ある時計台の運命

丑三とき

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王都

一度ならず二度までも②※

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アキオが頷いたのを確認して、痛々しいほどに昂る彼の熱に手を伸ばす。

「んぁぁっ、はぁっ…」

先に触れると、切なく響く声が私の脳を蹂躙する。
思えば一度目に手を出した時、まだアキオには声が戻っていなかった。

快感に声を震わせる彼はこんなにも艶めかしいのか。

腹の底からぞわぞわと湧き上がるおぞましい感情に支配されそうになる。自分が自分でなくなってしまうような感覚に焦りを覚え、なけなしの理性を叩き起こした。

 
「痛くないか?」

「は、ぃ……あぁぁっ、」

薄くなった体液が漏れ出るそこを指で擦ると、アキオの声は一際ひときわ上ずった。


「ぁあぁっ、……ゃ、そこ……」

先端へ刺激を与え続けながら濡れそぼる陰茎に手を這わし、ゆっくりとしごく。

「ぁぁっ、ジル、さん…はぁ、きもち……」

「………っ!」

アキオが声を上げるたび、ピリピリと甘い刺激が脳内に生じる。

頼む。
耐えてくれ。
醜い本能で彼を傷つけたく無い。


「はっぁ、はぁ…ん、も………ま、た……で、るっ」

白く細い指先を私の腕に纏わりつかせ、精一杯の力でしがみつく。

「ジルさん…ご、めん…なさ…」

「大丈夫だ。何も考え無くて良い」

「…ん、あぁ、ぁあぁ!」


扱く手を早めると、アキオの体が小さく跳ねた。それと同時に、私の手の中に薄まった精液がじわりと広がる。


ひとまず治まったか。


余韻を覚まそうと息を整えるアキオを支え、落ち着かせようと背をさする。

「ぁぁあ、っん」


が、その口から漏れ出るのはいつまで経っても甘い吐息ばかり。本人は自分の体の異変に混乱している。

「はぁっ、はぁっ、はぁ……なんで………」


私が来るまでにも既に数回達している様子だったが、アキオの目は尚も力なく垂れ、零れ落ちてしまいそうなほど潤んでいた。
どうやら熱が収まる気配は無さそうだ。


この症状は、まさか……


「アキオ、こんな時に変な事を聞くようだが、最近見慣れぬものを口にしたりしなかったか?拾い食いなどしていないか?」


「……昨日の、お菓子屋さんで…飴玉おまけして、もらって…」

「飴玉か。それを食べたのか」

「さっき…」

「形や色や味は、どんな感じだった」

「えっと、赤くて、この、くらいっ、大きさ…で……」

アキオは震える親指と人差し指で、小さく輪を作って見せる。

「薬草の風味がしたか?」

「はい……」

「少し苦味があったか?」

「……は、い…」



不安そうにうなずくアキオに、私は自分の顔が青ざめていくのを感じた。
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