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つかの間の平穏
142 メメの疑問
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メイメア視点
海の出、すなわち人魚である私は陸もの文化の違いに毎度毎度、疑問符を飛ばしては周囲の方々に聞いていました。
事前に勉強していたとはいえ、未知の文化に触れるのは楽しいものです。
海には服を着るなんて概念はありませんでした。
あるとするのならば陸から流れてきた布切れを巻くだとか、布切れではなくて海藻を使ったりとか、貝をうまいこと繋げて陸で言う服の代わりにしたりだとか。
そもそもの話、空を飛ぶとか言うよく分からないことだってしませんからね。
私達人魚は海を泳ぎますから、そもそも私に関してはメルリス魔法学校にはいることが決定するまで空すら見たことありませんもの。
二足歩行だって最初はうまく行きませんでしたわ。
蟹の人魚である海の友達はアスロンテ軍学校に行くと言って一緒のタイミングで陸に上がりましたけれども最初の頃は横歩きしかしてませんでしたからね。
元が蟹だったから歩くことになれているみたいで、歩くことは事態は出きるようでしたけれども座り込んで動けない私を笑いながら横歩きしている様は滑稽でしたわ。
挙げ句よそ見、というか横歩きして私を笑いっていたせいで進行方向をきちんと確認できずに岩に躓いて盛大に転けてましたしね。
大笑いしてやりましたわよ。
まぁ、そのあと私もうまく歩けずに転けてしまいましたけれどもね。
「ドングリの背比べ……」
私の話を聞いていたしのくん基カルくんがあきれた表情で私のことを見てきましたわ。
「ドングリの背比べ?」
陸の諺なんでしょうけれども、学んだものの中に似たような単語はあった覚えはありませんわ。
私の疑問の声にカルくんは眉をしかめたかと思えばため息をはいて、どこか納得したような表情に変わりました。
「そうか、海だから通じないのか」
そうです。私人魚ですので陸のことは分からないことの方が多いのですわ。
「ドングリって分かるか?」
「茶色の木の実でしょう?」
「あれってほとんど大きさが変わらないだろ。ドングリが背比べしてもそこまで変わらない、やってることにほとんどさがないって意味だ」
なるほど?
……確かにやっていることのさはありませんものね。
「五十歩百歩も似たような意味だな」
「五十歩と百歩では大きく違うのでは?」
陸は似たような意味の言葉があって、とてもめんど__分かりにくいですわ。
「人間語だと音が同じなのに意味が違う言葉もありますわよね。「橋」とか「端」とか「箸」とか、ややこしくありませんの?」
「発音で分けてるから別に……。確かにたまに分からなくあることはあるしけれど」
「なぜ人族は自ら蕀の道を行くのです?」
「知らん」
「つれないですわ」
人魚語は超音波だったりですから、人間語のようにはならないんですのよね。
お人形さんは喋りませんしね。
傀儡魔法をの練習を予て、二体の人形に最近覚えたワルツを踊らせる。
この場には本を読んでいる最中のカルくんしかいません。
他の人はお手洗いに行っていたり、購買に行っていたり、先生に呼び出されて職員室に行ったりしていて、この場にはいないんです。
「そういえば、しのくんとえーちゃんは、どれほどの付き合いなんですの?」
いつの日だったかしら、ミミちゃんがえーちゃんに聞いていたときに話していた気もするけれど、不思議な二人の関係が気になって聞いてしまいました。
「……メルトポリアに来てからは一年と半年近く。メルトポリアに来る前を含めると、多分……一年と十ヶ月ぐらいなんじゃないか?」
う~ん、二人の様子を見るに長年の知り合いだと思っていたのですが、違うようですね。
「まともに会話するようになったのはメルトポリアに来てからだな」
「あらま、少し以意外ですわ。てっきり長い付き合いなのかと思ってましたから」
「そうか」
そっけないですわねえ。
まあ、かれこれ半年近くの付き合いでカルくんのことはある程度知っているつもりですが、この冷たさには未だに慣れませんわね。
一体どうして、誰も彼もにこんな冷たい、そっけない対応するのかしらね?
気になるけれど、これは聞かない方がいいと私の勘が言っているので触れないことにするわ。
私、知識欲は強い方だけれど、そこらへんの分別は出きる方ですの。
「同じ町の出身なんですか?」
「……さあ?」
「あら、私、人間はあまりすんでいるお場所を引っ越したりしない聞いたのですけれど」
「メルリス魔法学校に来る前に通ってた学校が同じだけだからな。僕は一度引っ越して、まだ戻ってきた感じだから、人によるだろ」
つまり二度ほど、お引っ越しされていると言うことですわね?
