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続編その①〜初めての発情期編〜
15.フェロモン
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◆
1週間ぶりの中庭。
地面に写った樹木の枝の影が、ざわっとそよいだ。影に1つの小さな浮遊物が加わり見上げると、小鳥が枝に止まっていた。
——チュン、チュン、
「鳥の囀りがこんなにも美しいなんて……これぞ朝、爽やかな朝、爽やかな気分…! もう眠くないし怠くないしエッチな気分でもない!!」
「おっ、ハルオミ帰還した!」
「っ!?」
思いのままに爽やかな気分を口に出して表現すると、聞き慣れた声が背後から響いた。
トコトコ歩くたびにふわふわの金髪が揺れている。
「イザベラ……わーイザベラだ! 久しぶりぃ!」
抱きつきながら髪を撫でる。
うんうん、この感じこの感じ。1週間ぶりのイザベラだ。
「おいっ、ハルオミ…髪の毛わしゃわしゃするな!」
「え~いいじゃんいいじゃん、久しぶりに会ったんだもの~。イザベラはいつも可愛いくて小さくて元気だね~、よしよしよしよし」
「はははッ、やめろって、くすぐったい! 俺の方がでかいだろ! ハルオミへんなテンションになってんぞ!」
僕の背中をバシバシ叩いて抵抗を示すイザベラ。変なテンション、たしかにそうかも。ずっと部屋の中にいたからイザベラともパネースさんともお話しできなかったんだもの。
「アラ、ハルオミ君がイザベラを襲ってる……珍しい光景ですね」
イザベラに抵抗されながらも撫で続けていると、もう一つ聞き慣れた声が増えた。
「その声はパネースさん! ねえ、こっちきてよ、一緒になでなでさせて~」
「賑やかだと思ったら……とても楽しそうですねぇ。私も参加させてもらいましょう」
庭園の水やり帰りであろうパネースさんは駆け寄って来てイザベラごと僕を抱擁し、髪の毛をわしゃわしゃと撫で回す。
「パネースっ! お前までくるな、暑苦しいだろ! ハハハッ、もう何だよコレ…!」
イザベラは僕とパネースさんにぐしゃぐしゃに撫で回されながら苦言を呈す。パネースさんって意外と悪ふざけに付き合ってくれるから、そういうところも大好きだ。
「いやぁ~ハルオミ君がいない間、私たち寂しかったんですよ? ね、イザベラ」
「俺は別に!」
「えっ、イザベラ寂しがってくれてたの? 嬉しいな~」
「だから別に寂しくねぇって言ってんだろ! 退屈だっただけだ! つかハルオミ! こんな中庭で『エッチな気分じゃない』なんて宣言、ダイタンだぞ!」
「あらっ、ハルオミ君そんなこと言ったんですか? それはダメですね~、フレイヤ様のお説教ですね~」
パネースさんのわしゃわしゃ攻撃が僕を標的に変えた。
「わっぷ…イ、イザベラ聞こえてたの?」
「当たり前だろ、声がでかいんだよ! パネース、その綺麗な黒髪もっと愛でてやれ」
「お任せください」
「ちょちょちょ、わぁ…っ、だ、だって最近ずっと熱に浮かされたみたいにいやらしくて変な気分だったんだよ。うずうずして、フレイヤさんの匂いにもいちいち興奮しちゃうんだもん。久しぶりに 頭がスッキリして叫びたくなったんだもん 」
「だからと言って、こんな中庭の広いところで叫んで良いことと悪いことがありますよハルオミ君。お仕置きです」
にやりとイタズラっ子の笑みを浮かべてパネースさんが攻撃を激しくする。
「ははははっ、や、やめてよもうぐしゃぐしゃ…ふふっ」
