ママは男の娘

#05

#05-03

　その後、ジャンクさんのお店を後にした私達は画材屋へと向かった。

　しかし、そこでまたしても面倒事が起きてしまった。

　画材屋の主人と色々話していると、後ろから声をかけてくる者がいた。

「お嬢さん、可愛いねぇ～」

　声のする方へと振り返ると、見知らぬ男性が二人が立っていた。

　一人は金髪で、もうひとりは銀髪に染め上がっている。

　見るからにチャラそうな格好だ。

　サキは一度は二人と目を合わせたものの、興味なし、と言わんばかりに無視した。

　しかし、二人組はそんなことを気にする様子もなく、しつこく声をかけてきた。

「お嬢さん、お絵描き好きなの？」

「俺たちにも教えてほしいな～」

　そんなことを話しながら、二人組は私とサキの間に割って入ってくる。

「ちょっと邪魔しないで！」

「あっちいけ！」

　サキに抱かれた状態のぬーちゃんが、前足を必死にバタつかせている。どうやら追い払おうとしているようだ。

「へー、かわいいぬいぐるみ連れてるじゃん」

　金髪の男がぬーちゃんの頭を撫でようと差し出してきた手を、サキは思いっきりひっぱたたいた。

「汚い手でこの子に触らないで！」

　叩かれた金髪の手は赤くなっている。

　金髪は舌打ちを打つと、無理矢理ぬーちゃんをサキから引き剥がした。