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第一章
始まり
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六月の第二週目、梅雨に入り雨の日が続く
「……やっぱ雨か。」もしかしたら晴れるのではという思いも届かず嫌そうに空を見た圭介はそう呟いた。
春から高校二年生となった圭介はいつものように学校へ登校する。
「おっ、圭!おはよー」曲がり角を曲がった先で羽賀頼人と出会った。「おう、おはよう」僕は軽く返した。羽賀は小学生からの付き合いで高校まで一緒に過ごしている数少ない親友だ。僕を圭と呼ぶのも小さいときから変わらない「今日も雨でやになっちまうなぁー」 「んだなー」 続かない会話をしながら通学路を渡る。雨のせいか車が多くいつもより道路は混んでいた。
当然、ハプニングも起こる。二人が水たまりの横を通るとき、スピードの出た車が横を通り過ぎ、水たまりを跳ねていった。圭介はなんとか傘で防いだものの、羽賀は下がずぶ濡れになるという悲しい結果になった。「おーい!ふざけんな!」羽賀の怒鳴り声も雨の音でかき消され届かなかった。「くっそ最悪だ、てか圭はなんでセーフなんだよ!?」僕の方を見て羽賀は言う。
「ま、まぁ反射神経はいい方だと自負してるからさ」と適当に誤魔化した。その後は何事もなく学校へ到着した。当然、羽賀の状態には笑うものもおり、教室内は騒然としていた。
「あれ?羽賀君ずぶ濡れじゃんどうしたの?」教室から一人の声が聞こえた。
「それがよぉー思いっきり車に水跳ねられてこのザマだよ、でも圭は無事なんだぜ?あれはおかしいって」羽賀は琴葉に説明した。「それは草やっぱ羽賀君は圭介君と違って日頃の行いが悪いからじゃない?」と追い討ちをかけるように言った彼女に僕は苦笑いするしかなかった。
彼女は一年生の時にクラスが一緒で席も近く、話す機会も多かった。元々話すことが苦手な圭介でも比較的に話やすい人である。「てかお前全然濡れてないじゃん!なんで!?」羽賀は琴葉にツッコんだ。「ふふーん私は車で送ってもらったから濡れなかったんだー」と自慢げに琴葉は言った。
「ずるいぞ!お前も帰りに俺の苦しみを味わえ!」「はぁー?嫌ですけどー」なんとも言えない口論を横目に僕はせっせと授業の準備をする。一限目は数学、だが僕は自習用の英語ノートを用意した。それに気づいた羽賀が圭介に「あれ?一限目は数学だろ?」と言った。慌てて僕は言う「だ、だってどうせ数学暇になるだろうしこれぐらいやろうかなって、ハハハ」「ふーん、まぁお前頭いいもんな」羽賀なんとか納得はしてくれた。成績順位の半分を頭いいというのか…そう困惑しながらも笑って誤魔化した。成績の話で言うなら琴葉は毎回学年上位にいる天才だ。羽賀は…まぁといったところだろう。
しかし、僕は嘘をついている。あの水飛沫を運動ドベの僕が反射神経で防げるわけがない、授業に追いつくのが精一杯の僕が授業中に他科目の自習ができるわけがない。
全て知っていた。わかっていた。だから事前に対策していたのだ。
そう、僕には
少し先の未来が、見えるんだ
「……やっぱ雨か。」もしかしたら晴れるのではという思いも届かず嫌そうに空を見た圭介はそう呟いた。
春から高校二年生となった圭介はいつものように学校へ登校する。
「おっ、圭!おはよー」曲がり角を曲がった先で羽賀頼人と出会った。「おう、おはよう」僕は軽く返した。羽賀は小学生からの付き合いで高校まで一緒に過ごしている数少ない親友だ。僕を圭と呼ぶのも小さいときから変わらない「今日も雨でやになっちまうなぁー」 「んだなー」 続かない会話をしながら通学路を渡る。雨のせいか車が多くいつもより道路は混んでいた。
当然、ハプニングも起こる。二人が水たまりの横を通るとき、スピードの出た車が横を通り過ぎ、水たまりを跳ねていった。圭介はなんとか傘で防いだものの、羽賀は下がずぶ濡れになるという悲しい結果になった。「おーい!ふざけんな!」羽賀の怒鳴り声も雨の音でかき消され届かなかった。「くっそ最悪だ、てか圭はなんでセーフなんだよ!?」僕の方を見て羽賀は言う。
「ま、まぁ反射神経はいい方だと自負してるからさ」と適当に誤魔化した。その後は何事もなく学校へ到着した。当然、羽賀の状態には笑うものもおり、教室内は騒然としていた。
「あれ?羽賀君ずぶ濡れじゃんどうしたの?」教室から一人の声が聞こえた。
「それがよぉー思いっきり車に水跳ねられてこのザマだよ、でも圭は無事なんだぜ?あれはおかしいって」羽賀は琴葉に説明した。「それは草やっぱ羽賀君は圭介君と違って日頃の行いが悪いからじゃない?」と追い討ちをかけるように言った彼女に僕は苦笑いするしかなかった。
彼女は一年生の時にクラスが一緒で席も近く、話す機会も多かった。元々話すことが苦手な圭介でも比較的に話やすい人である。「てかお前全然濡れてないじゃん!なんで!?」羽賀は琴葉にツッコんだ。「ふふーん私は車で送ってもらったから濡れなかったんだー」と自慢げに琴葉は言った。
「ずるいぞ!お前も帰りに俺の苦しみを味わえ!」「はぁー?嫌ですけどー」なんとも言えない口論を横目に僕はせっせと授業の準備をする。一限目は数学、だが僕は自習用の英語ノートを用意した。それに気づいた羽賀が圭介に「あれ?一限目は数学だろ?」と言った。慌てて僕は言う「だ、だってどうせ数学暇になるだろうしこれぐらいやろうかなって、ハハハ」「ふーん、まぁお前頭いいもんな」羽賀なんとか納得はしてくれた。成績順位の半分を頭いいというのか…そう困惑しながらも笑って誤魔化した。成績の話で言うなら琴葉は毎回学年上位にいる天才だ。羽賀は…まぁといったところだろう。
しかし、僕は嘘をついている。あの水飛沫を運動ドベの僕が反射神経で防げるわけがない、授業に追いつくのが精一杯の僕が授業中に他科目の自習ができるわけがない。
全て知っていた。わかっていた。だから事前に対策していたのだ。
そう、僕には
少し先の未来が、見えるんだ
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