「戻ったんですの?」
「一時親戚に預けられてたんでな」
「あぁ、そういうことなんですのね。でも、それお引っ越しでいいのかしら?」
「さあな、元々住んでたところよりも遠いところに年単位で暮らしてたから似たようなものだろ」
むう、確かにそれもそうですわね。
「人魚は大きな危険が迫ると元々住んでいた町を捨てて別の場所に移動するんですの」
「それ、費用とか馬鹿にならないだろ……」
「誰だってシャチやサメの群れには教われたくありませんもの。仕方ありませんわ」
「シャチに、サメ……」
本を読みながらでもきちんと話を聞いてくれていたカルくんは頬をひきつらせ、私の言葉を反芻している。
本から仕入れたのか、それとも誰かに聞いたのかカルくんの様子からして獲物を見つけたときのシャチやサメがどんなものなのか知っているみたいですわ。
シャチはイルカ白グマ、時にはイルカやクジラや人魚すらも獲物にしてしまう、まさしく海のギャングですし、何が酷いって獲物を使って遊んでしまうことなんですよね。
サメもサメで凶暴だし、鼻が良いから少しでも血を流してしまえば、だいぶん遠いところからでも嗅ぎ付けてくるんですもの。
シャチも遠慮願いたいですけれども、サメも大概ですわね。
「見つけたときの恐怖足るや……」
「人魚の方が強いと言うわけではないんだな」
「水中呼吸ができる、そして魔法が使えるだとか武術に長けた人間が海にいてシャチの勝てますの?」
「それは……前提条件が違う気もするけど、多分無理なんじゃないか?」
「前提条件といいましても、水中呼吸ができる状態であればお呼びのうまさ程度では?それなら箒でも使ってしまえばよろしいのです」
「それもそうか……」
「あとは個人的に達磨ザメとか怖いですわね」
私怨をこぼしてよいのなら言いますけれども、一度ちょっとだけ噛られたときから達磨ザメとか私大っ嫌いですわ。
「達磨……あぁ、丸く噛ってくる奴」
「そうですわ」
海のこと、知らない人も多いというのにカルくんと話すのは知識が豊富で話がつまらなくて楽で楽しくていいですわ。
……人もあまりいませんし、少し前々から気になっていることを聞いてみますか。
「しのくんは、私が傀儡魔法が得意だと言っても嫌そうな顔しませんでしたよね。なんでですの?」
傀儡魔法、その名の通り生き物でなくても生き物でも条件付きで操れるようになってしまう魔法。
その性質もあり、犯罪に使われやすい魔法である。
まあ、私の場合は幼心に人形が動いたらいいなと思って習得したものですから、入らぬ下心とかないんですけれども。
「最初は気にしている余裕がなかったからだな」
「確かに、あの時は模造品のワイバーンに襲われていましたものね」
「あぁ、君が人形意外に魔法を使う気がないのは普段の様子からわかることだ。それに、傀儡魔法にかからない自信があったしな」
「うふふ、確かにしのくんは精神的に強そうですものね」
傀儡魔法を生き物にかける条件の一つに、精神的に屈服させると言うものがあります。
「他のやつらは頭から抜けていたんじゃないのか?」
「かもしれませんわねえ」
箱庭試験でのことを考えればおかしくもありませんけれども、知ったときにひきつった顔をしなかったのは嬉しかったですわ。
知らせなければいいという話なんですけれども、得意魔法だから有事の際はとっさに出てしまうんですよねえ。
それに、傀儡魔法が世間から嫌われぎみだと知ったのは陸に上がってからでしたからね。
海に傀儡魔法はありませんでしたし、たまたま船が座礁でもしたのか流れてきた魔導書に書かれてたものを習得しましたから。
海で傀儡魔法とか、条件がクリアできる気がしませんから。
人魚は精神に作用する魔法にたいして、とても強い体制を持っていることが一般的ですもの。
「篠野部~、メメ~、キャラメルポップコーン食べる?」
「あら、ありがたくいただきますわ」
皆さんが戻ってきましたわ。
さっきカルくんにした質問を皆さんにしてみたいと思いますけれど、カルくんの回答で満足しましたからやめてきますわ。
知っても知らなくても、私が変わることはないもの。
海の出、すなわち人魚である私は陸もの文化の違いに毎度毎度、疑問符を飛ばしては周囲の方々に聞いていました。
事前に勉強していたとはいえ、未知の文化に触れるのは楽しいものです。
海には服を着るなんて概念はありませんでした。
あるとするのならば陸から流れてきた布切れを巻くだとか、布切れではなくて海藻を使ったりとか、貝をうまいこと繋げて陸で言う服の代わりにしたりだとか。
そもそもの話、空を飛ぶとか言うよく分からないことだってしませんからね。
私達人魚は海を泳ぎますから、そもそも私に関してはメルリス魔法学校にはいることが決定するまで空すら見たことありませんもの。
二足歩行だって最初はうまく行きませんでしたわ。
蟹の人魚である海の友達はアスロンテ軍学校に行くと言って一緒のタイミングで陸に上がりましたけれども最初の頃は横歩きしかしてませんでしたからね。
元が蟹だったから歩くことになれているみたいで、歩くことは事態は出きるようでしたけれども座り込んで動けない私を笑いながら横歩きしている様は滑稽でしたわ。
挙げ句よそ見、というか横歩きして私を笑いっていたせいで進行方向をきちんと確認できずに岩に躓いて盛大に転けてましたしね。
大笑いしてやりましたわよ。
まぁ、そのあと私もうまく歩けずに転けてしまいましたけれどもね。
「ドングリの背比べ……」
私の話を聞いていたしのくん基カルくんがあきれた表情で私のことを見てきましたわ。
「ドングリの背比べ?」
陸の諺なんでしょうけれども、学んだものの中に似たような単語はあった覚えはありませんわ。
私の疑問の声にカルくんは眉をしかめたかと思えばため息をはいて、どこか納得したような表情に変わりました。
「そうか、海だから通じないのか」
そうです。私人魚ですので陸のことは分からないことの方が多いのですわ。
「ドングリって分かるか?」
「茶色の木の実でしょう?」
「あれってほとんど大きさが変わらないだろ。ドングリが背比べしてもそこまで変わらない、やってることにほとんどさがないって意味だ」
なるほど?
……確かにやっていることのさはありませんものね。
「五十歩百歩も似たような意味だな」
「五十歩と百歩では大きく違うのでは?」
陸は似たような意味の言葉があって、とてもめんど__分かりにくいですわ。
「人間語だと音が同じなのに意味が違う言葉もありますわよね。「橋」とか「端」とか「箸」とか、ややこしくありませんの?」
「発音で分けてるから別に……。確かにたまに分からなくあることはあるしけれど」
「なぜ人族は自ら蕀の道を行くのです?」
「知らん」
「つれないですわ」
人魚語は超音波だったりですから、人間語のようにはならないんですのよね。
お人形さんは喋りませんしね。
傀儡魔法をの練習を予て、二体の人形に最近覚えたワルツを踊らせる。
この場には本を読んでいる最中のカルくんしかいません。
他の人はお手洗いに行っていたり、購買に行っていたり、先生に呼び出されて職員室に行ったりしていて、この場にはいないんです。
「そういえば、しのくんとえーちゃんは、どれほどの付き合いなんですの?」
いつの日だったかしら、ミミちゃんがえーちゃんに聞いていたときに話していた気もするけれど、不思議な二人の関係が気になって聞いてしまいました。
「……メルトポリアに来てからは一年と半年近く。メルトポリアに来る前を含めると、多分……一年と十ヶ月ぐらいなんじゃないか?」
う~ん、二人の様子を見るに長年の知り合いだと思っていたのですが、違うようですね。
「まともに会話するようになったのはメルトポリアに来てからだな」
「あらま、少し以意外ですわ。てっきり長い付き合いなのかと思ってましたから」
「そうか」
そっけないですわねえ。
まあ、かれこれ半年近くの付き合いでカルくんのことはある程度知っているつもりですが、この冷たさには未だに慣れませんわね。
一体どうして、誰も彼もにこんな冷たい、そっけない対応するのかしらね?
気になるけれど、これは聞かない方がいいと私の勘が言っているので触れないことにするわ。
私、知識欲は強い方だけれど、そこらへんの分別は出きる方ですの。
「同じ町の出身なんですか?」
「……さあ?」
「あら、私、人間はあまりすんでいるお場所を引っ越したりしない聞いたのですけれど」
「メルリス魔法学校に来る前に通ってた学校が同じだけだからな。僕は一度引っ越して、まだ戻ってきた感じだから、人によるだろ」
つまり二度ほど、お引っ越しされていると言うことですわね?
「戻ったんですの?」
「一時親戚に預けられてたんでな」
「あぁ、そういうことなんですのね。でも、それお引っ越しでいいのかしら?」
「さあな、元々住んでたところよりも遠いところに年単位で暮らしてたから似たようなものだろ」
むう、確かにそれもそうですわね。
「人魚は大きな危険が迫ると元々住んでいた町を捨てて別の場所に移動するんですの」
「それ、費用とか馬鹿にならないだろ……」
「誰だってシャチやサメの群れには教われたくありませんもの。仕方ありませんわ」
「シャチに、サメ……」
本を読みながらでもきちんと話を聞いてくれていたカルくんは頬をひきつらせ、私の言葉を反芻している。
本から仕入れたのか、それとも誰かに聞いたのかカルくんの様子からして獲物を見つけたときのシャチやサメがどんなものなのか知っているみたいですわ。
シャチはイルカ白グマ、時にはイルカやクジラや人魚すらも獲物にしてしまう、まさしく海のギャングですし、何が酷いって獲物を使って遊んでしまうことなんですよね。
サメもサメで凶暴だし、鼻が良いから少しでも血を流してしまえば、だいぶん遠いところからでも嗅ぎ付けてくるんですもの。
シャチも遠慮願いたいですけれども、サメも大概ですわね。
「見つけたときの恐怖足るや……」
「人魚の方が強いと言うわけではないんだな」
「水中呼吸ができる、そして魔法が使えるだとか武術に長けた人間が海にいてシャチの勝てますの?」
「それは……前提条件が違う気もするけど、多分無理なんじゃないか?」
「前提条件といいましても、水中呼吸ができる状態であればお呼びのうまさ程度では?それなら箒でも使ってしまえばよろしいのです」
「それもそうか……」
「あとは個人的に達磨ザメとか怖いですわね」
私怨をこぼしてよいのなら言いますけれども、一度ちょっとだけ噛られたときから達磨ザメとか私大っ嫌いですわ。
「達磨……あぁ、丸く噛ってくる奴」
「そうですわ」
海のこと、知らない人も多いというのにカルくんと話すのは知識が豊富で話がつまらなくて楽で楽しくていいですわ。
……人もあまりいませんし、少し前々から気になっていることを聞いてみますか。
「しのくんは、私が傀儡魔法が得意だと言っても嫌そうな顔しませんでしたよね。なんでですの?」
傀儡魔法、その名の通り生き物でなくても生き物でも条件付きで操れるようになってしまう魔法。
その性質もあり、犯罪に使われやすい魔法である。
まあ、私の場合は幼心に人形が動いたらいいなと思って習得したものですから、入らぬ下心とかないんですけれども。
「最初は気にしている余裕がなかったからだな」
「確かに、あの時は模造品のワイバーンに襲われていましたものね」
「あぁ、君が人形意外に魔法を使う気がないのは普段の様子からわかることだ。それに、傀儡魔法にかからない自信があったしな」
「うふふ、確かにしのくんは精神的に強そうですものね」
傀儡魔法を生き物にかける条件の一つに、精神的に屈服させると言うものがあります。
「他のやつらは頭から抜けていたんじゃないのか?」
「かもしれませんわねえ」
箱庭試験でのことを考えればおかしくもありませんけれども、知ったときにひきつった顔をしなかったのは嬉しかったですわ。
知らせなければいいという話なんですけれども、得意魔法だから有事の際はとっさに出てしまうんですよねえ。
それに、傀儡魔法が世間から嫌われぎみだと知ったのは陸に上がってからでしたからね。
海に傀儡魔法はありませんでしたし、たまたま船が座礁でもしたのか流れてきた魔導書に書かれてたものを習得しましたから。
海で傀儡魔法とか、条件がクリアできる気がしませんから。
人魚は精神に作用する魔法にたいして、とても強い体制を持っていることが一般的ですもの。
「篠野部~、メメ~、キャラメルポップコーン食べる?」
「あら、ありがたくいただきますわ」
皆さんが戻ってきましたわ。
さっきカルくんにした質問を皆さんにしてみたいと思いますけれど、カルくんの回答で満足しましたからやめてきますわ。
知っても知らなくても、私が変わることはないもの。
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