国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版

カバタ山

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八章 王二人

細川 晴元

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「我等は上洛軍のお味方ぞ。何ゆえこのような目に合わねばならぬのか!」

「うるさい。味方だと言うなら、石山本願寺が挙兵した際に助けに入っておけ。茶臼山ちゃうすやまの戦いが結わった後に味方面されても邪魔なだけだ」

「ぐぬぬ……」

 摂津せっつ国中部の制圧はいとも容易く完了する。

 それはそうだ。所領安堵を認めない事で有名な俺が侵攻を行えば、蜘蛛の子を散らすように城主が逃げ出すのは当然と言えよう。兵も肥後津野ひごつの家の援軍や本願寺教団の坊官 下間 頼総しもつま らいそう殿率いる門徒衆を加えた一万を超える数であり、尚且つ三好みよし宗家が動く気配も無い。これでは徹底抗戦するだけ無駄である。

 軍勢に何故か門徒衆が加わっていたが、見ないふりをしておく。

 荒木 村重あらき むらしげの籠る池田いけだ城も、他の城とそう変わらない結末であった。

 荒木 村重の上洛軍加入は認めない。死にたくなければ城から立ち去れと先触れを出して悠々と池田城を包囲。これにより大半の兵が逃げ出したため、池田城は苦労無く落とせた。

 挙兵した荒木 村重には狐につままれた出来事であったろう。だが味方になると言えば、必ず受け入れられると考える方がそもそもの間違いだ。荒木 村重はその辺りが分かっていなかっただけである。

 とは言え、義栄よしひで派に敵対した訳でもない。ならば敢えて殺す理由も無いとして、捕縛した荒木 村重とその一族には縄を解いて路銀を渡し、城から放り出す。

 次会う時は互いに全力で戦おうと固く約束をして。

 見送りの際、荒木 村重が「この恨み、いつか必ず晴らしてやる」と物騒な言葉を口走ったような気もするが、きっと俺の聞き間違いに違いない。勝敗は兵家の常。負けを気にしていては勝ちは掴み取れない。それよりも万全の状態で互いの力を出し合いたいものである。

 それはさて置き今回の一件は、少し前からは考えられない出来事と言えよう。ともの浦幕府が設立された当初は、誰からも相手にされない空気のような存在だっただけに、大きな進歩だ。

 だからこそここで気を引き締めなければならない。単なる利害のみで味方を増やせば、後で苦労するのが目に見えている。例えば細川 晴元ほそかわ はるもとがそうであったように、政権を奪取した後に内部抗争を始めるようなら、安定的な統治はまず無理だ。

 特に人手不足の鞆の浦幕府では、新参でも即幹部扱いとなる可能性が高い。それだけに味方は慎重に選ぶべきであろう。

 個人的には鞆の浦幕府を支える人材は、武家に拘る必要は無いと考えている。それこそ僧や公家、商家に京の町衆と多種多様な人材で構成しても良い。むしろその方が慣例に捉われない大胆な改革もできよう。

 何にせよ、荒木 村重は立ち回りが下手だった。それに尽きる。

 そう考えると、やはり宇喜多 直家うきた なおいえの裏切りは名人芸と評するしかない。荒木 村重は大勢が決まってからの裏切りであったが、宇喜多 直家は備前びぜん国が荒れるとなった際にいち早く俺に臣従を申し出た。上洛軍内でも先を争うように手柄を立てようとする積極さである。

 天秤が完全に傾く前に立場を表明できるのが強みであろう。勝ち馬に乗るしか考えていない豪族とは一線を画している。

 それだけに宇喜多 直家は、意外と足利 義栄と上手くやっていくのではないか。そう感じている。

 問題があるとすれば、播磨島津はりましまづ家と仲良くできるか。その一点である。


▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽


 俺の摂津国中部制圧を待っていたかのように、三好 長慶みよし ながよしは軍勢を率いて河内かわち国入りを果たす。その行動は予想通りであったとは言え、何の躊躇いも無く本拠地を捨てられる所が見事と言うしかない。

 目先に捉われない大局を見渡せる目を持っているからこそこれができる。まだ逆転の目があると分かって行動する。それに三好 長慶ならこう考える筈だ。自身が家督を継いだばかりの頃に比べれば、この程度生ぬるいと。

 だからこそ俺は深追いをしない。三好 長慶との決戦には万全の態勢を整えてから挑む。多分向こうもそれを望んでいるだろう。二人の戦いには最高の舞台が必要。今はまだその時ではないというだけである。

 こうして三好宗家の引き籠りが確認されると、今度は上洛軍の動きが活発となる。地雷の処理を終えた上洛軍は、その名の通り上洛行動を始めた。

 邪魔な三好 長慶は摂津国にもういない。なら摂津国は俺達の物だとばかりに、手付かずの摂津国東部の城を次々に接収して完全制圧を成し遂げる。その勢いのまま山城やましろ国入りを果たし、更には京の町まで雪崩れ込んだ。

