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蛇令嬢
83 別行動1
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レーピオ視点
時刻は永華達がダンジョンに入る少し前、レーピオはベイノットとジャーニーと共に町の中を歩いていた。
本来であれば貴族の子供の外出時は使用人や先日の夕食の買い出しのときのように大人数で行動するように推奨されている。
今回は“諸事情により使用人を呼べず、大人数での行動でもない”ため護衛のため教師がついた。
とある商会で職場見学のため、外に出てきている。
もちろん、建前である。
本来の目的は、リンデヒル商会の会長に合うことだ。
リンデヒル商会はメルトポリア王国の中でも、それなりの地位を獲得している古いやり手の商会だ。
そのリンデヒル商会はカリヤの兄であるネレーオが社会経験のためにと働いていた商会である。
会いに行く理由は護衛のためである。
今日、ネレーオの捜索に永華、カルタ、ベイノット、ミュー、ビーグル先輩、ザベル先生、ヘラクレスさんはダンジョンに向かった。
その動きが知られていないとは思う、だが念には念をということで知らされていると紹介の会長やカリヤの家族がどうなるかわからない。
だから残りの者が秘密裏に護衛に向かうことになった。
ついでにうちの家に利益のある取引が出きると良いなぁ、とレーピオは考えていたりする。
先生を説得した日にアポをとったので会えないなんてことはない。
手紙が帰ってくるのが早い?文面がちょっと怖いものになってしまったかもしれないけど、それは関係ない話ですよね。
「さてえ、ここがリンデヒル商会の会長と待ち合わせをしてる場所ですねえ」
「ここ、すげえ高い宿じゃ……」
「流石お金持ち~」
見上げるのは学校ほどではないが豪華な石作りの真新しい四階建ての建物だった。
中に入り受け付けに名前を告げると、この宿でもとくに豪華な部屋に案内された。
静かな廊下で三人とコンシェルジュの足音だけが響いている。
「ずいぶんと怯えているみたいですねえ。まぁ、別に変なことでもないですけどお」
軍人に脅されているのに僕の呼び出しに応じてくれたのはありがたいものですねえ。
完全に屈してはない、ということでしょうかあ。
「なんでわかるんだ?」
「ベイノット、ここに来るまでチラホラ人を見かけただろ?」
「え?あ、あぁ、見ましたけど……」
「あれ、全部護衛だよ」
「は?」
ベイノットが共学の表情を浮かべ、振り返る。
ベイノットの視線の先には客らしき男がたっていたが、よく見ると体格が良いし鍛えているのが見てわかった。
これだけなら趣味で鍛えているのかな?とも思うがレーピオの話を聞いたあとなら回りにいるもの皆そろって護衛かなにかに見えてきた。
「ここは貴族や商会などの重鎮が利用するようなところですからねえ。それなりのサービスもつくんですよお。この部屋だと結構グレードが高いのでえ、腕の良い人がつくんですう」
これは自分達の被害を少なくする意図もあるんでしょうねえ、自衛は大事ですからあ。
「はぁ……俺みたいなのとは一生縁がなさそうなサービス」
「ベイノットくんだと皆返り討ちにしてしまいそうですもんねえ」
「まぁな」
まわりの者に不審がられないよう小声で話しているとコンシェルジュが部屋についたと告げた。
「デーヒル・リンデル様、レーピオ・アスクス様ご一行がこられました」
「どうぞ」
震えた越えた男の声が部屋のなかから返事を返した。
「お二方はお口チャックしていてくださいねえ?」
なにか漏れてしまったら大変ですからねえ。
二人は無言で頷く。それを確認して、レーピオは部屋に向き直る。
「失礼します」
真剣な場なので、いつもの緩いしゃべり方は封印ですよお。
中に入れば怯えたようすのリンデル商会の会長と険しい表情の護衛らしき黒服達がいた。
無言で椅子に座るように促される。
座れば、いつの間にかコンシェルジュが用意した紅茶と茶請けが提供され、コンシェルジュは一礼をして出ていった。
「ご存じかと思いますが、レーピオ・アスクスと申します。今回は急なお呼び出しに応じてくださってありがとうございます」
「デーヒル・リンデルです。“ハーメルンにあったようですが、お加減はいかがですか?”何て書いておいてよく言いますね」
「うふふ、そうしないとあってくれないかと思いまして」
デーヒル会長が僕の後ろの控えているベイノットとジャーニー先生に一瞬視線を移し、僕を見た。
「まぁ、そうしたでしょうな。それで、ご用件はなんでしょうか?アスクス家のご子息よ」
思いっきり警戒されているようだ。
「そうですね。余計な心労をお掛けすることは不本意ですから素直にいきましょう」
まわりを見回すと防音魔法と人避けの魔法がはってある。盗み聞きの可能性は低いだろう。
ただ、念には念をだ。
ジャーニーに合図を送ってレーピオとデーヒル会長だけが入るような防音魔法をかけてもらう。
魔法をかけるとジャーニーは吸い寄せられるように窓の方にいってしまった。
「用件、というか目的はあなたの安全を確保することです。これだけ護衛の方がいるのなら私達の杞憂になりそうですが、念には念をと思いましてね」
レーピオがそう答えるとデーヒル会長は怪訝な表情をした。
「それは……」
「私の友人達が今回の件に一枚噛むことになりまして、私のこれは友人達に後悔をしてほしくなくて行った行動です。それに証人がいなくなるのは困りますから」
あの四人と先生、先生達がダンジョンに言ってる間にデーヒル会長が殺されてしまったら悲しむだろう。
それに僕の家に証拠を送って動くことを確約してくれているもののお、例の女軍人に脅されたという証言をしてくれそうな人物がいなくなるのはよろしくない。
ちなみに後半が本音の割合高かったりする。
「友人、というのなら子供がそんな危険なことをしているのか!?危ないから今すぐ手を引きなさい!」
「危険は承知ですし保険もはってますから、ご心配になられずとも大丈夫です。友人を信じていますし、ベイベルツ、ファーレンテイン、アスクスの三つの貴族を敵に回して挙げ句の果てにメルリス魔法学校まで敵に回しているんですから心配するなら相手の方ですよ」
「なっ!」
カリヤ先輩に見せてもらった証拠の中にあった取引のリスト、その中には行方不明になった我が領地の民もいた。
しかも領地の者ではないものの人魚にも手を出していたようでリストを見たメメはお怒りだ。
ベイベルツ家は祖母という不穏分子がいるからなにも知らされていないが、知れば激怒間違い無しだろう。
メルリス魔法学校に関しては長年勤めていた職員が被害にあっていたらしい。普段は表に出さないらしいが身内大好きな校長が笑顔でキレていたと語ったのはジャーニーだ。
「それに、もう既に軍に情報が渡っているので終わるのも、もうすぐかと。私たちはやっているのは保険をはることだけですから」
「そ、そう、か」
体を強ばらせていたデーヒル会長はレーピオの言葉を聞いていくぶんか安心できたのかホッと息を吐いてグデンとソファにもたれ掛かった。
それを咎めるものは誰もいない。
一番聞けんの伴うダンジョン組だってザベル先生が無理だと思ったら引き返して先生とヘラクレスさん、あとはもしかしたらビーグル先輩の三人で再突入の予定ですしねえ。
気がかりがあるといえば治癒魔法が得意な僕がここにいることだけですかねえ。
とまあ、そんな感じでカリヤが一人で頑張っていたときとは違い、今はメルトポリア王国事態が人身売買をしている冒険者パーティーの敵なのだ。
こんなのお、負ける気なんてしない一ミリもしないでしょう?
僕たちがしているのは見きりを付けられて捜索をされなさそうなネレーオさんの捜索とお、背徳行為をしている人がいるので護衛ですう。
証拠がないのに軍が動いてくれるなんてことありませんからあ、気がついた僕たちが動かないといけないんですよねえ。
まぁ、これだって僕の考えが正しければの話ですしい?当たらなければ万々歳でですしねえ?
難しいことや国際的な問題は全て国に丸投げなので僕らのやることは少ないですしい、構いませんけどお。
そもそも保険をかけたとはいってもやることなんてえ、ほとんどなさそうですねどねえ。
動くのは僕じゃなくて先生とベイノットくんになりそうですからあ。
さて、メメさんの方はうまくやってますかねえ?
