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「ところで、あなたの名前は?」
自宅への道中、彼は私に名前を聞いてきた。
「生憎、人のような名前は持ち合わせていません。材料の型番ならいくつか書いてありますが」
「メモリーはないの?」
「残念ながら、この街で起動してからのメモリーしかありません」
私はこの街で再起動した。
いつ、誰が、なんの理由で、私を起動したのかは分からない。
分かっているのは、起動したときから、私はヒトリだということ。
ロボットにはおかしい単位だが、この方がわかりやすく伝わりやすい。
「名前が無いのは不便じゃないの?」
「ヒトリなので」
私の言葉に、彼は不意にフフッと笑った。
「やはりロボットにヒトリという単位は変ですか?」
「ううん、ごめん、そうじゃないの」
彼は微笑みながら、胸に抱えたぬいぐるみを抱きしめ直す。
「あなた、ヒトリという言葉を名前みたいに使うんだもの。それがちょっと面白くて……」
ヒトリが名前……
もちろんそんな使い方をしていた訳ではないが、そう思われても仕方ない使い方でもあると思った。
自宅への道中、彼は私に名前を聞いてきた。
「生憎、人のような名前は持ち合わせていません。材料の型番ならいくつか書いてありますが」
「メモリーはないの?」
「残念ながら、この街で起動してからのメモリーしかありません」
私はこの街で再起動した。
いつ、誰が、なんの理由で、私を起動したのかは分からない。
分かっているのは、起動したときから、私はヒトリだということ。
ロボットにはおかしい単位だが、この方がわかりやすく伝わりやすい。
「名前が無いのは不便じゃないの?」
「ヒトリなので」
私の言葉に、彼は不意にフフッと笑った。
「やはりロボットにヒトリという単位は変ですか?」
「ううん、ごめん、そうじゃないの」
彼は微笑みながら、胸に抱えたぬいぐるみを抱きしめ直す。
「あなた、ヒトリという言葉を名前みたいに使うんだもの。それがちょっと面白くて……」
ヒトリが名前……
もちろんそんな使い方をしていた訳ではないが、そう思われても仕方ない使い方でもあると思った。
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