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子は鎹
191 勇者、現る
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よくて拮抗、悪くて不利な状態になっている現状、どうすればいいのか考える。
篠野部ならば、何か思い付くかもしれないが、そこまで頭の回転が速いわけでも知識があるわけでもない私にはなにも思い付かなかった。
暴走した軍人が走りだし、凄まじいスピードで一気に距離をつめていく。
先生達が防衛魔法を張ろうとしたところで誰かが間にはいった。
土煙のせいで誰が間にはいったのか、そして先生達とわってはいってきた人がどうなったかがわからない。
だが辺り一帯に鉄を叩いたような音が広がり、遅れて風が吹いて土煙が張れる。
暴走状態の軍人と、先生達の間にわってはいったのはアスロンテ軍学校の制服を着たプリン頭の盾を持った男と、メガネをかけて杖を持った男だった。
なんでアスロンテ軍学校の生徒がここに……。
驚いているのは私だけじゃない。
ララも、佐之助さんも、先生達も、黒服達ですら眼を見開いていた。
私達が驚きで固まっているのをよそに、暴走状態の軍人が更なる攻撃を仕掛ける。
それを見てハッとした黒服達は乱入してきたアスロンテ軍学校の生徒を排除しようと杖を構え、魔法を放つ。
四方八方から魔法が降り注ぐ状態であると言うのに、アスロンテ軍学校の生徒は意に介さず、暴走状態の軍人の更なる攻撃を分厚い盾で受け止める。
暴走状態の軍人が相当力があるのか、足が地面にめり込んでいる。
アスロンテ軍学校の生徒に降り注ぐはずだった魔法は空から降ってきた、どこかで見たことのある神々しい光が相殺した。
アスロンテ軍学校の生徒は地面にめり込んだ足をはずし、暴走状態の軍人と同じくらいのバカ力で暴走状態の軍人を思い切り押す。
勢いに負けた軍人はよろつく。
「皇さん!」
皇……?
どこからか、またアスロンテ軍学校の生徒が現れて、その手に持つ大剣を振り抜いた。
皇と呼ばれた男子生徒の体験により暴走状態の軍人は空かたく打ち上げられる。
空には、ヘルスティーナ先生が箒に乗って飛んでいた。
ヘルスティーナが杖を掲げたかと思えば、杖の先の神々しい光が集まっていき球体になる。
「神よ、不浄の者を打ち払う力を私に……。私は使命を全うする者、不浄を打ち払い、平穏をこの世にもたらす者。ホーリー・ライツ」
詠唱が終わり、神々しい光の球体が打ち上げられて身動きがとれない軍人に向かって放たれる。
重力と光の球体に勝てることはなく、軍人は地面に叩きつけられることになった。
地面がへこみ、放射線状の亀裂が地面のへこみを中心に広がった。
ローシュテールのタフさを思い起こせば、また起き上がるんじゃないか、とも思ったが、どうもそう言うことはないらしい。
白目を向いて気絶している軍人の口からローシュテールの時にみた黒いスライムのようなものが最後の力を使って這い出てくるが、ジュワジュワと嫌な音を立てて蒸発して、消えていった。
「……お前がモカノフさんの言ってたよう注意人物だな」
ヘルスティーナ先生がモカノフが警戒するような人物?