時刻は永華達がダンジョンに入る少し前、レーピオはベイノットとジャーニーと共に町の中を歩いていた。
本来であれば貴族の子供の外出時は使用人や先日の夕食の買い出しのときのように大人数で行動するように推奨されている。
今回は“諸事情により使用人を呼べず、大人数での行動でもない”ため護衛のため教師がついた。
とある商会で職場見学のため、外に出てきている。
もちろん、建前である。
本来の目的は、リンデヒル商会の会長に合うことだ。
リンデヒル商会はメルトポリア王国の中でも、それなりの地位を獲得している古いやり手の商会だ。
そのリンデヒル商会はカリヤの兄であるネレーオが社会経験のためにと働いていた商会である。
会いに行く理由は護衛のためである。
今日、ネレーオの捜索に永華、カルタ、ベイノット、ミュー、ビーグル先輩、ザベル先生、ヘラクレスさんはダンジョンに向かった。
その動きが知られていないとは思う、だが念には念をということで知らされていると紹介の会長やカリヤの家族がどうなるかわからない。
だから残りの者が秘密裏に護衛に向かうことになった。
ついでにうちの家に利益のある取引が出きると良いなぁ、とレーピオは考えていたりする。
先生を説得した日にアポをとったので会えないなんてことはない。
手紙が帰ってくるのが早い?文面がちょっと怖いものになってしまったかもしれないけど、それは関係ない話ですよね。
「さてえ、ここがリンデヒル商会の会長と待ち合わせをしてる場所ですねえ」
「ここ、すげえ高い宿じゃ……」
「流石お金持ち~」
見上げるのは学校ほどではないが豪華な石作りの真新しい四階建ての建物だった。
中に入り受け付けに名前を告げると、この宿でもとくに豪華な部屋に案内された。
静かな廊下で三人とコンシェルジュの足音だけが響いている。
「ずいぶんと怯えているみたいですねえ。まぁ、別に変なことでもないですけどお」
軍人に脅されているのに僕の呼び出しに応じてくれたのはありがたいものですねえ。
完全に屈してはない、ということでしょうかあ。
「なんでわかるんだ?」
「ベイノット、ここに来るまでチラホラ人を見かけただろ?」
「え?あ、あぁ、見ましたけど……」
「あれ、全部護衛だよ」
「は?」
ベイノットが共学の表情を浮かべ、振り返る。
ベイノットの視線の先には客らしき男がたっていたが、よく見ると体格が良いし鍛えているのが見てわかった。
これだけなら趣味で鍛えているのかな?とも思うがレーピオの話を聞いたあとなら回りにいるもの皆そろって護衛かなにかに見えてきた。
「ここは貴族や商会などの重鎮が利用するようなところですからねえ。それなりのサービスもつくんですよお。この部屋だと結構グレードが高いのでえ、腕の良い人がつくんですう」
これは自分達の被害を少なくする意図もあるんでしょうねえ、自衛は大事ですからあ。
「はぁ……俺みたいなのとは一生縁がなさそうなサービス」
「ベイノットくんだと皆返り討ちにしてしまいそうですもんねえ」
「まぁな」
まわりの者に不審がられないよう小声で話しているとコンシェルジュが部屋についたと告げた。
「デーヒル・リンデル様、レーピオ・アスクス様ご一行がこられました」
「どうぞ」
震えた越えた男の声が部屋のなかから返事を返した。
「お二方はお口チャックしていてくださいねえ?」
なにか漏れてしまったら大変ですからねえ。
二人は無言で頷く。それを確認して、レーピオは部屋に向き直る。
「失礼します」
真剣な場なので、いつもの緩いしゃべり方は封印ですよお。
中に入れば怯えたようすのリンデル商会の会長と険しい表情の護衛らしき黒服達がいた。
無言で椅子に座るように促される。
座れば、いつの間にかコンシェルジュが用意した紅茶と茶請けが提供され、コンシェルジュは一礼をして出ていった。
「ご存じかと思いますが、レーピオ・アスクスと申します。今回は急なお呼び出しに応じてくださってありがとうございます」
「デーヒル・リンデルです。“ハーメルンにあったようですが、お加減はいかがですか?”何て書いておいてよく言いますね」
