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東の祓魔師と側仕えの少年

70.※月夜の番①※

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僕たちが番というものになってから、大きな変化を感じることはあまりなかったように思う。元々彼のことは愛していたし、半身?  という関係だったのもあり、本能でも理性でも彼に惹かれているのは自覚していた。

番になったのは忌々しい呪いを解くためで、彼との関係それ自体は番であろうとなかろうと大した問題じゃなかった。故にこれまで僕たちが番であることを強く自覚する場面は少なかったのである。


しかしどうだろう。
体力も回復し魔力も安定した今、一度芽生えた情欲はぐるぐると体を駆け巡り理性など到底働きそうにないのだ。

番になったら死ぬまでお互い惹かれ合う——。

この言葉の意味がよくわかった。
危険なほどに、体も心も彼のことしか考えられなくなっている。

僕は"我慢"という概念を忘れてしまったかのようにフレイヤさんの唇を求めて彼に縋り付いた。

「んっ、ハルオミ……君はまだ本調子では」

「だいじょうぶ…もう、どこも疲れてないし、しんどくないから……お願い」

「っ!」

僕の求めるものはいつだって彼に筒抜けている。鋭い瞳で射抜かれた途端、砕け散ってしまいそうなほどグラグラと脳が揺れて何も考えられなくなってしまう。

——ドサっ

優しくベッドに縫い付けられ、口内を火照る舌で暴かれる。呼吸が苦しいのがとても気持ちいい。

「んっ」

彼の色々な部分と少しでも多く密着していたくてたまらない。

彼の舌を必死になって追いかけていると、ツー、と糸を引いて唇が離れた。

「口付けの時の呼吸は、やはりまだ苦手みたいだね」

フレイヤさんが離れていって空しくなった口で、忘れていた呼吸を取り戻すように酸素取り込む。

「はぁっ、はぁ…、ハァ…」

苦しくて、生理的な涙が再び滲む。

次第に落ち着き頭も少しだけクリアになると、フレイヤさんがポンポンと胸を叩いて落ち着かせてくれていることに気がついた。

その振動も僕にとっては甘美な毒にしかならない。彼の手を取り指に指を這わせ、その皮膚の感触に神経を研ぎ澄ます。いくら触れても何かが足りなくて、自然と彼の指を口に運んでいた、

「…っハルオミ、君はほんとに……」

「ん、っんむ、……ふへいやはんの、おいしぃ」

彼に触れているだけでは全然足りない。匂い、味、音、全てでフレイヤさんを感じたい。僕の全てを彼で埋め尽くすにはどうしたらいいのだろうか。


一生懸命に長くてしなやかな指を舐めていると、口内のそれはいつの間にやら不穏な動きを見せていた。

「んっ、んんっう、」

人差し指と中指で上顎を擦られ、歯列を撫でられる。口を刺激されているだけなのに、下半身に熱がブワァっと生まれ、もじもじと腰が動いてしまう。

「んふ、んんぁ、んっ……んんっ!!」

反対の手で胸の突起をいじられると、全身に快感が駆け巡った。
飛び跳ねそうになる腰はフレイヤさんの両脚で挟み込まれ、僕に乗り上げる形で体を押さえ込まれた。

「んんっ、んぅ、」

くすぐったさと気持ちよさで訳がわからなくなって頭の中で快感だけを考える。

月明かりに照らされた彼の首元には花紋が咲いている。僕はそれに触れたくて手を伸ばすと、彼が顔を近づけてきてくれた。
首元を撫でれば、フレイヤさんはくいっと僕の舌を引っ張り出して唾液を流し込む。そのままお互いのそれを混じり合わせるようにして燃えるように熱った舌を貪る。

「んんっ、んふ、ふぁ…んんぅ」

彼の指も、僕の首元に咲く花紋を撫でている。

「んぅ…! んんんっ、んっ、んぁああ…!!!」

触れられただけで深い波に飲まれそうなほど余裕が無い僕は、彼の指がぷっくりと充血した突起に触れた瞬間、びくびくと柔い絶頂を迎えたのである。

「ハァ、はぁ…んん、ハァ……」

「ハルオミ、ここで達してしまったのかい?」

「んん…あぁぁ、やだ、…みないで……」

服の中ではしたなく前を濡らしてしまっている自分の痴態と、胸だけで吐精してしまった恥ずかしさに耐えられなくなってしまった。

手で顔を覆うと、フレイヤさんははらりと手を退けようとする。

「隠さないで、すべて見せて」

「いやだ…恥ずかしい……今ぼく、とっても情けない顔、してる…」

「そんなところも愛おしいよ。君の全てが私の欲望を掻き立てる」

グイッ、と体を近づけて来たフレイヤさん。僕の脚には、彼の激る欲望が押し付けられている。

もう、欲しくて欲しくてたまらない。我慢できない。耐えられない、
服の中で太ももの印章が擦れ、それがまた甘い刺激となる。

「フレイヤさん…はやく、ちょうだい……」




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