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王都
軍城④
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食堂を出て、
「次は……図書館へ…行きましょうね…」
と心なしか魂が抜けたようになっているユリの後を着いていく。
クリスさんとニーソンさんと話をしたら少し肩の力が抜けたのか、周りの軍人とも挨拶を交わしながら歩ける様になった。
すれ違う人すれ違う人に「こんにちは」「初めまして」などと声をかける様子は、きっと入学したての小学1年生のようだろう。
「だいすき……大好き……ダイ、スキ………?」
それよりも、食堂を出る時からユリがうわごとの様に何かをぶつぶつ呟いていて様子が変なのが気になる。大丈夫かな。
やっぱり、無理言っちゃったのが良くなかったのだろうか。
でも今更「やっぱりさっきのナシで」なんて言ったら余計に気苦労をかけてしまうかもしれない。
こういう時、どうするのが正解なんだろう。
「あの…ユリ?」
「アキオ様」
「は、はいっ」
で、出た…。おっかないバージョンのユリだ。
いつもよりワントーン低い声で静かに名前を呼ばれる。
ついに僕もユリのお説教を受けることになるのだろうか。
人に叱られるのってこんなに緊張するんだな…。
でも悪いのは僕だからちゃんと受け止めないと。
そう言い聞かせて背筋を正す。
「アキオ様…わたくし…」
「はい………」
「そのお言葉で、10日は飲まず食わずで生きていけます」
「……はい?」
「生命に値するほどありがたく、身に余るお言葉を賜り、わたくしはこの凡愚の身にまた別の心臓が芽生えたように存じます!!」
「勘違いだと、思います…」
「わたくしの様な者にも慈悲と温情を授けてくださるなんて……あぁ、これは天からの恵みでしょうか…」
「もう…大袈裟だな…」
「しかし!!アキオ様!」
「は、はい!」
「隊員の方々には、決してそのように愛らしいお顔やお言葉をお向けになってはなりません!」
「え…どうして?」
一瞬いつものように元気でちょっとおかしなユリに戻ったと思ったが、やっぱりお説教モードだった。
僕は何を怒られているのだろうか。
「『どうして』…?
あなたというお方は…!
いいですか?軍人なんて皆獰猛な獣だとお思いください。完膚なきまでに野生的な男どもがアキオ様のそんな可愛らしいところを見たら…皆、片っ端から魅了されてしまうではありませんか!」
「………なんで?」
「なんっ……!
あ…いえ。そうでした。
アキオ様の世界では、異性同士が惹かれ合うのが一般的なのですよね。
申し訳ございません!配慮というものを欠いておりました。わたくしアキオ様になんという御無礼を…どうかお許しください!」
「いや…全然構わないよユリ。ありがとう」
構わないどころか、僕だって立派な男であるジルさんに想いを寄せているのだから配慮も何も無いだろう。
「というか、それを言うなら僕じゃなくてユリでしょう?
綺麗で可愛くて優しいから少し心配だな…。
って、僕が心配するのも失礼だよね。それにユリは強いから大丈夫か。
でも、もし何か困ったことや辛いことがあったら何でも言ってね。僕にできることがあれば何でもするから」
「…………………………」
「…………………………え?」
ユリは真顔で固まり涙を流し、地面に水たまりを作り始めた。
僕、また何かまずいこと言った…?
「次は……図書館へ…行きましょうね…」
と心なしか魂が抜けたようになっているユリの後を着いていく。
クリスさんとニーソンさんと話をしたら少し肩の力が抜けたのか、周りの軍人とも挨拶を交わしながら歩ける様になった。
すれ違う人すれ違う人に「こんにちは」「初めまして」などと声をかける様子は、きっと入学したての小学1年生のようだろう。
「だいすき……大好き……ダイ、スキ………?」
それよりも、食堂を出る時からユリがうわごとの様に何かをぶつぶつ呟いていて様子が変なのが気になる。大丈夫かな。
やっぱり、無理言っちゃったのが良くなかったのだろうか。
でも今更「やっぱりさっきのナシで」なんて言ったら余計に気苦労をかけてしまうかもしれない。
こういう時、どうするのが正解なんだろう。
「あの…ユリ?」
「アキオ様」
「は、はいっ」
で、出た…。おっかないバージョンのユリだ。
いつもよりワントーン低い声で静かに名前を呼ばれる。
ついに僕もユリのお説教を受けることになるのだろうか。
人に叱られるのってこんなに緊張するんだな…。
でも悪いのは僕だからちゃんと受け止めないと。
そう言い聞かせて背筋を正す。
「アキオ様…わたくし…」
「はい………」
「そのお言葉で、10日は飲まず食わずで生きていけます」
「……はい?」
「生命に値するほどありがたく、身に余るお言葉を賜り、わたくしはこの凡愚の身にまた別の心臓が芽生えたように存じます!!」
「勘違いだと、思います…」
「わたくしの様な者にも慈悲と温情を授けてくださるなんて……あぁ、これは天からの恵みでしょうか…」
「もう…大袈裟だな…」
「しかし!!アキオ様!」
「は、はい!」
「隊員の方々には、決してそのように愛らしいお顔やお言葉をお向けになってはなりません!」
「え…どうして?」
一瞬いつものように元気でちょっとおかしなユリに戻ったと思ったが、やっぱりお説教モードだった。
僕は何を怒られているのだろうか。
「『どうして』…?
あなたというお方は…!
いいですか?軍人なんて皆獰猛な獣だとお思いください。完膚なきまでに野生的な男どもがアキオ様のそんな可愛らしいところを見たら…皆、片っ端から魅了されてしまうではありませんか!」
「………なんで?」
「なんっ……!
あ…いえ。そうでした。
アキオ様の世界では、異性同士が惹かれ合うのが一般的なのですよね。
申し訳ございません!配慮というものを欠いておりました。わたくしアキオ様になんという御無礼を…どうかお許しください!」
「いや…全然構わないよユリ。ありがとう」
構わないどころか、僕だって立派な男であるジルさんに想いを寄せているのだから配慮も何も無いだろう。
「というか、それを言うなら僕じゃなくてユリでしょう?
綺麗で可愛くて優しいから少し心配だな…。
って、僕が心配するのも失礼だよね。それにユリは強いから大丈夫か。
でも、もし何か困ったことや辛いことがあったら何でも言ってね。僕にできることがあれば何でもするから」
「…………………………」
「…………………………え?」
ユリは真顔で固まり涙を流し、地面に水たまりを作り始めた。
僕、また何かまずいこと言った…?
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