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第一章

扉の先にあるもの④

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ミヨ「う~ん…。事故に遭って、もう死ぬかもって思った時…、夢で見た巫女が手招きしてきたから、巫女を追いかけて…。で、光に吸い込まれて、気付けば赤ちゃんになってたって感じ…。」

レイナ「うむ…。夢の巫女か…。」

サクラ「ミヨちゃん、こちらの世界にはどうやって戻ってきたの?」

ミヨ「お母さ…じゃなくて下照姫が話してる時に突然光に吸い込まれて…気付けば病室にいたって感じかな?」

レイナ「では…トリガーの条件は巫女、もしくは光ということか。ミヨの意思でどうにかできる問題ではなさそうだな。」

ミヨ「うん。なんで戻ってきたのかもわからないや…。」

サクラ「でも…やっぱりミヨちゃんの夢の巫女と水無神社は繋がってる可能性は高いよね。」

レイナ「そうだね。水無神社は主祭神御年大神(みとしのおおかみ)が祀られている。みなしの神は水神であるし〝女神“であることは確定だね。」

ミヨ「ミトシノオオカミ…。」

レイナ「それに、オオナムチノカミ、オオトシも祀られていたね。オオナムチはオオクニヌシ。オオトシはニギハヤヒのことだね。完全な出雲系譜だね。」

ミヨ「お父さ…ニギハヤヒ…。」

レイナ「更に、水無神社は創建されたことがいつかわからないほど古くからある由緒ある神社なのだよ。御神体が位山そのものでね、最初に神々が降り立ったとされる場所とされているのさ。今も尚、天皇が即位するときはこの位山のイチイの木から作られたシャクを使っているのだよ。」

サクラ「え?!そんな古くからあるの!?」

レイナ「そうなのだよ。歴史はね、やたらと出雲系譜を隠したがるのだよ。ミヨがタイムリープした先は…全ての真実が隠されている出雲に纏わる話だ。」

ミヨ「出雲系譜…。出雲って島根県のことじゃないの?」

レイナ「さっき話したこと思い出してくれたまえよ。日本書紀や古事記は場所のウソも存在すると話しただろう?あの時代は出雲は大きかったのだよ。今の島根の規模ではない、この辺りまで統治していたのだよ。実際は出雲の国譲りは存在していない。出雲も大和も収めていた者は出雲系譜だからね。」

ミヨ「じゃあ、出雲ことを調べれば必然的に女神の名を知ることができるようになるのかな?」

レイナ「そうだね。確実に先に進める!でかしたぞミヨ!」

サクラ「でも水を差すようで申し訳ないけど、どうやってミヨちゃんがタイムリープするか…だよね?」

ミヨ「うん…。今のところ見当もつかないや。」

レイナ「まあまあ。焦ることないのだよ。ミヨは今しっかり療養しなくてはね。また何かあったら連絡するのだよ。」

サクラ「そうだね!ゆっくり休んでね、ミヨちゃん。じゃあまた明日学校終わったら顔出すね。」

ミヨ「2人ともありがとう!気をつけて帰ってね!」

 サクラとレイナは、笑顔で手を振り病室を後にした。ミヨは気が抜けたのかリクライニングを下げ、ベッドに横たわる。

(タイムリープしたんだ…私。初めは夢みたいなことだと思ったけど、夢をここまで鮮明に覚えてたことなんて一度もないのに、感覚もあって全部覚えてる。レイちゃんの言ったとおりタイムリープしか考えられない。でも…、タイムリープのキッカケがわからないし、どうしたらいいんだろう…。)

 トントン。ガラガラ。父が心配そうな顔をしながら病室へ入ってきた。

父「ミヨ!!父さん心配したんだぞ!どこも痛くないか?何か欲しいものあるか?父さんにできることあるか?」

ミヨ「お父さん!質問攻めしないでよ!夕方に来るなんて…会社早退でもしてきたの?」

父「当たり前だ!大事な娘が目を覚ましたというのに、仕事なんかしてられるか!!」

 母が満面の笑みで病室へ入ってきた。

母「パパ、ミヨが心配で心配で…仕方がなかったのよ。許してあげて。」

ミヨ「う、うん。私こそ心配させちゃってごめんね。2人ともありがとう。」

父「ミヨ、今は身体を治すことに専念しなさい。父さんな、先日出張に行ってきてお土産買ってきたんだよ。ほら…」

ミヨ「これって…、父さん出雲に行ってきたの?」

 ミヨがお土産を広げると、玉造温泉の化粧水や出雲大社の鈴守りが入っていた。

父「そうだぞ。ミヨが喜ぶと思ってな。玉造温泉は女性に人気みたいだよ。」

ミヨ「嬉しいよ!ありがとう、父さん!」

(さっき出雲の話してたばかりなのに…。これって偶然?出雲大社の鈴…。父さんたちが帰ったら出雲のこと調べてみようかな。)
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