不健康そうな黒服の指示で半数はヘルスティーナ先生とアスロンテ軍学校の生徒三人に大量の魔法が放たれる。
先生達が心配の声を上げるが、ヘルスティーナ先生とアスロンテ軍学校の生徒が魔法を全て相殺する。
私も含めて黒服達の魔法をさばいていくヘルスティーナ先生やアスロンテ軍学校の生徒に気を取られていると、好機と思ったのか不健康そうな黒服が悪足掻きで魔法をララに向かって放つ。
「ララ!」
「っ!」
ギリギリで魔法はかわせたものの、私達からは少し離れてしまったし、追撃がやむことはない。
「こうなってしまえばネシャに罪を被って貰うのは無理だろう。動けない獲物だけでも連れて帰るか」
耳元で、男の声が聞こえる。
振り向くとそこにはジャーニー先生と戦っていた軍人が立っていた。
私が立てないのを良いことに、腕をつかみ立たそうとするが足の痛みのせいで、ろくに歩けない私に舌打ち一つ落として、引きずって黒服達の方につれていこうとする。
まともに動けないが、それでも“抵抗を、どうにかして離れないと”と思い、佐之助さんから勝手に借りていた刀を片手で握りこみ、軍人の胸辺りを刺すため一瞬だけ足に力をこめた。
足に走る激痛に、汗が吹き出る。
刺そうとした刀は私の努力むなしく、掴まれてしまい、目的をなすことはできなかった。
刀を掴んだせいで掌が切れているらしく、血が刀を伝って私の手にも這う。
軍人は痛みを我慢して、刃を握ったまま私から刀を取り上げようとするが火事場のバカ力が発動しているのか、力は拮抗して刀が揺れて音を立てる。
「私を、なめてるから……怪我する羽目になるんだ」
「クソガキ……」
「はは……」
完全に虚勢である。
やばい、いい加減、刀を取られてしまいそうだ。
掴まれている腕の骨ががミシミシと音を立てて、奥歯を噛んで叫びだしそうなのを我慢するが、ボキンと骨が簡単におれてしまった。
「あ゛ぁ゛……!?」
骨が折られた痛みで可愛らしくもなんともない悲鳴が上がる。
次の瞬間、軍人の顔面に魔力玉が勢い良く当たった。
軍人のて離れ、軍人は地面に転がり鼻血を出して魔力玉を放った人物を睨み付ける。
「お前……」
私は刀を手放すことはなかったが、立てるわけもなく、地面に伏すことになった。
魔力玉を放ったのは盾を持つアスロンテ軍学校の生徒の後ろにいる、メガネをかけて杖を持っている生徒だった。
「な、んで……」
もう、声を出す気力もない。
ヘルスティーナ先生達が黒服達の放った魔法を全て片付けると、ヘルスティーナ先生は地上に降り立った。
「やぁ」
ニコリ、そう言う効果音が付き添うなほど綺麗に笑っているが眼だけが笑っていないことに恐怖を感じる。
「うちのに良くもてを出してくれよったな。名を変えたか、それとも分裂したか、知りはせんが、敵であることは、ワシがこの世に生まれ落ちたときから決まった事実。覚悟せよ、ここにおる三人は、お主らの野望を挫くために呼ばれた勇者ぞ」
そうだ。
皇って、どこかで聞いたことがあると思ってたら篠野部が言ってたんだ。
確か、三学期かもうすぐ終わるってところで篠野部が偶然遭遇した、私達と同じ、でも正式に必要だと国に呼ばれてきた異世界の人間だ。
えっと、確か皇さんと、多聞さん。
それから柴くん。
だんだんと意識が朦朧としてくる。
勇者達が動き出す。
瞬く間に黒服達を蹂躙していき、ヘルスティーナ先生は佐之助さんと私を回収して、ララと共にザベル先生達に預けたと思えば黒服達の蹂躙に参加しにいった。
強欲の薬を飲んで暴走状態に陥ったの軍人がいなくなったことで、黒服達の蹂躙は簡単に進んでいった。
黒服達が薬を飲もうとすると、柴くんが魔法や投擲武器を使ってビンをわって薬をダメにする。
どれほど重たい攻撃をしても多聞さんが盾で防いぐ。
逃げようとしても面を被っている皇さんが追い付き、次から次に捕縛していく。
ヘルスティーナ先生は皇さんと共に黒服達を捕まえていくが、相変わらず表情が怖いことになっている。
そんな光景を見ながら地面に横にされ、治癒魔法と解呪のために魔法を先生とララにかけられている。
横には毒のせいで動けなくなっている佐之助さんがいて、佐之助さんにも治癒魔法をかけているようだ。
刀はララが回収してくれて、鞘に戻して佐之助さんに返してくれているらしい。
痛みのせいなのか、それとも騒動による疲労のせいなのか、それもと怪我による貧血のせいか。
意識がスコンと落ちて、目蓋を閉じてしまった。
ララの私を呼ぶ声が聞こえたけど、これ以上の気力はなった。
それから私の目が覚めたのは数時間後だった。
篠野部ならば、何か思い付くかもしれないが、そこまで頭の回転が速いわけでも知識があるわけでもない私にはなにも思い付かなかった。
暴走した軍人が走りだし、凄まじいスピードで一気に距離をつめていく。
先生達が防衛魔法を張ろうとしたところで誰かが間にはいった。
土煙のせいで誰が間にはいったのか、そして先生達とわってはいってきた人がどうなったかがわからない。
だが辺り一帯に鉄を叩いたような音が広がり、遅れて風が吹いて土煙が張れる。
暴走状態の軍人と、先生達の間にわってはいったのはアスロンテ軍学校の制服を着たプリン頭の盾を持った男と、メガネをかけて杖を持った男だった。
なんでアスロンテ軍学校の生徒がここに……。
驚いているのは私だけじゃない。
ララも、佐之助さんも、先生達も、黒服達ですら眼を見開いていた。
私達が驚きで固まっているのをよそに、暴走状態の軍人が更なる攻撃を仕掛ける。
それを見てハッとした黒服達は乱入してきたアスロンテ軍学校の生徒を排除しようと杖を構え、魔法を放つ。
四方八方から魔法が降り注ぐ状態であると言うのに、アスロンテ軍学校の生徒は意に介さず、暴走状態の軍人の更なる攻撃を分厚い盾で受け止める。
暴走状態の軍人が相当力があるのか、足が地面にめり込んでいる。
アスロンテ軍学校の生徒に降り注ぐはずだった魔法は空から降ってきた、どこかで見たことのある神々しい光が相殺した。
アスロンテ軍学校の生徒は地面にめり込んだ足をはずし、暴走状態の軍人と同じくらいのバカ力で暴走状態の軍人を思い切り押す。
勢いに負けた軍人はよろつく。
「皇さん!」
皇……?
どこからか、またアスロンテ軍学校の生徒が現れて、その手に持つ大剣を振り抜いた。
皇と呼ばれた男子生徒の体験により暴走状態の軍人は空かたく打ち上げられる。
空には、ヘルスティーナ先生が箒に乗って飛んでいた。
ヘルスティーナが杖を掲げたかと思えば、杖の先の神々しい光が集まっていき球体になる。
「神よ、不浄の者を打ち払う力を私に……。私は使命を全うする者、不浄を打ち払い、平穏をこの世にもたらす者。ホーリー・ライツ」
詠唱が終わり、神々しい光の球体が打ち上げられて身動きがとれない軍人に向かって放たれる。
重力と光の球体に勝てることはなく、軍人は地面に叩きつけられることになった。
地面がへこみ、放射線状の亀裂が地面のへこみを中心に広がった。
ローシュテールのタフさを思い起こせば、また起き上がるんじゃないか、とも思ったが、どうもそう言うことはないらしい。
白目を向いて気絶している軍人の口からローシュテールの時にみた黒いスライムのようなものが最後の力を使って這い出てくるが、ジュワジュワと嫌な音を立てて蒸発して、消えていった。
「……お前がモカノフさんの言ってたよう注意人物だな」
ヘルスティーナ先生がモカノフが警戒するような人物?
