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王都
再会①
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そんなことを考えているうちに光がおさまり、目を開けると先ほどとは違う廊下に立っていた。
「わ…すごい…。ジルさんもやってたけど、やっぱり皆さん移転魔法が使えるの?」
「はい。9割ほどは。
しかしほとんど皆城内の移動くらいしかできません。ジルルドオクタイ最高司令官のように地上から宮廷まで直接の移転というのは、相当な魔力と技術がなければ不可能です」
「ジルさんそんなこともできるんだ」
「ええ。アキオ様が王都に到着された時も、そのようにしてお戻りになりましたよ」
「そっか。やっぱり、凄いんだね…」
「……………………ほほぅ」
今までも散々ジルさんのびっくりエピソードを聞いたり目の当たりにしすぎてもう驚くことなど無いだろうと思っていたけど、そんな事はなかった。
あまりの手の届かなさに凹みはするが、自分が惚れた人がこんなに凄いというのはやはり誇らしい。
「なるほど……」
「へ?」
「いえ!こちらの話です。それより、お部屋の方へ参りましょう」
「うん。そうだね」
ユリはとびっきりの笑顔…というかニヤニヤ楽しそうな顔をしている。
よくわかんないけど、ひとまずお説教モードからは解放されたようだ。
「それにしても、誰なんだろう」
「入れば分かりますよ」
ーーーーーーコンコンコンッ
「給仕のフィアデリア・ユリッタハーツフェルドです。アキオ様をお連れしました」
扉に向かってユリが言うと、中から
「どうぞー!」
という聞き覚えのある元気な声が響いた。
「失礼いたします」
「失礼、します…」
「アキオ君!!やっと会えたね!!」
「わあ、メテさん…!」
入った途端にがばっと飛び出してきたのは、私服姿のメテさん。
「もう、メテ。いきなり掴みかかったらアキオ君がびっくりするじゃありませんか」
「イガさんも!」
「お久しぶりですアキオ君。と言っても昨日ぶりですが」
「本当に。なんだかすごく久しぶりに会った気がしますね」
ユリが連れてきてくれたのは、とてもとてもお世話になったイガさんとメテさんのところだった。
王都に着いた時には寝てしまっていてお礼を言えずじまいだったので、会えた喜びと安心感でなんだか気が緩む。
「さあ、入って入ってアキオ君」
「さあ、って。あなたの部屋ではないでしょう?メテ。
アキオ君、こちらにどうぞ。ユリッタさんもどうぞ?」
「ありがとうございます。わたくしは、お茶を用意してまいりますので」
「気なんか遣わないでユリッタ。ほら、積もる話もあるからさ」
「そうですよ?お茶はメテが淹れますから」
「しかし…」
「ユリ、せっかくだから一緒にお邪魔しようよ」
「ほら、アキオ君もこう言ってることだし」
「では…昼食の準備まで少しだけ。失礼致します」
…うわあ。
なんかすごい。
何がどうすごいか言葉じゃ言い表せないくらいすごい。
嬉しくて、楽しくて、ワクワクして仕方がない。
僕とユリは招かれるまま部屋の中に入っていく。
みんなでお茶をするのかな?
お茶をしながら、いろんな話なんかするのかな。
すごい。本当の本当に友達みたいだ。
「わ…すごい…。ジルさんもやってたけど、やっぱり皆さん移転魔法が使えるの?」
「はい。9割ほどは。
しかしほとんど皆城内の移動くらいしかできません。ジルルドオクタイ最高司令官のように地上から宮廷まで直接の移転というのは、相当な魔力と技術がなければ不可能です」
「ジルさんそんなこともできるんだ」
「ええ。アキオ様が王都に到着された時も、そのようにしてお戻りになりましたよ」
「そっか。やっぱり、凄いんだね…」
「……………………ほほぅ」
今までも散々ジルさんのびっくりエピソードを聞いたり目の当たりにしすぎてもう驚くことなど無いだろうと思っていたけど、そんな事はなかった。
あまりの手の届かなさに凹みはするが、自分が惚れた人がこんなに凄いというのはやはり誇らしい。
「なるほど……」
「へ?」
「いえ!こちらの話です。それより、お部屋の方へ参りましょう」
「うん。そうだね」
ユリはとびっきりの笑顔…というかニヤニヤ楽しそうな顔をしている。
よくわかんないけど、ひとまずお説教モードからは解放されたようだ。
「それにしても、誰なんだろう」
「入れば分かりますよ」
ーーーーーーコンコンコンッ
「給仕のフィアデリア・ユリッタハーツフェルドです。アキオ様をお連れしました」
扉に向かってユリが言うと、中から
「どうぞー!」
という聞き覚えのある元気な声が響いた。
「失礼いたします」
「失礼、します…」
「アキオ君!!やっと会えたね!!」
「わあ、メテさん…!」
入った途端にがばっと飛び出してきたのは、私服姿のメテさん。
「もう、メテ。いきなり掴みかかったらアキオ君がびっくりするじゃありませんか」
「イガさんも!」
「お久しぶりですアキオ君。と言っても昨日ぶりですが」
「本当に。なんだかすごく久しぶりに会った気がしますね」
ユリが連れてきてくれたのは、とてもとてもお世話になったイガさんとメテさんのところだった。
王都に着いた時には寝てしまっていてお礼を言えずじまいだったので、会えた喜びと安心感でなんだか気が緩む。
「さあ、入って入ってアキオ君」
「さあ、って。あなたの部屋ではないでしょう?メテ。
アキオ君、こちらにどうぞ。ユリッタさんもどうぞ?」
「ありがとうございます。わたくしは、お茶を用意してまいりますので」
「気なんか遣わないでユリッタ。ほら、積もる話もあるからさ」
「そうですよ?お茶はメテが淹れますから」
「しかし…」
「ユリ、せっかくだから一緒にお邪魔しようよ」
「ほら、アキオ君もこう言ってることだし」
「では…昼食の準備まで少しだけ。失礼致します」
…うわあ。
なんかすごい。
何がどうすごいか言葉じゃ言い表せないくらいすごい。
嬉しくて、楽しくて、ワクワクして仕方がない。
僕とユリは招かれるまま部屋の中に入っていく。
みんなでお茶をするのかな?
お茶をしながら、いろんな話なんかするのかな。
すごい。本当の本当に友達みたいだ。
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