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王都〜第二章〜
邪悪な雨
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◆
夜。無事に今日やるべきことを全て終えて部屋に戻る。ジルさんは遅くなると言っていたから、1人でお風呂に入った。
コーデロイ先生には笑われちゃった。
約束の時間に4、5分遅れてしまったので謝り倒したら「仕事でもないのにほんのちょっと遅れて謝る人そういないよ」と言って許してくれた。でもお城の皆は厳しい時間管理の中動いているわけだから、僕の行動で業務を妨げてしまうのは良くない。
そうだ。今度からメモ帳でも持っておこう。
声が出るようになってから紙とペンを持ち歩かなくなったけど、メモを取らないと色々忘れちゃうもんなあ。読もうとしてた古文書もどこに置いたか忘れちゃったし。
まあ、注意力が散漫になるのはこの雨のせいもある。
ほんとに憂鬱だ。
それに今日は、いつにも増して酷い雨。
窓が割れそうなほど強い雨が銃弾のように降り注いでいる。城ごと流されてしまう勢いだ。
明かりを消すのがなんとなく怖くて、そのままベッドに入る。
しっかり戸締りもしたし、電気つけたまま寝ちゃおうかな。
鼻歌とか歌ってみる?
歌ってあんまり知らないや。
てるてる坊主作って気を紛らわせようか。
でもベッドから出るのがちょっと怖い。
どう寝るのが一番怖くないか考え込んでいるうちに、風も強くなって来た。
ガタガタガタと震える窓の音が耳を突き刺し、考えるのを邪魔する。
どうしてこんなに……
今日は異常だ。
ここ最近ずっと雨が降っていたけど、この雨は、なんか違う。
そう思った途端、窓の震えが乗り移ったかのように激しく心臓が波打った。
嫌な予感がする。
神経や筋肉、体中の細胞全ての隙間に寒気が走る。
窓ガラスが狂ったように悲鳴を上げる。震えはだんだんと激しさを増し、遂に耐えきれなくなった窓のふちから、水滴が滴った。
———ツーーー………
「っ……!」
声が出ない。
室内に流れて込む雫は不自然に壁をつたい、床に小さな水溜りを作る。
違う、これ……
雨じゃない
夜。無事に今日やるべきことを全て終えて部屋に戻る。ジルさんは遅くなると言っていたから、1人でお風呂に入った。
コーデロイ先生には笑われちゃった。
約束の時間に4、5分遅れてしまったので謝り倒したら「仕事でもないのにほんのちょっと遅れて謝る人そういないよ」と言って許してくれた。でもお城の皆は厳しい時間管理の中動いているわけだから、僕の行動で業務を妨げてしまうのは良くない。
そうだ。今度からメモ帳でも持っておこう。
声が出るようになってから紙とペンを持ち歩かなくなったけど、メモを取らないと色々忘れちゃうもんなあ。読もうとしてた古文書もどこに置いたか忘れちゃったし。
まあ、注意力が散漫になるのはこの雨のせいもある。
ほんとに憂鬱だ。
それに今日は、いつにも増して酷い雨。
窓が割れそうなほど強い雨が銃弾のように降り注いでいる。城ごと流されてしまう勢いだ。
明かりを消すのがなんとなく怖くて、そのままベッドに入る。
しっかり戸締りもしたし、電気つけたまま寝ちゃおうかな。
鼻歌とか歌ってみる?
歌ってあんまり知らないや。
てるてる坊主作って気を紛らわせようか。
でもベッドから出るのがちょっと怖い。
どう寝るのが一番怖くないか考え込んでいるうちに、風も強くなって来た。
ガタガタガタと震える窓の音が耳を突き刺し、考えるのを邪魔する。
どうしてこんなに……
今日は異常だ。
ここ最近ずっと雨が降っていたけど、この雨は、なんか違う。
そう思った途端、窓の震えが乗り移ったかのように激しく心臓が波打った。
嫌な予感がする。
神経や筋肉、体中の細胞全ての隙間に寒気が走る。
窓ガラスが狂ったように悲鳴を上げる。震えはだんだんと激しさを増し、遂に耐えきれなくなった窓のふちから、水滴が滴った。
———ツーーー………
「っ……!」
声が出ない。
室内に流れて込む雫は不自然に壁をつたい、床に小さな水溜りを作る。
違う、これ……
雨じゃない
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