不健康そうな黒服の指示で半数はヘルスティーナ先生とアスロンテ軍学校の生徒三人に大量の魔法が放たれる。
先生達が心配の声を上げるが、ヘルスティーナ先生とアスロンテ軍学校の生徒が魔法を全て相殺する。
私も含めて黒服達の魔法をさばいていくヘルスティーナ先生やアスロンテ軍学校の生徒に気を取られていると、好機と思ったのか不健康そうな黒服が悪足掻きで魔法をララに向かって放つ。
「ララ!」
「っ!」
ギリギリで魔法はかわせたものの、私達からは少し離れてしまったし、追撃がやむことはない。
「こうなってしまえばネシャに罪を被って貰うのは無理だろう。動けない獲物だけでも連れて帰るか」
耳元で、男の声が聞こえる。
振り向くとそこにはジャーニー先生と戦っていた軍人が立っていた。
私が立てないのを良いことに、腕をつかみ立たそうとするが足の痛みのせいで、ろくに歩けない私に舌打ち一つ落として、引きずって黒服達の方につれていこうとする。
まともに動けないが、それでも“抵抗を、どうにかして離れないと”と思い、佐之助さんから勝手に借りていた刀を片手で握りこみ、軍人の胸辺りを刺すため一瞬だけ足に力をこめた。
足に走る激痛に、汗が吹き出る。
刺そうとした刀は私の努力むなしく、掴まれてしまい、目的をなすことはできなかった。
刀を掴んだせいで掌が切れているらしく、血が刀を伝って私の手にも這う。
軍人は痛みを我慢して、刃を握ったまま私から刀を取り上げようとするが火事場のバカ力が発動しているのか、力は拮抗して刀が揺れて音を立てる。
「私を、なめてるから……怪我する羽目になるんだ」
「クソガキ……」
「はは……」
完全に虚勢である。
やばい、いい加減、刀を取られてしまいそうだ。
掴まれている腕の骨ががミシミシと音を立てて、奥歯を噛んで叫びだしそうなのを我慢するが、ボキンと骨が簡単におれてしまった。
「あ゛ぁ゛……!?」
骨が折られた痛みで可愛らしくもなんともない悲鳴が上がる。
次の瞬間、軍人の顔面に魔力玉が勢い良く当たった。
軍人のて離れ、軍人は地面に転がり鼻血を出して魔力玉を放った人物を睨み付ける。
「お前……」
私は刀を手放すことはなかったが、立てるわけもなく、地面に伏すことになった。
魔力玉を放ったのは盾を持つアスロンテ軍学校の生徒の後ろにいる、メガネをかけて杖を持っている生徒だった。
「な、んで……」
もう、声を出す気力もない。
ヘルスティーナ先生達が黒服達の放った魔法を全て片付けると、ヘルスティーナ先生は地上に降り立った。
「やぁ」
ニコリ、そう言う効果音が付き添うなほど綺麗に笑っているが眼だけが笑っていないことに恐怖を感じる。
「うちのに良くもてを出してくれよったな。名を変えたか、それとも分裂したか、知りはせんが、敵であることは、ワシがこの世に生まれ落ちたときから決まった事実。覚悟せよ、ここにおる三人は、お主らの野望を挫くために呼ばれた勇者ぞ」
そうだ。
皇って、どこかで聞いたことがあると思ってたら篠野部が言ってたんだ。
確か、三学期かもうすぐ終わるってところで篠野部が偶然遭遇した、私達と同じ、でも正式に必要だと国に呼ばれてきた異世界の人間だ。
えっと、確か皇さんと、多聞さん。
それから柴くん。
だんだんと意識が朦朧としてくる。
勇者達が動き出す。
瞬く間に黒服達を蹂躙していき、ヘルスティーナ先生は佐之助さんと私を回収して、ララと共にザベル先生達に預けたと思えば黒服達の蹂躙に参加しにいった。
強欲の薬を飲んで暴走状態に陥ったの軍人がいなくなったことで、黒服達の蹂躙は簡単に進んでいった。
黒服達が薬を飲もうとすると、柴くんが魔法や投擲武器を使ってビンをわって薬をダメにする。
どれほど重たい攻撃をしても多聞さんが盾で防いぐ。
逃げようとしても面を被っている皇さんが追い付き、次から次に捕縛していく。
ヘルスティーナ先生は皇さんと共に黒服達を捕まえていくが、相変わらず表情が怖いことになっている。
そんな光景を見ながら地面に横にされ、治癒魔法と解呪のために魔法を先生とララにかけられている。
横には毒のせいで動けなくなっている佐之助さんがいて、佐之助さんにも治癒魔法をかけているようだ。
刀はララが回収してくれて、鞘に戻して佐之助さんに返してくれているらしい。
痛みのせいなのか、それとも騒動による疲労のせいなのか、それもと怪我による貧血のせいか。
意識がスコンと落ちて、目蓋を閉じてしまった。
ララの私を呼ぶ声が聞こえたけど、これ以上の気力はなった。
それから私の目が覚めたのは数時間後だった。
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