3人でお互いの髪の毛を楽しく撫でくりまわしながら言い合っていると、もう1つ聞き慣れた声が加わった。
「全く皆様、何をやっておられるのですか。ハルオミ殿も調子がまだ万全とは言い切れないのですから、そんなクソ激しいお戯れはまだお控えください」
腕を組んで呆れた表情のウラーさんにお叱りを受けたが、2人はそんなのお構いなしに撫でくりまわす手を止めようとしない。
「わっぷ、ちょ、ウラーさん助けてよ、2人がわしゃわしゃしてくる」
「やりだしたのハルオミだろ!」
ひと通り気が済むまでお互いを愛で合い、最後は円満にカタがついた。皆髪の毛がこれでもかと言うほどボサボサになっていた。
「すみませんウラーさん。私もハルオミ君に久しぶりに会えたのが嬉しくて、つい悪ふざけを」
3人とも、笑って乱れた呼吸をしっかり整える。
「ふぅ…ごめんごめんイザベラ。つい嬉しくってね」
「ま、まぁいいけどよ、ハルオミが元気なら」
イザベラは唇を尖らせてそっぽを向きながら小さな声でつぶやく。
か……可愛い。
もっかい撫でちゃおっかな。
僕のヨコシマな気持ちも、ウラーさんの言葉でおさまった。
「よくありませんよ。『中庭で側仕えの皆様が密なスキンシップを取りながら破廉恥なことを言い合っている』と、新人の執事が顔を真っ赤にして報告して来ました。まったくほどほどにしてくださいよ、うちの将来有望な新人をたぶらかすのは」
そんな報告があったとは……。
確かに状況的には完全に一致している。
「き、気をつけますっ」
イザベラもパネースさんも状況を把握して、僕同様焦りながら反省した。
「それは…気の毒なことをしてしまいました。本当にすみません」
「なんか……わるかった」
悪ノリしすぎて担任の先生に怒られたみたいになっている僕たちを、ウラーさんはぷぷっと笑い、
「せっかく久しぶりに会えたのですからもっと落ち着いてゆっくりお話ししては? 談話室でお茶でも淹れますから」
と優しく諭した。
「そうだな、ハルオミと話したいこといっぱいあるし!」
「そうしましょうか」
ウラーさんの提案で屋敷の中へと戻った僕達は、談話室で彼の淹れてくれたお茶を飲みながら無言の間を1秒も作らないほど話を弾ませた。
ウラーさんからの「皆様は口から生まれたのですか」という突っ込みに、イザベラがぷくっと頬を膨らませて反撃した。
「だって俺ら1週間ぶりに会ったんだぜ? いいよなウラーは、ハルオミの部屋に毎日遊びに行ってたんだろ?」
「遊びになど行っておりません。わたくしは薬師としてハルオミ殿のご様子を伺っていたまでです」
「じゃあ、俺らもちょっとくらいいいじゃん」
ぷーすかと拗ねながら憎まれ口を叩くイザベラに負けじと、ウラーさんは言い返す。
「発情していないタイミングだったとしても、発情期には常にフェロモンを発しております。それに当てられれば本能的に興奮状態になることもあるのですよ。イザベラ殿は、ハルオミ殿を襲わない自信がありますか?」
「……………あるし!」
今絶対「ギクッ」ってなったよねイザベラ。
過去にイザベラから「エロい」だの「俺なら襲う」だの言われた(実際襲われた)身としては、きっと彼を興奮状態に追いやってしまう自信がある。
ただ、僕はそれよりもウラーさんの発した言葉が引っかかった。
「待ってウラーさん、僕、発情してなくてもフェロモン出てたの?」
てっきり発情している時にしか振り撒いていないと思っていたけど、発情期の間は常にフェロモンが放出されていたということだろうか。
そんな状態でクールベさんともウラーさんともお話ししてたの?
「ええ、しっかりと」
「知らなかった……」
「一応お伝えはしましたが、覚えておられないのも無理はありません。発情期は体温が上がりぼーっとしてしまったり、眠気が常に続くようですし、思考も冴えなくなるのでしょう」
「そうそう。半分夢の中にいるみたいな時間が結構あったからなあ……」
お酒に酔ってる感覚ってもしかしたらあんな感じなのかな。
「ハルオミ君、よく乗り越えましたね」
パネースさんが、今度は優しい手つきで頭をぽんぽんと撫でた。
イザベラも、にっこりと珍しく人懐っこい笑顔で「よく生還したな、ハルオミ」と奮闘を讃えてくれた。
「これが三ヶ月に一度来ると思うとほんのちょっとだけ不安だけど……フレイヤさんがいてくれるなら頑張れるかな」
「ハルオミが部屋に篭ってる間は俺らも退屈だけど、部屋に入ったら絶対襲っちまうし、我慢する」
"絶対"襲うんだ。
正直すぎるイザベラの発言を笑いながらパネースさんが「私も自信がないので我慢します」と、こちらもサラッと爆弾発言をした。
まったくお二人とも……と、呆れ返るウラーさんに、イザベラがにやにやと反論する。
「お前はどうなんだよウラー。ハルオミがこの屋敷に来てから、クールベさんと過ごす頻度高くなったんじゃねぇの?」
同級生の恋愛事情(もう伴侶だけど)をおちょくるようなテンションで意味深な質問をするイザベラだが、僕は知ってる。ウラーさんがそんな揶揄いにたじろぐことは無い。堂々たる謎の態度でなんでも教えてくれるのだ。
「ええ。ご想像の通り、わたくしもクールベ様もハルオミ殿のフェロモンにしっかりやられしたので、ここ数日は盛り上がりました」
「あらま」
「人のこと言えねぇじゃん!」
パネースさんがぽっと頬を赤らめ、イザベラが突っ込む。僕はというと複雑な気持ちだ。
自分のフェロモンで、よその夫婦の夜の生活を捗らせてしまったなんて。
「ウラーさん、そうだったんだ……なんかごめんね」
「いえいえ、踏んだり蹴っ…願ったり叶ったりです」
ウラーさんはお茶菓子をテーブルに置きながらため息混じりに言う。踏んだり蹴ったりって言おうとしたな…何があったんだろ。クールベさんの"一回"は長いって言ってたし、色々と絶好調だったのかもしれない。
1週間ぶりの中庭。
地面に写った樹木の枝の影が、ざわっとそよいだ。影に1つの小さな浮遊物が加わり見上げると、小鳥が枝に止まっていた。
——チュン、チュン、
「鳥の囀りがこんなにも美しいなんて……これぞ朝、爽やかな朝、爽やかな気分…! もう眠くないし怠くないしエッチな気分でもない!!」
「おっ、ハルオミ帰還した!」
「っ!?」
思いのままに爽やかな気分を口に出して表現すると、聞き慣れた声が背後から響いた。
トコトコ歩くたびにふわふわの金髪が揺れている。
「イザベラ……わーイザベラだ! 久しぶりぃ!」
抱きつきながら髪を撫でる。
うんうん、この感じこの感じ。1週間ぶりのイザベラだ。
「おいっ、ハルオミ…髪の毛わしゃわしゃするな!」
「え~いいじゃんいいじゃん、久しぶりに会ったんだもの~。イザベラはいつも可愛いくて小さくて元気だね~、よしよしよしよし」
「はははッ、やめろって、くすぐったい! 俺の方がでかいだろ! ハルオミへんなテンションになってんぞ!」
僕の背中をバシバシ叩いて抵抗を示すイザベラ。変なテンション、たしかにそうかも。ずっと部屋の中にいたからイザベラともパネースさんともお話しできなかったんだもの。
「アラ、ハルオミ君がイザベラを襲ってる……珍しい光景ですね」
イザベラに抵抗されながらも撫で続けていると、もう一つ聞き慣れた声が増えた。
「その声はパネースさん! ねえ、こっちきてよ、一緒になでなでさせて~」
「賑やかだと思ったら……とても楽しそうですねぇ。私も参加させてもらいましょう」
庭園の水やり帰りであろうパネースさんは駆け寄って来てイザベラごと僕を抱擁し、髪の毛をわしゃわしゃと撫で回す。
「パネースっ! お前までくるな、暑苦しいだろ! ハハハッ、もう何だよコレ…!」
イザベラは僕とパネースさんにぐしゃぐしゃに撫で回されながら苦言を呈す。パネースさんって意外と悪ふざけに付き合ってくれるから、そういうところも大好きだ。
「いやぁ~ハルオミ君がいない間、私たち寂しかったんですよ? ね、イザベラ」
「俺は別に!」
「えっ、イザベラ寂しがってくれてたの? 嬉しいな~」
「だから別に寂しくねぇって言ってんだろ! 退屈だっただけだ! つかハルオミ! こんな中庭で『エッチな気分じゃない』なんて宣言、ダイタンだぞ!」
「あらっ、ハルオミ君そんなこと言ったんですか? それはダメですね~、フレイヤ様のお説教ですね~」
パネースさんのわしゃわしゃ攻撃が僕を標的に変えた。
「わっぷ…イ、イザベラ聞こえてたの?」
「当たり前だろ、声がでかいんだよ! パネース、その綺麗な黒髪もっと愛でてやれ」
「お任せください」
「ちょちょちょ、わぁ…っ、だ、だって最近ずっと熱に浮かされたみたいにいやらしくて変な気分だったんだよ。うずうずして、フレイヤさんの匂いにもいちいち興奮しちゃうんだもん。久しぶりに 頭がスッキリして叫びたくなったんだもん 」
「だからと言って、こんな中庭の広いところで叫んで良いことと悪いことがありますよハルオミ君。お仕置きです」
にやりとイタズラっ子の笑みを浮かべてパネースさんが攻撃を激しくする。
「ははははっ、や、やめてよもうぐしゃぐしゃ…ふふっ」
3人でお互いの髪の毛を楽しく撫でくりまわしながら言い合っていると、もう1つ聞き慣れた声が加わった。
「全く皆様、何をやっておられるのですか。ハルオミ殿も調子がまだ万全とは言い切れないのですから、そんなクソ激しいお戯れはまだお控えください」
腕を組んで呆れた表情のウラーさんにお叱りを受けたが、2人はそんなのお構いなしに撫でくりまわす手を止めようとしない。
「わっぷ、ちょ、ウラーさん助けてよ、2人がわしゃわしゃしてくる」
「やりだしたのハルオミだろ!」
ひと通り気が済むまでお互いを愛で合い、最後は円満にカタがついた。皆髪の毛がこれでもかと言うほどボサボサになっていた。
「すみませんウラーさん。私もハルオミ君に久しぶりに会えたのが嬉しくて、つい悪ふざけを」
3人とも、笑って乱れた呼吸をしっかり整える。
「ふぅ…ごめんごめんイザベラ。つい嬉しくってね」
「ま、まぁいいけどよ、ハルオミが元気なら」
イザベラは唇を尖らせてそっぽを向きながら小さな声でつぶやく。
か……可愛い。
もっかい撫でちゃおっかな。
僕のヨコシマな気持ちも、ウラーさんの言葉でおさまった。
「よくありませんよ。『中庭で側仕えの皆様が密なスキンシップを取りながら破廉恥なことを言い合っている』と、新人の執事が顔を真っ赤にして報告して来ました。まったくほどほどにしてくださいよ、うちの将来有望な新人をたぶらかすのは」
そんな報告があったとは……。
確かに状況的には完全に一致している。
「き、気をつけますっ」
イザベラもパネースさんも状況を把握して、僕同様焦りながら反省した。
「それは…気の毒なことをしてしまいました。本当にすみません」
「なんか……わるかった」
悪ノリしすぎて担任の先生に怒られたみたいになっている僕たちを、ウラーさんはぷぷっと笑い、
「せっかく久しぶりに会えたのですからもっと落ち着いてゆっくりお話ししては? 談話室でお茶でも淹れますから」
と優しく諭した。
「そうだな、ハルオミと話したいこといっぱいあるし!」
「そうしましょうか」
ウラーさんの提案で屋敷の中へと戻った僕達は、談話室で彼の淹れてくれたお茶を飲みながら無言の間を1秒も作らないほど話を弾ませた。
ウラーさんからの「皆様は口から生まれたのですか」という突っ込みに、イザベラがぷくっと頬を膨らませて反撃した。
「だって俺ら1週間ぶりに会ったんだぜ? いいよなウラーは、ハルオミの部屋に毎日遊びに行ってたんだろ?」
「遊びになど行っておりません。わたくしは薬師としてハルオミ殿のご様子を伺っていたまでです」
「じゃあ、俺らもちょっとくらいいいじゃん」
ぷーすかと拗ねながら憎まれ口を叩くイザベラに負けじと、ウラーさんは言い返す。
「発情していないタイミングだったとしても、発情期には常にフェロモンを発しております。それに当てられれば本能的に興奮状態になることもあるのですよ。イザベラ殿は、ハルオミ殿を襲わない自信がありますか?」
「……………あるし!」
今絶対「ギクッ」ってなったよねイザベラ。
過去にイザベラから「エロい」だの「俺なら襲う」だの言われた(実際襲われた)身としては、きっと彼を興奮状態に追いやってしまう自信がある。
ただ、僕はそれよりもウラーさんの発した言葉が引っかかった。
「待ってウラーさん、僕、発情してなくてもフェロモン出てたの?」
てっきり発情している時にしか振り撒いていないと思っていたけど、発情期の間は常にフェロモンが放出されていたということだろうか。
そんな状態でクールベさんともウラーさんともお話ししてたの?
「ええ、しっかりと」
「知らなかった……」
「一応お伝えはしましたが、覚えておられないのも無理はありません。発情期は体温が上がりぼーっとしてしまったり、眠気が常に続くようですし、思考も冴えなくなるのでしょう」
「そうそう。半分夢の中にいるみたいな時間が結構あったからなあ……」
お酒に酔ってる感覚ってもしかしたらあんな感じなのかな。
「ハルオミ君、よく乗り越えましたね」
パネースさんが、今度は優しい手つきで頭をぽんぽんと撫でた。
イザベラも、にっこりと珍しく人懐っこい笑顔で「よく生還したな、ハルオミ」と奮闘を讃えてくれた。
「これが三ヶ月に一度来ると思うとほんのちょっとだけ不安だけど……フレイヤさんがいてくれるなら頑張れるかな」
「ハルオミが部屋に篭ってる間は俺らも退屈だけど、部屋に入ったら絶対襲っちまうし、我慢する」
"絶対"襲うんだ。
正直すぎるイザベラの発言を笑いながらパネースさんが「私も自信がないので我慢します」と、こちらもサラッと爆弾発言をした。
まったくお二人とも……と、呆れ返るウラーさんに、イザベラがにやにやと反論する。
「お前はどうなんだよウラー。ハルオミがこの屋敷に来てから、クールベさんと過ごす頻度高くなったんじゃねぇの?」
同級生の恋愛事情(もう伴侶だけど)をおちょくるようなテンションで意味深な質問をするイザベラだが、僕は知ってる。ウラーさんがそんな揶揄いにたじろぐことは無い。堂々たる謎の態度でなんでも教えてくれるのだ。
「ええ。ご想像の通り、わたくしもクールベ様もハルオミ殿のフェロモンにしっかりやられしたので、ここ数日は盛り上がりました」
「あらま」
「人のこと言えねぇじゃん!」
パネースさんがぽっと頬を赤らめ、イザベラが突っ込む。僕はというと複雑な気持ちだ。
自分のフェロモンで、よその夫婦の夜の生活を捗らせてしまったなんて。
「ウラーさん、そうだったんだ……なんかごめんね」
「いえいえ、踏んだり蹴っ…願ったり叶ったりです」
ウラーさんはお茶菓子をテーブルに置きながらため息混じりに言う。踏んだり蹴ったりって言おうとしたな…何があったんだろ。クールベさんの"一回"は長いって言ってたし、色々と絶好調だったのかもしれない。
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