8 / 9
第一章
扉の先にあるもの④
しおりを挟むミヨ「う~ん…。事故に遭って、もう死ぬかもって思った時…、夢で見た巫女が手招きしてきたから、巫女を追いかけて…。で、光に吸い込まれて、気付けば赤ちゃんになってたって感じ…。」
レイナ「うむ…。夢の巫女か…。」
サクラ「ミヨちゃん、こちらの世界にはどうやって戻ってきたの?」
ミヨ「お母さ…じゃなくて下照姫が話してる時に突然光に吸い込まれて…気付けば病室にいたって感じかな?」
レイナ「では…トリガーの条件は巫女、もしくは光ということか。ミヨの意思でどうにかできる問題ではなさそうだな。」
ミヨ「うん。なんで戻ってきたのかもわからないや…。」
サクラ「でも…やっぱりミヨちゃんの夢の巫女と水無神社は繋がってる可能性は高いよね。」
レイナ「そうだね。水無神社は主祭神御年大神(みとしのおおかみ)が祀られている。みなしの神は水神であるし〝女神“であることは確定だね。」
ミヨ「ミトシノオオカミ…。」
レイナ「それに、オオナムチノカミ、オオトシも祀られていたね。オオナムチはオオクニヌシ。オオトシはニギハヤヒのことだね。完全な出雲系譜だね。」
ミヨ「お父さ…ニギハヤヒ…。」
レイナ「更に、水無神社は創建されたことがいつかわからないほど古くからある由緒ある神社なのだよ。御神体が位山そのものでね、最初に神々が降り立ったとされる場所とされているのさ。今も尚、天皇が即位するときはこの位山のイチイの木から作られたシャクを使っているのだよ。」
サクラ「え?!そんな古くからあるの!?」
レイナ「そうなのだよ。歴史はね、やたらと出雲系譜を隠したがるのだよ。ミヨがタイムリープした先は…全ての真実が隠されている出雲に纏わる話だ。」
ミヨ「出雲系譜…。出雲って島根県のことじゃないの?」
レイナ「さっき話したこと思い出してくれたまえよ。日本書紀や古事記は場所のウソも存在すると話しただろう?あの時代は出雲は大きかったのだよ。今の島根の規模ではない、この辺りまで統治していたのだよ。実際は出雲の国譲りは存在していない。出雲も大和も収めていた者は出雲系譜だからね。」
ミヨ「じゃあ、出雲ことを調べれば必然的に女神の名を知ることができるようになるのかな?」
レイナ「そうだね。確実に先に進める!でかしたぞミヨ!」
サクラ「でも水を差すようで申し訳ないけど、どうやってミヨちゃんがタイムリープするか…だよね?」
ミヨ「うん…。今のところ見当もつかないや。」
レイナ「まあまあ。焦ることないのだよ。ミヨは今しっかり療養しなくてはね。また何かあったら連絡するのだよ。」
サクラ「そうだね!ゆっくり休んでね、ミヨちゃん。じゃあまた明日学校終わったら顔出すね。」
ミヨ「2人ともありがとう!気をつけて帰ってね!」
サクラとレイナは、笑顔で手を振り病室を後にした。ミヨは気が抜けたのかリクライニングを下げ、ベッドに横たわる。
(タイムリープしたんだ…私。初めは夢みたいなことだと思ったけど、夢をここまで鮮明に覚えてたことなんて一度もないのに、感覚もあって全部覚えてる。レイちゃんの言ったとおりタイムリープしか考えられない。でも…、タイムリープのキッカケがわからないし、どうしたらいいんだろう…。)
トントン。ガラガラ。父が心配そうな顔をしながら病室へ入ってきた。
父「ミヨ!!父さん心配したんだぞ!どこも痛くないか?何か欲しいものあるか?父さんにできることあるか?」
ミヨ「お父さん!質問攻めしないでよ!夕方に来るなんて…会社早退でもしてきたの?」
父「当たり前だ!大事な娘が目を覚ましたというのに、仕事なんかしてられるか!!」
母が満面の笑みで病室へ入ってきた。
母「パパ、ミヨが心配で心配で…仕方がなかったのよ。許してあげて。」
ミヨ「う、うん。私こそ心配させちゃってごめんね。2人ともありがとう。」
父「ミヨ、今は身体を治すことに専念しなさい。父さんな、先日出張に行ってきてお土産買ってきたんだよ。ほら…」
ミヨ「これって…、父さん出雲に行ってきたの?」
ミヨがお土産を広げると、玉造温泉の化粧水や出雲大社の鈴守りが入っていた。
父「そうだぞ。ミヨが喜ぶと思ってな。玉造温泉は女性に人気みたいだよ。」
ミヨ「嬉しいよ!ありがとう、父さん!」
(さっき出雲の話してたばかりなのに…。これって偶然?出雲大社の鈴…。父さんたちが帰ったら出雲のこと調べてみようかな。)
10
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
うちの兄がヒロインすぎる
ふぇりちた
ファンタジー
ドラモンド伯爵家の次女ソフィアは、10歳の誕生日を迎えると共に、自身が転生者であることを知る。
乙女ゲーム『祈りの神子と誓いの聖騎士』に転生した彼女は、兄ノアがメインキャラの友人────つまり、モブキャラだと思い出す。
それもイベントに巻き込まれて、ストーリー序盤で退場する不憫な男だと。
大切な兄を守るため、一念発起して走り回るソフィアだが、周りの様子がどうもおかしい。
「はい、ソフィア。レオンがお花をくれたんだ。
直接渡せばいいのに。今度会ったら、お礼を言うんだよ」
「いや、お兄様。それは、お兄様宛のプレゼントだと思います」
「えっ僕に? そっか、てっきりソフィアにだと………でも僕、男なのに何でだろ」
「う〜ん、何ででしょうね。ほんとに」
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる