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6話 ログボの時間は朝の4時
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眠ったと思うじゃない?残念でした起きてます。
私としてももう寝たいのですけれど、スキルのことを思い出してしまいまして。
まぁ面倒なので布団からは出ませんけどもね。エリーナがサイドテーブルに手帳とペンを置いてくれたのよ!実家の部屋と同じスタイル。これで布団から出ずともメモが取れますわ~~!あの子なんだかんだ言って私が生活しやすい環境を整えてくれるのよね。私が落ち込んでいる時は塩対応だけれども。
それはおいといて。私のスキル「ものぐさの友」でしたわね。
ものぐさの友って一体どういうことですの?キフィ嬢も言っていたように「合理主義」自体は領地経営者や文官に多いスキルですが、「ものぐさの友」とは恐らく異なるものよね。同じものなら偉い人はみんな面倒くさがりさんってことになってしまうわ!でもどうなのかしら。そもそも世間で知られている合理主義スキルの読み方だけが浸透している可能性もなくはないわね。なんてったって保持者が文官や領主ですもの。あっ、お父様への手紙に聞いてみればよかったわね。
うーん……キフィ嬢には思い当たる節はないとは言ったけれど、確かに私は領地を適度に潤わすお手伝いを致しましたわ。この「適度に」というところが難しくて、当時は苦労致しましたわ~。下手に発展させ過ぎますと王家に目をつけられたり、神童と言って祀りあげられたりと、面倒なことになる予感しかしなかったのですものね。おかげで今尚、安定的にそこそこの収入が得られているそうですわ。
「……まさか、そのさじ加減を見極める能力が私のスキルだったり?」
だとしたらモブライフを送るにはうってつけでございますわね!
大変地味なスキルですが。
そういえば前世のゲームで、カルファは何事もなく魔法を使っていたからと安心していたけれど、精神健康診断ってどのようにやるのでしょうか。サイコパス判定を受ける事だけは避けたいわぁ。ま、あの神は原作通りに事が運ぶのをよしとしているから、そこは大丈夫でしょう。
あら、いやだわ。空が白んできておりますわ。
今から寝てしまったら確実に遅刻してしまいますわね……
「領地だったらジョゼットに乗って一走りしておりましたのに」
そう、ここは学園。愛馬のジョゼットはおりませんの。連れてきても良かったのですが、如何せん我が領地は遠く。厩も他家と共同でございます。慣れない土地でストレスを抱えられても困りますので領地へ置いてきてしまったのです。
どうしましょう~暇ですわぁ。
ーーコンコンコン
「エリーナでございます。朝のお支度に参りました」
「どうぞ~」
ちょうどいいタイミングでエリーナが入室してきました。エリーナったら今日はちょっと早いのね。
「お嬢様起きるの早すぎませんか」
「エリーナこそ」
「本日から授業が始まりますので、お嬢様を早めに起こさねばと思ったのですが……」
「何だか目が覚めてしまって」
流石に初日から徹夜したなんて言えないわ。
「起こす必要が無かったですね……と言いたいところですが、お嬢様」
「な、なぁに?」
「まさか一睡もしていない、ということはございませんよね?」
「え、えぇ!流石に少しは寝たわよ!」
流石エリーナ、鋭い子ね。ジト目でこちらを見ると態とらしく大きな溜息をつくエリーナ。
きっと寝てないのバレてますわね。でも何も言われないところを見るとお咎めはなさそうね!よかったわ。
ホッとしていると、エリーナがこちらをじっと見つめている。いつもならすぐに朝の支度で動き回るはずなのに。
「な、なに?」
「仮に、仮にお嬢様に監視がつけられるような事があっても、私が責任持ってお嬢様の面倒はみますのでご安心ください」
「どうしたの急に……」
もしかして精神健康診断が不安で寝られなかったと思われておりますの?
「お嬢様時々様子がおかしいですから、念の為にと思って」
「エリーナ、あなたほんとそういう所よ」
「……いつも通りで安心いたしました」
全くそう思っていないような口ぶりで彼女はそう言いましたわ。でも私、見てしまったの!
