強面営業マンに恋してます。

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〔5章〕結婚へ。後編

中村結が来た理由

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「結さん、あなたのお姉さんに警告したの聞いてないの?それに海外なんじゃないの?何でここにいるのよ‼」

私はぐんと詰めより更に睨む。

「おーこわ。圭樹を好きになったのは私が先よ!私の方が背が高いし美人だしぃ~?姉と瓜二つだし、何で私がダメであんたならいいのよ!」

「全然返事になってない!何で海外から来たの?」

私は質問に答えない中村結に腹が立ち問い詰めるが話をそらされ…圭樹さんが前に出た。

気がつけば、二次会メンバーは幹事の誘導で先にレストランへ入っていった。

目の前には圭樹さんの広い背中があって、両手は後ろに組んでいて、私がその手に触れれば彼はギュッと強く握り、声は低く、怒っていた。

「もう二度と俺たちの前に現れないでくれるかな?何度も言ってるけど、あんたの事は好きじゃない。なぜだかわかるかな?強引なところが一番嫌なんだよ。」

中村結さんは、私を睨むのをやめ目を閉じ深呼吸した。

「なんだかなぁ~男らしくなったよね戸山くん。彼女のお陰なのかな?本当は二人に謝りたくて来たはずなのに意地はって…会うとやっぱり嫌な自分が出ちゃうんだよね。」

「「中村さん?」」

「山城ステー、あの人に私怒られたの。あの人の男友達にちょっかい出してたから、それもあって、気持ち入れ替えたくて仕事辞めて海外に飛び出して…母親の怪我があってこっちに戻ってきたら姉の新居に遊びにいけば招待状が…」

「で?」

圭樹さんの問いに中村結さんは深々と頭を下げた。

「私は今日謝りに来たんです。お二人を傷つけてしまいました、ごめんなさい。こんな日にって思うかもしれないけど…この先じゃダメだと思ったの。新婚生活に水を指してしまうくらいなら、その前に、区切りがいいかも知れないって。」

私は思わず圭樹さんのてを振りほどき前に出て…下を向いたままの彼女に歩み寄り頭を撫でた。

「そうですね。さっきまでは後味悪すぎたけど、区切りがいいかも知れない。」

「もう二度と会いません。もしも通りすぎたなら声をかけません。だから…。」

「わかりました。」

私の返事に会釈し、彼女は背を向けてゆっくりと歩き始め…止まることなく…人混みの中へと姿を消した。


私達はその後…中村結に二度と会うことはなかった。
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