ママは男の娘

#02

#02-09

　その後、工場に戻った私は、自分で拾ってきたジャンクとサキが拾った電気ポットの修理を始めた。

　サキは目を覚ましたぬーちゃんを抱きしめながら、私の作業を見つめている。

　手伝うとは言ったものの、電化製品に関する知識は持ち合わせていないようだ。

　それでも何か手伝わせてとうるさいので、私が指定した道具やパーツを持ってくる役割を担ってもらうことにした。

　ロボットが人間に指示するなどおかしな話だが、サキ自身は気にしていないようだった。

　ただ、道具やパーツを頼んでも、逐一説明しなければ伝わらず、かえって時間がかかってしまった。

　気づけば、太陽は真上に登っていた。

　夜明けのときとは違い、こうなると工場の中は、熱気と湿気のたまり場になる。

　最初は我慢していたサキも、もはや耐えられなくなったようで、私が修理した扇風機の前に座り込んでしまった。

　その前にはぬーちゃんも座っている。

「ああああああああ～、あづうううういいいいいい～～～」

「あああああちゅうううう～いいいいいいい～」

　扇風機の風で震える、暑さを訴える声がやかましい。