エリーナの口元に笑みが浮かんでいたのを!やだ、本当に心配してくれてたのね。ホッとして笑みが溢れるなんて、エリーナも可愛いところあるじゃない。私の顔は自然と綻んでおりましたわ。
「ニヤニヤしていないで早く御顔を洗って下さいませ」
次の瞬間にはいつも通りのエリーナだったけど、私は大満足。ニコニコと朝の支度を終わらせました。
「あぁ、そうでした。お嬢様」
「なぁに?」
「こちら、今朝早くお嬢様宛に届いていたものなのですが……」
身支度を整えた後、そう言って渡されたのは小さな箱。パールグレーの紙箱に青いリボンがかけられた箱は見覚えのあるものでございました。まさか、いやまさかね……
「送り主不明ですが害があるものではございませんでした」
「何が入っているのかしら?」
不思議に思いつつ空けると、そこに入っていたのはなんと、刺繍が施されたクッションに乗った小さなジュエル。
このコーヒー豆のようなジュエル、見覚えしかございませんわ。
そう、ログインボーナス!!!!まさかのログインボーナスでございますわ!
私も貰えますの?一体何故???
ジュエルをよく見れど何も分かりませんわね。もしかして箱の方に何か……
「あぁ!!!」
「如何致しましたかお嬢様」
「これ!きっとキフィ様からだわ!クッションの刺繍と制服の刺繍、模様が同じなのよ」
「同じ模様だからと言って決めつけるのは早計では?」
「それに、彼女のスキルは鉱物錬成よ!きっと彼女のサプライズに違いないわ!何か御礼しなければね!」
「……でしたらこちらの茶葉で如何でしょう」
エリーナはイマイチ納得がいかないようでしたが、お礼の相談にはきちんと乗ってくれましたわ。
確かに茶葉ならそのままお茶会も出来ますものね。モカ嬢を誘って3人でお茶会も良さそうですわね!
「エリーナ」
「トモニーさんにお好きなお菓子をお聞きしておきます」
「助かるわ。それと、念の為モカ嬢の好みのお菓子も聞いておいて貰えるかしら?」
「かしこまりました」
侍女が有能過ぎて有難い限りですわ。もう少しだけ笑顔を見せてくれたら完璧なのだけど。
さて、初日!本日のイベントは確かターキッシュ・オウフロア様との出会いイベントでしたっけ?
休み時間までは気を抜いても良さそうね!
深夜テンションも相まって、私は元気よく学び舎へと向かいます。
今日はどんな1日になるのかしら。楽しみだわ~~!
私としてももう寝たいのですけれど、スキルのことを思い出してしまいまして。
まぁ面倒なので布団からは出ませんけどもね。エリーナがサイドテーブルに手帳とペンを置いてくれたのよ!実家の部屋と同じスタイル。これで布団から出ずともメモが取れますわ~~!あの子なんだかんだ言って私が生活しやすい環境を整えてくれるのよね。私が落ち込んでいる時は塩対応だけれども。
それはおいといて。私のスキル「ものぐさの友」でしたわね。
ものぐさの友って一体どういうことですの?キフィ嬢も言っていたように「合理主義」自体は領地経営者や文官に多いスキルですが、「ものぐさの友」とは恐らく異なるものよね。同じものなら偉い人はみんな面倒くさがりさんってことになってしまうわ!でもどうなのかしら。そもそも世間で知られている合理主義スキルの読み方だけが浸透している可能性もなくはないわね。なんてったって保持者が文官や領主ですもの。あっ、お父様への手紙に聞いてみればよかったわね。
うーん……キフィ嬢には思い当たる節はないとは言ったけれど、確かに私は領地を適度に潤わすお手伝いを致しましたわ。この「適度に」というところが難しくて、当時は苦労致しましたわ~。下手に発展させ過ぎますと王家に目をつけられたり、神童と言って祀りあげられたりと、面倒なことになる予感しかしなかったのですものね。おかげで今尚、安定的にそこそこの収入が得られているそうですわ。
「……まさか、そのさじ加減を見極める能力が私のスキルだったり?」
だとしたらモブライフを送るにはうってつけでございますわね!
大変地味なスキルですが。
そういえば前世のゲームで、カルファは何事もなく魔法を使っていたからと安心していたけれど、精神健康診断ってどのようにやるのでしょうか。サイコパス判定を受ける事だけは避けたいわぁ。ま、あの神は原作通りに事が運ぶのをよしとしているから、そこは大丈夫でしょう。
あら、いやだわ。空が白んできておりますわ。
今から寝てしまったら確実に遅刻してしまいますわね……
「領地だったらジョゼットに乗って一走りしておりましたのに」
そう、ここは学園。愛馬のジョゼットはおりませんの。連れてきても良かったのですが、如何せん我が領地は遠く。厩も他家と共同でございます。慣れない土地でストレスを抱えられても困りますので領地へ置いてきてしまったのです。
どうしましょう~暇ですわぁ。
ーーコンコンコン
「エリーナでございます。朝のお支度に参りました」
「どうぞ~」
ちょうどいいタイミングでエリーナが入室してきました。エリーナったら今日はちょっと早いのね。
「お嬢様起きるの早すぎませんか」
「エリーナこそ」
「本日から授業が始まりますので、お嬢様を早めに起こさねばと思ったのですが……」
「何だか目が覚めてしまって」
流石に初日から徹夜したなんて言えないわ。
「起こす必要が無かったですね……と言いたいところですが、お嬢様」
「な、なぁに?」
「まさか一睡もしていない、ということはございませんよね?」
「え、えぇ!流石に少しは寝たわよ!」
流石エリーナ、鋭い子ね。ジト目でこちらを見ると態とらしく大きな溜息をつくエリーナ。
きっと寝てないのバレてますわね。でも何も言われないところを見るとお咎めはなさそうね!よかったわ。
ホッとしていると、エリーナがこちらをじっと見つめている。いつもならすぐに朝の支度で動き回るはずなのに。
「な、なに?」
「仮に、仮にお嬢様に監視がつけられるような事があっても、私が責任持ってお嬢様の面倒はみますのでご安心ください」
「どうしたの急に……」
もしかして精神健康診断が不安で寝られなかったと思われておりますの?
「お嬢様時々様子がおかしいですから、念の為にと思って」
「エリーナ、あなたほんとそういう所よ」
「……いつも通りで安心いたしました」
全くそう思っていないような口ぶりで彼女はそう言いましたわ。でも私、見てしまったの!
エリーナの口元に笑みが浮かんでいたのを!やだ、本当に心配してくれてたのね。ホッとして笑みが溢れるなんて、エリーナも可愛いところあるじゃない。私の顔は自然と綻んでおりましたわ。
「ニヤニヤしていないで早く御顔を洗って下さいませ」
次の瞬間にはいつも通りのエリーナだったけど、私は大満足。ニコニコと朝の支度を終わらせました。
「あぁ、そうでした。お嬢様」
「なぁに?」
「こちら、今朝早くお嬢様宛に届いていたものなのですが……」
身支度を整えた後、そう言って渡されたのは小さな箱。パールグレーの紙箱に青いリボンがかけられた箱は見覚えのあるものでございました。まさか、いやまさかね……
「送り主不明ですが害があるものではございませんでした」
「何が入っているのかしら?」
不思議に思いつつ空けると、そこに入っていたのはなんと、刺繍が施されたクッションに乗った小さなジュエル。
このコーヒー豆のようなジュエル、見覚えしかございませんわ。
そう、ログインボーナス!!!!まさかのログインボーナスでございますわ!
私も貰えますの?一体何故???
ジュエルをよく見れど何も分かりませんわね。もしかして箱の方に何か……
「あぁ!!!」
「如何致しましたかお嬢様」
「これ!きっとキフィ様からだわ!クッションの刺繍と制服の刺繍、模様が同じなのよ」
「同じ模様だからと言って決めつけるのは早計では?」
「それに、彼女のスキルは鉱物錬成よ!きっと彼女のサプライズに違いないわ!何か御礼しなければね!」
「……でしたらこちらの茶葉で如何でしょう」
エリーナはイマイチ納得がいかないようでしたが、お礼の相談にはきちんと乗ってくれましたわ。
確かに茶葉ならそのままお茶会も出来ますものね。モカ嬢を誘って3人でお茶会も良さそうですわね!
「エリーナ」
「トモニーさんにお好きなお菓子をお聞きしておきます」
「助かるわ。それと、念の為モカ嬢の好みのお菓子も聞いておいて貰えるかしら?」
「かしこまりました」
侍女が有能過ぎて有難い限りですわ。もう少しだけ笑顔を見せてくれたら完璧なのだけど。
さて、初日!本日のイベントは確かターキッシュ・オウフロア様との出会いイベントでしたっけ?
休み時間までは気を抜いても良さそうね!
深夜テンションも相まって、私は元気よく学び舎へと向かいます。
今日はどんな1日になるのかしら。楽しみだわ~~!
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