「うふふ、そうしないとあってくれないかと思いまして」
デーヒル会長が僕の後ろの控えているベイノットとジャーニー先生に一瞬視線を移し、僕を見た。
「まぁ、そうしたでしょうな。それで、ご用件はなんでしょうか?アスクス家のご子息よ」
思いっきり警戒されているようだ。
「そうですね。余計な心労をお掛けすることは不本意ですから素直にいきましょう」
まわりを見回すと防音魔法と人避けの魔法がはってある。盗み聞きの可能性は低いだろう。
ただ、念には念をだ。
ジャーニーに合図を送ってレーピオとデーヒル会長だけが入るような防音魔法をかけてもらう。
魔法をかけるとジャーニーは吸い寄せられるように窓の方にいってしまった。
「用件、というか目的はあなたの安全を確保することです。これだけ護衛の方がいるのなら私達の杞憂になりそうですが、念には念をと思いましてね」
レーピオがそう答えるとデーヒル会長は怪訝な表情をした。
「それは……」
「私の友人達が今回の件に一枚噛むことになりまして、私のこれは友人達に後悔をしてほしくなくて行った行動です。それに証人がいなくなるのは困りますから」
あの四人と先生、先生達がダンジョンに言ってる間にデーヒル会長が殺されてしまったら悲しむだろう。
それに僕の家に証拠を送って動くことを確約してくれているもののお、例の女軍人に脅されたという証言をしてくれそうな人物がいなくなるのはよろしくない。
ちなみに後半が本音の割合高かったりする。
「友人、というのなら子供がそんな危険なことをしているのか!?危ないから今すぐ手を引きなさい!」
「危険は承知ですし保険もはってますから、ご心配になられずとも大丈夫です。友人を信じていますし、ベイベルツ、ファーレンテイン、アスクスの三つの貴族を敵に回して挙げ句の果てにメルリス魔法学校まで敵に回しているんですから心配するなら相手の方ですよ」
「なっ!」
カリヤ先輩に見せてもらった証拠の中にあった取引のリスト、その中には行方不明になった我が領地の民もいた。
しかも領地の者ではないものの人魚にも手を出していたようでリストを見たメメはお怒りだ。
ベイベルツ家は祖母という不穏分子がいるからなにも知らされていないが、知れば激怒間違い無しだろう。
メルリス魔法学校に関しては長年勤めていた職員が被害にあっていたらしい。普段は表に出さないらしいが身内大好きな校長が笑顔でキレていたと語ったのはジャーニーだ。
「それに、もう既に軍に情報が渡っているので終わるのも、もうすぐかと。私たちはやっているのは保険をはることだけですから」
「そ、そう、か」
体を強ばらせていたデーヒル会長はレーピオの言葉を聞いていくぶんか安心できたのかホッと息を吐いてグデンとソファにもたれ掛かった。
それを咎めるものは誰もいない。
一番聞けんの伴うダンジョン組だってザベル先生が無理だと思ったら引き返して先生とヘラクレスさん、あとはもしかしたらビーグル先輩の三人で再突入の予定ですしねえ。
気がかりがあるといえば治癒魔法が得意な僕がここにいることだけですかねえ。
とまあ、そんな感じでカリヤが一人で頑張っていたときとは違い、今はメルトポリア王国事態が人身売買をしている冒険者パーティーの敵なのだ。
こんなのお、負ける気なんてしない一ミリもしないでしょう?
僕たちがしているのは見きりを付けられて捜索をされなさそうなネレーオさんの捜索とお、背徳行為をしている人がいるので護衛ですう。
証拠がないのに軍が動いてくれるなんてことありませんからあ、気がついた僕たちが動かないといけないんですよねえ。
まぁ、これだって僕の考えが正しければの話ですしい?当たらなければ万々歳でですしねえ?
難しいことや国際的な問題は全て国に丸投げなので僕らのやることは少ないですしい、構いませんけどお。
そもそも保険をかけたとはいってもやることなんてえ、ほとんどなさそうですねどねえ。
動くのは僕じゃなくて先生とベイノットくんになりそうですからあ。
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