強面営業マンに恋してます。

yu-kie

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《小話》

限界から見えたもの。

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《圭樹side》

結婚式を終え…新たな生活をスタートさせた僕らは、新たな気持ちで仕事を始めたはずだった。

深雪ちゃんはドレスも着物も素敵だった。

一時期その時とった写真を《待受にして~。》といわれたときは驚いたけど。

現在、僕は近くのデパートがオープンするに辺り、所長の助けもあって契約できたお店のブース展開。そこに営業担当になったのが僕だったが、…

他店ではなかった、トラブルが起きてしまった。

仕事を覚えるのは個人差がある。新店舗の一部の店員が中々思うように、オープンまでにやれなくてはいけないことがこなせず…発注のもれ、それに加え、過剰な発注が起こってきた。

彼女たちの、ラッピングも中々ものにならず、その子たちはオープンしてからも僕と、この店の女性店長、杉田さんに甘えていた。

早くに仕事を終わらしたいがため手伝ってしまい…それが続いてやっと明日は休めると、ホッとした昼間…

店員がお客様にお売りした品で、マドレーヌセットを引き出物で10箱ご購入頂いて、持ち帰りいただいたのだが…のしが違うとお怒りの電話。

お住まいは近くで、僕が代わりに新しいのしと包装紙、テープを持参し、お宅へ向かうはめになる。

お詫びをして、のしを掛けて早々に包み直し、お宅を出たのが日が沈み掛けた頃。

体調も少し悪くなり始め…店に顔をだしてすぐ帰ろうと…店のケース内のディスプレイだけ直していたら、呼ばれて…立ちあがり…

頭がふわりとした瞬間…そこで記憶が飛んでしまった。

 *

目が覚めたら…白い部屋の処置室のベットに横になり、深雪ちゃんが僕に頭を寄せて座ったまま眠っていた。


僕がハッキリと仕事の役割をを分けていたなら…ここまで自分が追い詰められることもなかっただろう。

自分は一人ではないと改めて気付かされた。

 *

帰りのタクシーの中。

「圭樹さん…こんなことしてたら過労で死んじゃうよ?私嫌だよ、そんなの…」

「ごめん、そんなつもりは…」

「じゃあ、自分をもっと大事にして、新人さんに厳しく!」

なんて深雪ちゃんに言わせてしまった自分を攻めると同時に、彼女を悲しませたくないと切に思った。


…頬を膨らませ心配する姿も愛しくて、抱き締めたくてたまらない。

その後僕は、店長協力のもと売り場のことにはほぼてを出さない事に徹した。

はじめからこうしていれば良かったのだろう、あれから店長の教育のかいあって、彼女らは自分だけで仕事をこなせるようになりました。

深雪ちゃんの言葉の全てが身に染みて…彼女には頭が上がらないなあ。

   ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

次回は、療養中の小話です。
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