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東の祓魔師と側仕えの少年

45.※番う⑤※

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ちらっと彼の顔を見れば、余裕なさげに表情を歪めていた。

「………っ、すまないハルオミ、歯止めが効かなかった」

彼は動きを止めた。
——はずなのに、もう気持ちいいところを擦られていないはずなのに、僕の腰はびくびくと震えて、絶頂を迎え続けていた。

「…ぁ、あぁぁっ……あぁ!」

なに、これ。
ほんとに体がおかしくなっちゃった。
こんなに訳がわからないくらい気持ちいいのは初めてで怖くなった。

「ふ、ふれい、や……さっ、ああっ、とまん、ない…気持ちいいの、あぁっ、止まらない……」

「ッ…!」

ビクビクビクッ

勝手に動く腰をフレイヤさんが撫でる。

「ああぁぁっ、ダメ…んんんっ、はぁっ」

僕のゆるい絶頂が止まるまで、フレイヤさんは僕を抱きしめながら頬や髪を撫でて落ち着かせてくれた。





「ハルオミ、っ落ち着いたかい?」

「うん……でも、っどうしよ、からだへんに、なっちゃった……」

「大丈夫、変じゃない。ハルオミ、ここを見てごらん」

ここ、と指されたのは僕の下腹部。
あんなにおかしくなるくらい達してしまって、さぞ精液でぐちゃぐちゃに……

「出て、ない……」

フレイヤさんが指差した場所には、何も放出せず未だ昂ったままのものがあった。

「な、んで……」

「出さずに何度も達してしまったね、ハルオミ」

「ど、……どうしよ、あんなにたくさん、いったのに、」

イザベラもこの前出さずにいっちゃったことあったけど、一回だけだった。それにあの時は精液が出尽くした後だった。

僕の、まだこんなに元気なのに。


「ああハルオミ、そんなに不安そうな顔をしないで。すまない。気持ちよすぎて怖くなってしまったんだね」

よしよし、と頭を撫でられる。その感触だけでも、気を抜くとまた腰が震えてしまいそうだった。

「……ん、きもち、よかった…」

「正直に言えたね。良い子だ」

「変じゃない? こんなになっちゃうの、へんじゃない…?」

「変じゃない。私でたくさん気持ちよくなってくれたんだね、とても嬉しい」

「……フレイヤ、さんは……?」

「私かい?」

「フレイヤさん、も…たくさん、きもちいい?」

彼に問えば、僕の中でビクッと波打った。

「っ、ああ、とても気持ちがいい。ハルオミの中の壁が私のに絡みついてくる。君の可愛い顔を見るたびにたまらなく体が疼く。今だって、ほら、君の声を聞いただけでこんなになっている」

恥ずかしげも無く実況を始めるフレイヤさん。

僕たちが今している行為を改めて突きつけられているようで、たまらない気持ちになる。
体もだけれどこんなに心が満たされるなんて知らなかった。好きな人と一つになれるのがこんなに尊い行為だと知らなかった。

「ハルオミ、愛している」

「っ!」

不意に降ってきた温かい言葉に心臓がぎゅっと掴まれる。

「僕も、フレイヤさん…好き、愛してる」

愛を伝えながらする口付けは特別に甘い。

「んぅ、ンンッ、んっ」

「ん…っはぁ、ハルオミ、もう一度動いてもいい?」

「んっ、うん、ったくさん、動いて? いっぱい気持ちよく、なってほし…んんぁああっ、ああっ、ンァ、っはぁっ」

体を貫く熱は激しさを増す。


二人とも限界を迎えていた。情をぶつけ気持ちを伝え愛に乱れ、満たされて満たされて満たされた。

「んんっ、あぁっ、ンァッああ、もう、でる、」

「いいよハルオミ、ったくさん、出して」

「ん、っぁあっ!  ぁあぁぁっ!んンァっ、んんぁ!!!………はぁ、はぁっ、はぁ」

フレイヤさんの余裕のない声が耳元に響く。彼の手が僕の先端を数回扱くと、目の前が真っ白になるほどの衝撃が弾けた。

体の筋肉が収縮し、お尻の中の昂りを無意識に締め付ける。彼の形や大きさがダイレクトに伝わり、息苦しいほどの愛おしさを感じる。その次の瞬間、温かいものが体内に流れ込んできた。

「んっ、……はぁ、っ」

彼の息遣いと匂いに頭が眩む。

「フレイヤさんもっ、でた?  きもち、良かった…?」

「ああ、っ、おかしくなってしまうくらい、気持ちよかった」

「…よかった、嬉しい……」

二人で息を整える。
フレイヤさんの匂いがすごい。いい匂いが猛烈に香ってきてつい意識を手放しそうになる。

しかし、死んでも今意識を失うわけにはいかなかった。

「ハルオミ、痛いだろうが、我慢しておくれ」

フレイヤさんが僕の首筋に口付ける。
途端に襲ってきた鋭い痛みに、僕はぎりっと歯を食いしばった。

「っ、ん、」

痛いけど嬉しい。今この瞬間、フレイヤさんの中に僕の血液が流れ込んでいるのだから。

彼は十分に血液を啜った後、自分の歯形を舐めた。

「よく我慢したね、すまない、痛かったね」

「大丈夫……つぎは、僕が…するね」

フレイヤさんが首を近づける。

躊躇してはフレイヤさんを苦しませてしまう。僕は渾身の力を込めて、彼の首筋にがぶりと噛み付いた。

「っ……」

これがフレイヤさんの味……

なんて芳しくて甘くて愛おしいんだろう。
これまで嗅いできたフレイヤさんの匂いは、袋に閉じ込められでもしていたんだろうか。そのくらいこの血の香りは今までとまるで違った。

全身に嗅細胞が繁殖したかのように体全体で香りを感じ取った。脳が痺れる。

愛してる。

それしか感じられなくなるくらい頭がフレイヤさんで埋め尽くされる。

番うという行為の尊さとあやうさを身をもって体感した。



最後までフレイヤさんに触れていたい。
痺れる手をなんとか彼の頭に持っていく。

銀色の髪の毛はどこまでも美しい。

彼には、ずっと生きていてほしい。
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