 ついに足利 義栄は長年の夢であった上洛を実現する。

 とは言え、本番はここからだ。例え京の町を支配下に置いても周囲は敵だらけである。しかも京は攻めるは易く守るは難しの地だ。この状況を維持するのは大変であろう。差し当たって、東の近江六角おうみろっかく家と南の尾州畠山びしゅうはたけやま家に備えなければならない。

 京の町での軍勢の滞在は銭をドブに捨てるのと同じ行為であるだけに、これからどう立ち回るかが試される。お手並み拝見という所だ。

 このような見方ができるのも、俺自身いや当家が上洛軍に参加しての入京をしていないからに他ならない。家臣達からは何故京入りしないのかと散々に言われたが、それよりも今この時でなければできない事があるため、それを優先させてもらった。

 目的は普門寺ふもんじの訪問。つまりは仇敵 細川 晴元ほそかわ はるもととの面会である。三好宗家への牽制のために軍勢は和泉いずみ国 岸和田きしわだ城に留まらせ、僅かな護衛と共に俺は 普門寺へと向かった。

 永禄えいろく元年 (一五五八年)の足利 義輝あしかが よしてると三好 長慶との和睦以来、細川 晴元はこの地に幽閉されている。ただ幽閉と言っても、牢であったり一室に閉じ込めるのとは違う。施設──寺の敷地内から外に出さないというものだ。

 元現代人の俺から見れば、これを幽閉と呼ぶのはいささか語弊がある。庭も含めた寺の敷地内を好きなように動いて良いと言うなら、それは自身の家と変わらない。しかも敷地は広大で、球場一つほどの広さだ。

 確かに敷地の外に出てはいけない制約はある。常に監視の目に晒されている。そんな不都合はあるものの、所領が宛がわれているために日々の食事も豪華。酒も好きなだけ飲める。明らかに現代のニートより贅沢な暮らしだ。難点は夜が寂しい程度だろう。

 そう、生活自体は保障されているとは言え、幽閉だからこそ外部から人を呼べない辛さがある。女性を招くのは勿論の事、かつての側近も話し相手すらも普門寺には呼べない。旧知の友との文のやり取りさえできない。敷地内に人はいるというのに、言葉さえ交わせないのが実情である。

 人とは悲しいもので、人と会話しなければ会話ができなくなる。独り言が無駄に多くなる。だからと言ってどうにかなる訳でもなく、ただ経を読み仏に祈り続けるしかできない毎日というのは意外に寂しいものだ。

 だからこそ俺が普門寺を訪ねた時には、細川 晴元はやつれ果てていた。

 三好 長慶が摂津国から去り監視者もいなくなったというのに、全てを諦めたように外に出ようともしない。ただ寝床で臥せっているだけ。食事などの最低限の生活の面倒は普門寺関係者が世話してくれるために何とかなっているのがこれ幸いと言うべきか。ほぼ寝たきりの生活へ墜ちてしまっているそうだ。

「これがあの細川 晴元か。顔を初めて拝んだが、畿内を股に掛けた人物だとは到底思えないな」

「……」

「知らないと思うが現細川京兆けいちょう家当主 細川 国虎だ」

「ああ、遠州の……儂を殺しに来た……のか」

 体を起こす元気はまだ残っているものの、脇息に体を預けるのが精一杯の細川 晴元が抑揚のない声で言葉を発する。そこには覇気も無ければ威厳も無い。かつての要人とは思えない姿である。

「最初はそのつもりだったんだが、その姿を見て処刑する気も失せた。というか、もう長くはないな」

「そうだ……な」

「まあ良いか。それよりもまだ元気が残っているなら、戯れに俺と話をしないか?」

「久方ぶりの来客がお主というのは気に食わぬが、それも一興か。何ぞ儂に聞きたい事でもあるのか?」

「そんな所だ。酒でも飲みながら腹を割って話そうぜ」

 そう言いながら、護衛の一人に酒と食べ物を調達してきて欲しいと依頼をする。俺自身もこんな気持ちになるとは思わなかったが、今の細川 晴元を見ていると、全てがどうでもよくなったとでも言えば良いのだろうか。これまでの感情が全て無くなってしまった。

 思えば間接的ではあるものの、俺の半生は細川 晴元と密接に関わっている。義父上然り。長宗我部ちょうそかべ然り。河野かわの然り。特に長宗我部との戦いは、土佐における高国たかくに派と晴元派との代理戦争と言っても良い。

