上 下
103 / 147
続編その①〜初めての発情期編〜

11.※シャツ※

しおりを挟む




ふわふわと、無重力空間に居るように宙に浮いた意識がだんだんとクリアになっていく。

「……いつのまに、眠っちゃったんだろ」

しばらく本を読んでいたけれど、文字をたくさん見てたらついウトウトしてしまったのだ。

眠ると、たまにフレイヤさんに初めて会った時を思い出す。
あの時は目が覚めたらいきなり膝枕されてたからびっくりしたな。

フレイヤさん、早く会いたい……

さっき一緒に朝ごはん食べたばっかりなのに、さっき行ってらっしゃいしたばかりなのに。会えない時間だけが目に入ってきて切なくなってしまう。

だめだ。これがホルモンバランスの崩れというやつか。この情緒不安定とも付き合っていかないといけないらしい。

不安になるとフレイヤさんの顔ばかり浮かんできて、心臓がどくんと暴れ出す。
その鼓動は胸から全身へと広がり、熱へと変わっていった。


「……来た…」


頭がぽわっとして熱に浮かされたみたいになるこの感覚。彼の匂いがする部分だけをくっきりと捉えて求めてしまう。


今、"発情"してる———。




「はぁ……フレイヤさん……っ」

枕元には彼が朝着替えた寝巻きのシャツが畳んである。仕事に行く時に置いて行ってくれたのだ。「好きに使って」、と。

言われた時は顔から火が噴き出そうだったけど、今はそれだけを頼りに、助けを求めるように手を伸ばした。

さらさらと質感の良い大きなシャツを顔に押し付けて肺いっぱいに匂いを満たす。

「はぁ、はぁっ、んっ……」

モゾモゾと両股を擦り合わせたら、すでに張り詰めている下腹部から熱が込み上げてくる。

「んっ、……ぁ、ぁああっ!」

呆気なく解き放った白濁がお腹に飛び散る。大人しく鎮まってくれるのを期待していたけどもちろんそんなことは無く。落ち着く間もなく再び硬さを取り戻してしまう。

「んんっ、はぁっ、はぁ」

彼の匂いはこんなに近くにあるのに、体温が感じられなくてその違和感に切なくなる。フレイヤさんに触ってもらいたい。
僕は持っていたシャツを陰茎に当てて、布越しに扱いてみた。

「ああぁっ!  ハァっ、んンァァあっ」

これ……やばい……頭がチカチカする。
布の少しざらざらした感じがとてつもない刺激を生んで、腰が勝手にビクビクと打ち震える。

これで先っぽ扱いたら、どうなるんだろ……

切なさを忘れるために、僕の心は勝手にいやらしいことばかり求めてしまう。穿いているものを全部脱いで、シャツ越しに手のひらで先端を覆い必死に擦る。

「んぁぁっ!  あ、やぁぁあっ、ああっ、きもち、アッ…、んん!」

腰がくねり太ももが震え、脳が痺れて涙が流れる。
こんなふしだらな姿フレイヤさんに見られたくないけど、でも見て欲しい。いやらしいねって言って、たくさん触って欲しい。

「ふれ、や…さん…んんンァっ!  会いたいよ、あいたい、フレイヤさんっあぁあっ、!」

ぐちゃぐちゃになった脳みそは、ただひたすらに快感とフレイヤさんの温もりを求めた。

「んんんっ、ああっ、イ、く、……あぁあっ!!」

彼のシャツに僕の白濁がねっとりまとわりついていて、その光景にさえ感じ、もう一度果ててしまった。視覚までも性感帯になったようだ。



「ハルオミっ!」

愛しい人の声が聞こえて、匂いが濃くなった。
臓器の全てが幸せで一気に満たされていく。

「んんっ、フレイヤさんっ、フレイヤ、さん…あぁっ、」

「ハルオミ、またんだね?」

「んっ、うん、ぁっ、ああぁっ、たすけて……」

フレイヤさんは時計を見た後、僕の股を開いて持ち上げ、お尻の穴を指で少し開き何かを確認している。もう入れてくれるのかな?  はやく入れて欲しいよ。

そう願いを込めて彼に腰を擦り付けると、フレイヤさんは何かを見つけたように視線をやった。

「ハルオミ、シャツで扱いたのかい?」

ドロドロになって放り出されたシャツを手に取り、僕に聞いた。

「ん、うん、…っ、きもち、よかった…ぁっ、じょうずにできたよ…」

「っ、…そうか、ハルオミはこういう感触も好きなんだね。今度は私がやってあげよう。君はただ気持ちよくなっていていいからね」

「ん、して、フレイヤさん…に、して欲し……ン、ンアぁっ!!? 、ハっ、ぁああっ、!?」

この大きくて分厚い手のひらでされたら、自分でするのとは比べものにならないくらい気持ちいい。
僕の体のことは、僕よりもフレイヤさんの方がよく知っている。

「でちゃ…っぁああ!? あっ、アッ、いくいく、はぁっっ、!」

———ビュクビュクッ!!

「可愛い…ハルオミ、気持ち良い?」

「はぁっ、はあっ、ぁぁっ、ん、…うん、きもちい…ぁあっ、フレイヤさんっ、もっとして……」

要望に任せて強請ると、彼は再び扱く手を再開し、僕の胸に口を寄せる。

「っ、!?!」

鋭い感覚が胸に走り目をやると、フレイヤさんが突起を甘噛みしながら舌で愛撫をしていた。

「ぁっ、あっ、んんンァっ!」

さらに後ろにも指の質量が加わる。僕の敏感な部分が全てフレイヤさんで埋め尽くされている。

「ここも。もうこんなに柔らかくなっている。分泌液がたくさん出てぐちゃぐちゃになっちゃったんだね」

「はぁっ、あぁっ、んんっ、えき…?」

「ああ、発情すると直腸から粘液が分泌され、性交の際に粘膜を傷つけないよう潤滑剤の役割をするそうなんだ。君の中からも、たくさん溢れ出ているよ」

「んんぁぁあっ!  はあっ、ぁぁっ!」

溢れているというその液体を中にじっくり塗り込むように指を動かされる。

僕の体が本能でフレイヤさんを受け入れる準備を整えているのだと思うと、興奮して多幸感に包まれた。

そして彼の唇が僕の唇を喰み、熱い舌で口内をくまなく愛撫されると、耐え切れないほどに全身が幸せに打ち震えた。

「んんっふ、ァアアっ、んぁっ……ふれ、や、さ…んんっぁ」

突然太い昂りが挿し込まれ、お腹にじわぁっと熱が広がっていくと、頭では理解できないくらい快感が大きくなる。

「ァアあっ!! んっ、んぁああっ、ひぃ、ぁあっぁっ、」

中の快いところを太い先端で往復するように撫でられる。

「ぁあっ、やぁああ、!?…こわれちゃ、っ、はぁっ、ぁあ!」

抽出を繰り返されながら口内を刺激され、乳首を弾かれれば、触らずとも陰茎からはぴゅくぴゅくと薄くなった白濁が飛び散る。

フレイヤさんに壊されたい。ひどくされたい。やめてと泣き叫んでも押さえつけて蹂躙されたい。

いろんな感情が押し寄せ、流れた涙は全ての唇が掬い上げてくれた。


僕は何度も何度も揺さぶられながら、幸福の中に堕ちていった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヒロインどこですか?

おるか
BL
妹のためにポスターを買いに行く途中、車に轢かれて死亡した俺。 妹がプレイしていた乙女ゲーム《サークレット オブ ラブ〜変わらない愛の証〜》通称《サクラ》の世界に転生したけど、攻略キャラじゃないみたいだし、前世の記憶持ってても妹がハマってただけで俺ゲームプレイしたことないしよくわからん! だけどヒロインちゃんが超絶可愛いらしいし、魔法とかあるみたいだから頑張ってみようかな。 …そう思ってたんだけど 「キョウは僕の大切な人です」 「キョウスケは俺とずっといるんだろ?」 「キョウスケは俺のもんだ」 「キョウセンパイは渡しませんっ!」 「キョウスケくんは可愛いなぁ」 「キョウ、俺以外と話すな」 …あれ、攻略キャラの様子がおかしいぞ? …あれ、乙女ゲーム史上もっとも性格が良くて超絶美少女と噂のヒロインが見つからないぞ? …あれ、乙女ゲームってこんな感じだっけ…?? 【中世をモチーフにした乙女ゲーム転生系BL小説】 ※ざまあ要素もあり。 ※基本的になんでもあり。 ※作者これが初作品になります。温かい目で見守っていて貰えるとありがたいです! ※厳しいアドバイス・感想お待ちしております。

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

捨てられ子供は愛される

やらぎはら響
BL
奴隷のリッカはある日富豪のセルフィルトに出会い買われた。 リッカの愛され生活が始まる。 タイトルを【奴隷の子供は愛される】から改題しました。

組長様のお嫁さん

ヨモギ丸
BL
いい所出身の外に憧れを抱くオメガのお坊ちゃん 雨宮 優 は家出をする。 持ち物に強めの薬を持っていたのだが、うっかりバックごと全ロスしてしまった。 公園のベンチで死にかけていた優を助けたのはたまたまお散歩していた世界規模の組を締め上げる組長 一ノ瀬 拓真 猫を飼う感覚で優を飼うことにした拓真だったが、だんだんその感情が恋愛感情に変化していく。 『へ?拓真さん俺でいいの?』

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】 哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年 \ファイ!/ ■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ) ■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約 力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。 【詳しいあらすじ】 魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。 優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。 オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。 しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。

処理中です...