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続編その②
17.禁欲までのカウントダウン
しおりを挟む珍しくのぼせそうになって目元や頬が若干赤らんだフレイヤさんの顔は色気ムンムンで、胸元のちょっと開いたラフな寝巻き姿が、さらに色気を引き立てていた。
そんな刺激の強い光景を見てしまっては当然物欲しくなってしまい、ベッドに正座をして礼儀正しく彼を誘った。
「フレイヤさん、僕、今日したいです……」
昨日と一昨日は二人ともそれぞれ体調を崩してしまったので二日分の欲が溜まっている。二日で欲など溜めるなとは言わないでほしい。
だって、今日しないと数日はできないのだ。
なぜかというと、もう少しで発情期だから。
予想通りフレイヤさんは僕の誘いに難色を示した。僕の隣に腰掛け、肩を抱き寄せながら慰めるようにこう言った。
「ありがとうハルオミ、だけどね、今日触れてしまったら発情するまでの期間が延びてしまうかもしれない。それは君にとって辛いだろう」
「でも……」
ちなみに、なぜ発情期なのに接触ができないかというと、僕が発情を起こすのが下手だからだ。
初めての発情期を迎えた時、中々発情せず倦怠感と情緒不安定だけがしばらく続いてしまっていた。無事発情できたからよかったものの、二度目も同じ調子で、発情のサイクルが見事にずれてしまったのだ。
これがずれるとまぁしんどくて、昼夜関係なしに眠たくて精神も崩れがち、でも発情しないから発情期が終わらない、みたいな「抜け出せない地獄」みたいなのが続くのである。
そこでヴィーホット家が誇る(誇ってるか分からないけど)研究者のクールベさんが発情を促す方法を研究してくれた。
それが「禁欲療法」だ。
セックスを我慢することで発情を促すという荒療治だが、今のところこれが一番効くし倦怠感と精神不安定だけが延々と続く時間よりはまだマシだった。
マシとは言っても、この禁欲期間はとてもとても苦手だ。
だって、ただの禁欲じゃなくて「発情を促す」禁欲なんだもの。つまりフレイヤさんの匂いを嗅いだり彼の肌に触れたり際どい部分を触られたりして、わざと欲情しそれを我慢しなければならないのだ。
すぐにエッチができる状況にありながら何もできないのはもどかしくて辛くて、生理的な涙が出ることもある。
僕の表情があからさまに暗くなったのだろう、フレイヤさんは気を使って優しく声をかけてくれた。
「今日してしまうと、発情までの時間が長引いて苦しい思いをさせてしまう。」
「それでもいい。明日からちゃんと我慢するから……僕、一昨日からずっとフレイヤさんに触れたかったんだ」
わがままだとわかっているけど、つい腕に縋り付いてせがんでしまった。ゆったりとした服を着たら着痩せするフレイヤさんだが、その腕はやはり丸太のように鍛え上げられている。逞しい質感にすらゾクっとする。
…………ますます疼いてしまった。
こんな時こそ、イザベラに教えてもらった技を実行せねば。
僕はフレイヤさんの目をじぃっと見つめて、「欲しいです」という想いを込めて甘えてみた。
「フレイヤさん……だめ?」
これは手強い彼との勝負だ。この勝負、打ち勝たねば発情までしばらくおあずけ生活となってしまう。それはそれで辛すぎる。
「お願い……」
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