 だからなのだろう。俺は畿内に留まらず西国にまで影響力を発揮した細川 晴元という人物そのものに対しては、実は評価をしている。

 これが単に実家である阿波細川家の力を背景にしたのなら話は別だが、現実にはそうではない。父親である細川 澄元ほそかわ すみもとが大負けした等持院とうじいんの戦いでは、阿波勢の大量離反を招いていた。その一月後に細川 澄元は病没する。

 何が言いたいかというと、細川 晴元が細川京兆家家督奪還の思いを託された時は、阿波勢からは総スカンされ、尚且つ頼みの綱の阿波三好家も当主以下一族が軒並み死亡していたどん底の状況であった。当時の年齢は七歳である。

 そこからたった七年で建て直し、桂川かつらがわの戦いに勝利して京を制圧する。周囲の助けがあったとは言え、これだけの偉業を成し遂げたのは誰もができる訳ではない。

 細川 晴元もまた時代の寵児と言って差し支えない人物である。

 問題は京の奪還に拘る余り、反高国派の呉越同舟の側面が強い政権になってしまった点であろう。要は信頼できる家臣が少な過ぎる。幼い頃から支えてくれた側近の可竹軒 周聡かちくけん しゅうそうは天文二年(一五三三年)に討ち死にする。細川 晴元は孤独であった。

 そんな綱渡りの状況で、三好 長慶が裏切るまでよくぞ持ち堪えたものだと感心する。

「儂をここまで評する者がいるとは思わなんだ。……お主が長宗我部であったならな。いや、よそう。過ぎた話だ」

「俺の方こそ意外だよ。今の俺は細川京兆家の当主だぞ。アンタから見れば簒奪者だ。それなのに何とも思わないんだな」

「正直な所を言うと、儂はお主が羨ましい。儂が成し得なかった事をもうすぐ実現しようとしているのだからな。嫉妬の感情はあるが、むしろ京兆の家督を継いだのがお主で良かったと思っている」

「へぇ……幽閉されていた割には、巷で何が起こっているか知ってはいるんだな」

「検閲はされるが、旧知の者から文を受け取っておったからな。お主が京兆家の家督を継いだのも知っておる。長年の癖でつい遠州と言ってしまったがな」

 なるほど。三好も外部からの接触を全て遮断する程の鬼ではなかった訳か。それなら畿内が今どうなっているかも理解しているだろう。……待てよ。その前提に立つなら、細川 晴元の言葉の意味は……。

「一つ答えてくれないか? もしかして足利 義維あしかが よしつなを捨て足利 義晴あしかが よしはると和睦したのを、今でも後悔しているのか?」

「分かるか。足利 義維様は生まれてすぐに阿波あわ細川家に預けられてな。儂や弟の氏之うじゆきとは兄弟同然で育った。儂等兄弟は小さい頃、足利 義維様によく可愛がってもらったものよ」

「……」

「当時の儂は、父から託された京兆家家督奪還が全てであったからな。その目的達成のために多くを捨てた。今思えば、当時の儂は憑りつかれておったのだろう」

「だから俺が羨ましいと」

「聞けばお主は、足利 義栄様を引き取って養育していたそうだな。そんなお主が京兆家の家督を継ぎ、足利 義栄様を擁立する。そして三好を打ち倒す。儂はもう足利 義栄様の公方就任さえなれば、死んで良いと思うておる」

「……それが最後の望みか」

「儂が今こうして醜態を晒しておるのも、全てはあの時の選択を間違った罰だろうて」

 そう乾いた笑いで自嘲する細川 晴元は、言葉とは裏腹に晴れやかな表情となっているのが印象的であった。

 俺自身は細川 晴元が足利 義晴を選んだのは間違いとは思っていない。政治的に考えれば、こちらの方が合理的である。

 しかしながら人は機械ではない。だからこそ理屈だけでは全てを語れない。それが足利 義維への思いなのだろう。何となくではあるが、幼い頃の二人は、未来の公方と管領として天下国家を語り合うような存在だったのではないかと思ってしまった。

 細川 晴元の言った「憑りつかれていた」の一言が全てなのだろう。自分自身が大事な人を捨てたからこそ、今度は逆に人が信用できなくなってしまった。それがその後の多くの悲劇を生んでしまったのかもしれない。
 
「まあ、俺に多くを期待するなよ。取り敢えず三好は倒す。それだけは俺が代わりにしてやるよ。ただ、言っておく。俺はアンタの思いを背負うつもりはない。これは俺と三好 長慶の二人の問題だからな。それを忘れないでくれ」

「それで構わぬ」

「後は冥土の土産に、義栄が公方に就任した暁には文を送るように伝えておくよ。だからそれまで死ぬな。絶対にだ」

「……感謝する」

 こうして細川 晴元との会談は終わりを告げる。部屋を出て襖を絞めた瞬間にむせび泣く声が聞こえたものの、俺は何事も無かったかのように立ち去った。

 外から見る普門寺は、そのような出来事が起きていると思えない程静まり返っていた。
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