自分の役には立つかも知れん
〈完結〉2022年四度目の北海道チャリ旅行は体重増加でママチャリに泣く泣く別れを告げ「ミヤタのフリーダム・タフ」で行くことにしたのだ。
江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
一回目は2019年「50女がママチャリで北海道を回ってみた」。
二回目は2020年「続・50女がママチャリで北海道を回ってみた~2020ソーシャルディスタンスな基本現地レポ」。
三回目は2021年「続々・50女がママチャリで北海道を回ってきた・道南やめてオロロン逆襲のちにスポークが折れてじたばたした話。」
この三回目でとうとうママチャリなり通学用自転車では積載荷重に無理があることが判ってしまった筆者。
そこで今回は国産メーカーのミヤタ自転車の「フリーダム・タフ」でスポーツ自転車デビュー。
勝手が全く変わってくるママチャリ旅との違い含めて今年も行くぞレポでございます。
アルファポリスでの『書籍化』はナニに魂を売ればデキる?
まみ夜
エッセイ・ノンフィクション
※夢多きお子様は、薄汚い大人にならないように、お読みにならないコトを推奨いたします。
※個人の感想です。効果、効能を保証するモノでは、ございません。
※転記は一切許可しておりません。また、引用には著作権法により厳密なルールが定められているので、ご注意ください。
自信満々に物語を書いて、早くも1500ポイント達成かと思っていたら、NEWが取れたら激減。
他の物語に負けないと思っていたのに、お気に入りも一桁、更新しても300ポイント以下。
では、「どうしたらいいか」を前向きに考察をするコラムです。
まずは、「1ページ目を読んでもらえるコトを目標」から始めましょう。
自分が書きたいことを好きに書いているダケで読まれなくていい、という方には無意味な駄文です。
書き手向けの内容ですが、読み専門の方には、より良い物語を探すヒントになる「かも」しれません。
表紙イラストは、lllust ACより、楠あかね様の「魔神」を使用させていただいております。
人工知能でif歴史〜もしもの歴史シミュレーション〜
静風
エッセイ・ノンフィクション
もしもの歴史があった場合、それには独自の魅力があるかもしれません。本書の目的は、そうしたもしもの歴史について、人工知能を使って再現し、その魅力を伝えることです。この文章自体も、人工知能が生成したものです。本書では、手作業を極力避け、人工知能を活用して文章を作成していきます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる