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東の祓魔師と側仕えの少年
81.※一番星に想う※
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「ふんふんふーん」
僕は鼻歌が止まらない。
今日はとてもいい日。
みんなの応援を貰って、ひとつ目標をなし遂げることができた。
前の世界では、このようなこと到底考えられなかった。いつも眠たくて全てが億劫で、もういっそずっとずっと永遠に眠ってしまいたいと願っていたあの時の僕じゃ、こんなふうに努力はきっとできなかった。
努力の全てが報われるとは思っていない。しかし、力の限り踏ん張れば何かが変わるとこの世界が教えてくれた。フレイヤさんの呪いも解くことができた。魔力の放出も安定させることができた。僕一人では絶対にできなかった。
僕は部屋の窓から星屑を見上げる。闇の中に無数に散らばる輝きの中から、こちらに向けてより一層光る粒に話しかけてみた。
——お母さん、僕こっちで頑張ってるからね。
心の中で「心配しないで」と笑いかけると、その輝きは声の限り叫ぶように、その存在を命の限り示すように、ほんの数秒、煌々と瞬いた。
「ふふっ……元気そうだ………」
——バタンッッッ!!
「へ?」
「ハルオミ!!!!」
「フレイヤさ…おわわわっ!」
星の輝きに心安らいでいるとフレイヤさんが騒がしく帰って来た。かと思えば僕の元にすっ飛んで来る。勢いよく飛びつかれたので床に倒れ込んでしまった。フレイヤさんが上手く手をついて庇ってくれたからどこも痛くは無いけれど、心臓が跳ね上がりそうなくらい驚いた。
「どうしたのフレイヤさん」
「クールベ叔父上や皆に聞いたよ! ハルオミ、君はやはり素晴らしい! 短期間でここまで魔力の抑制を身につけるとは」
「抑制できるようになっただけだよ、魔法はまだ使えないし、」
「いいや、そんなことは関係無い。君が努力し続けたから成し遂げられたんだ。もっと誇りに思いなさい」
そんなふうに優しく言われて、厚く鍛えた胸板が迫りそのまま抱きすくめられる。
「ありがとうフレイヤさん」
僕は床の硬さや冷たさなんて忘れて、目の前の温もりに没頭した。
「僕、皆さんに応援してもらえて本当に嬉しかった。ウラーさんたちも中庭まで出て来てくれてね、頑張れって言ってずっと見守ってくれたんだよ」
「皆ハルオミの努力を心の底から尊敬しているようだ。全く知らぬ世界に来て、私を救ってくれた。それだけでなく魔力のコントロールも身につけて……健気で頑張り屋で強い君のことを、皆すごいと言っている」
「そんな……僕は皆さんがいたから頑張れたんだ。この屋敷に居させてくれてありがとう。本当にありがとう」
「私の方こそ礼を言わせてくれ。ハルオミ、何度言っても足りないが、本当にありがとう」
僕たちはしばらくの間床に倒れ込んだまま抱き合った。時間が止まったような落ち着きと安心感をひとしきり堪能し、それでもまだ足りないとお互いを抱擁し続けていた。
いつしか安心感は、自らを染め上げる熱へと変わっていった。
彼の目を見つめると、切れ長の銀色が情欲の色に染まっていくのが分かる。
床のひんやりとした感覚が少しずつ背中に伝わってきた時、フレイヤさんは僕を抱き上げて少し歩き、寝台にゆっくりと降ろし仰向けに転がした。
このようにして彼から情事の誘いを受けるのはほとんど珍しかった。いつも僕ばかり欲に染まって、彼に縋りついてもまずは僕の体を気遣おうとするのだ。こんなふうに彼の熱っぽい目に浮かされると、ビリビリと体が痺れるほどの歓喜を感じる。
「フレイヤさん、ぼく、なんか…もう……」
ウズウズと疼く下腹部を何とかしようと、両股を擦り合わせて微かな刺激を自らに与える。
「いけない子だね、ハルオミ」
仰向けに寝かされたまま両脚に割ってフレイヤさんの体が入り込む。引き剥がされた脚は彼に捕まり、ぼくの胸の方へ折り曲げられる。
下腹部への刺激を与える術がなくなった僕は、恨めしくフレイヤさんを見る。
彼は情欲色の目のまま僕の唇を喰んだ。口内を余すこと無く蹂躙されて、息をするので精一杯。彼の舌で僕の舌を扱かれると、自分から濡れた声が漏れ出る。
「ん、ぁ……」
口内に意識を集中させていると次の瞬間、下半身へ甘い衝撃が走った。股に割り入った彼の脚が、緩く勃った僕のものをやわやわと刺激している。背筋を駆け巡る刺激になんとも言えない切ない気分になる。
「んっ、んんっぁ……!」
……どうしよう。
あまりに突然の衝撃で、少し出てしまった。
彼にバレないように装うも、さらなる刺激が襲い再び絶頂へと責め立てられる。
「んんっ、ん…ふぁ、んんぁ…」
彼はその体制のままゆさゆさと腰をゆすり、まるで挿入されているかのような動きにとてつもなく興奮してしまう。
「んっ、んんんん……ぁ、ん!!」
キスと柔い刺激のみで、二度も出してしまった。彼は僕の口内を弄ぶのを一旦やめて顔を離す。
「ハルオミ、二度も達してしまったね」
「……!」
バレてる。
恥ずかしい……、恥ずかしすぎる。
戸惑う僕のズボンにフレイさんが手をかける。
「ゃ……だめ、」
制止も叶わず、彼は下履きの中でぐちゃぐちゃになったあられもない姿の陰茎を取り出した。衣類が引き剥がされると同時に白濁が糸を引き、そのはしたない光景にもゾクゾクと興奮してしまう。
そして彼は僕の陰茎を口に含み、そこを汚すものを全て舐め取った。
「んっんんんっ、あぁぁあっ、だ、めっ、いくいっちゃ、う……! あぁあっ!」
——ビクビクビクッ
再びゆるい絶頂を迎えてしまった僕に目もくれず、フレイヤさんは暖かい口内と長くねっとりとした舌でゆっくり舐めあげ、軽く歯を立てると恐ろしいほどの快感が暴力のように襲ってくる。
「んぁぁあっ! ぁっ、あ、ひぃ、あぁあっ、」
尋常じゃない快楽の波に、あられもない嬌声をあげてしまう。
さらに彼は手を伸ばし、期待で既にぷっくりと膨れ上がった乳首を人差し指の腹で優しく往復した。
「んぁっ、ぁぁっ、ンンンァぁあっ!」
もう。頭がおかしくなる。
しかしなぜかここで、僕は後々後悔するに違いない浅ましい行為をしてしまったのである。
「……ん、ハルオミ…っ、」
右脚を上手いこと使って彼の脚の間に潜り込ませ、「お返し」とばかりにやわやわと刺激した。足の平に当たる、暴力的にかたく大きな熱が欲しくて欲しくてたまらなかった。
——ガバッ!!
「へ、!?」
その瞬間、僕の視界は真上を向いていた。真上の両脇には自分の両脚が見える。
彼に腰を高く持ち上げられ、まるで赤ん坊がオムツを変えるときのような格好をさせられていたのである。
困惑していると、なぜかフレイヤさんは後孔へ顔をうずめて、少しずつ舌を挿入してきた。
「へっ!? やっ、…あぁっ、だめ、そこ、きたな…い…」
「既に浄化してある。それにハルオミに汚いところなんてないよ」
そう。彼は早業で、ことに及ぶ前に僕のお腹はいつのまにか浄化魔法がかけられているのだ。
って、今そんなことはどうでもよくて……
「だめ、そうゆ…もん、だいじゃ……ぁぁあっ、! あっ、やっ!」
好き勝手に動く舌が僕の腸内をくまなく蹂躙していく。
指とは違うねっとりと熱い刺激が縦横無尽に暴れ回り、感じたことのない羞恥心と快楽が襲うのである。
「あぁっあぁぁぁっ!」
「……ん、もういいだろう」
「へ……」
そう言って彼は舌を離し、その体勢のまま僕の秘部を指でさすりながらじっくりと観察する。
「ハルオミ、まず一本入れてみるよ」
——ツプ、
「ぁっ、あぁっ、」
彼は、僕の体をまるで初めての時のように扱う。
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「ぁっ、」
「痛くない?」
「いたく、…ないっ、」
もどかしくてむずむずしている様子までくまなく見られるため、早く組み敷いてくれと頭を抱えたくなる。
「もっと、ふれいやさん、っ、ぁぁっ、もっとおく……」
「少しずつしなければ君の体が壊れてしまう」
あれはフレイヤさんが奥の変なところまで挿れたから…!
「あぁぁっ!、あっンン」
少しずつ人差し指が侵入し、快いところがすぐそこまで来ている。僕はやわやわと腰を動かして彼に主張してみた。
「ああっ、あっ、もっと、ちがう…、おく……」
いつまで経っても浅いところを責める彼にねだると、にやりと悪戯っ子の笑みを浮かべた。この人、絶対分かっててやってる……!
「あぁあっ、あっ」
「ん? どこだいハルオミ、君の快いところを教えてくれ」
こんな意地悪に言い返す文句も見当たらない。とにかく快感を追いかけて、浅くもどかしい指にその部分を擦り付けた。
「あぁっん、ァアっ、ここ、ここ、が…いい……ぁぁあっ、あっ、ンァ、あああっ!」
好き勝手に腰を動かして強請ると、彼の指を使って自慰をしているような背徳感に苛まれる。その状況にもまた興奮して、後孔はきゅっと収縮する。
「ハルオミ、気持ちよさそうに締まっている。そうだったね、ハルオミの気持ち良いところはココだったね」
——コリッ
「んっんんんぁぁああっ、ひぁ、あっ、あっ…!」
待ち望んだ快感に頭が真っ白になる。
先ほどとはまるで違う感覚に喉が引き攣り、軽く痙攣しながらおへそに薄くなった粘液が垂れるのを眺める。
後ろだけで達してしまったと気づいた頃には、彼の愛撫は遠慮を忘れてしまっていた。
「あァぁあっ!あぁ!んんっ、んんぁァあっ!」
過敏になったその場所を長い指で休む暇なく撫でられ続ける。
震える指でシーツを掴み、無意識に逃げようと腰を動かすもフレイヤさんはそれを許さない。逃げる僕をしっかりと捕まえると、空いている手で熟れきった乳首に、熱い口内で濡れそぼった陰茎に刺激を与えて来たのである。
「あぁぁっ! あっ、あァッ!!、!? だめ、それ……あぁぁぁっ!」
普段の射精とは全く違う痙攣が全身を包み込み、クラクラして何も考えられなくなった。
「あぁっ、あ……っ、……っだ、め…ひァっ、ぁあっ、あっ、あぁぁぁっ……!!」
ぐわっと体に快感以上の何か得体の知れないものが駆け巡り、しばらくの硬直のあと一気に体の力が抜けた。
「はぁ……ハァっ、はぁ……」
立て続けに襲う余韻に、とても身動きがとれる状態ではなかった。
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