強面営業マンに恋してます。

yu-kie

文字の大きさ
上 下
67 / 96
〔5章〕結婚へ。後編

圭樹さんは強気で。

しおりを挟む
休日に、私は式も近くなり打ち合わせに式場へ行ってきた。

最終的なものだったから私一人で行ってきた。

彼は仕事があり、住まいの近くのいろんなお店に走り回る。

私は用を済ませて帰宅すれば彼はまだ仕事中だろうまだ帰宅はしていない。

今は夕方、夕飯の準備を済ませば窓の外は日も暮れていた。

テレビをみて時間がたつのを待ち、閉店時間…私は窓を覗けばトラックが店に止まっているのが見えた。

  ◆  ◇  ◆  ◇

相変わらず三宅玲がこの地域の配送を担当している。

今日はあいつが去るのを待って帰ろうと思い、自分に用意されたデスクで仕事の整理をしていた。

皆帰る時間帯で僕の後ろを皆、お疲れ様。頑張るなぁ。ほどほどにしろよ。なんて声をかけて帰って行く。

事務の女性は5時きっかり定時に帰る。だから今は帰り支度をする所長が部屋にいるだけ。

「まだ帰らんのか?」

初老の所長が不思議そうに聞いてくるから仕方なく…

「今担当してる運送屋、僕の苦手な方なんです。だから時間ずらそうと…」

「情けないな、お前が弱気なときは女絡みに思えるが…図星か?」

「はあ~。」

「尚更強気で行くべきじゃないか?やましいことがなければな。」

上司は僕の背中をバチンと叩いて帰って行った。

「いててて。加減無いな…所長。」

僕は深呼吸をして、立ち上がる。

コートを羽織り鞄を持つと階段を降りる。

店長ステーと、三宅が納品受け渡しの最中でそれを横切ればまた、あいつが渡したいものがあるから待ってくれと呼び止める。

「何のようか今言え!」

背の高い僕と深雪ちゃんの身長の間くらいの高さの彼を見下ろし威嚇した。

三宅は始めて発した僕の声と威嚇するような睨みに足をすくませながら負けじとなにかを取り出した。納品途中なことも忘れ店長ステーの前で行う失態。

渡されたものを受け取り言われたのは猫のデザインされたイミテーションのネックレス。

「昔車でしたときに落としたんだよ。掃除したら出てきたんで深雪に返しといて。」

深雪ちゃんが前に話していたことを思い出す。
お気に入りのネックレスを紛失し、探しても見つからなかったと。

だからと僕は深雪ちゃんのために小さなルビーが一粒輝くネックレスをプレゼントした。

今もそれが彼女の首で輝いている。

「掃除するの遅すぎじゃないか?無神経な奴だな。お前と別れて正解だ。お陰で彼女は僕の物。二度と変な真似をするな!真面目に仕事するんだな!」

僕は言いたいことを言って奴からネックレスをむしりとり、襟首をつかみ睨み付けて、突飛ばし、背を向けて帰路に着いた。

  *


「くそ、面白くねぇーな!」

三宅はうっかり素になり唾をはくように汚い言葉を吐き捨てた。

「あんた、何しに来てるの?」

今度はステーが凄みのある声で気高い女王様のように鋭い眼差しで睨んだ。

「へ、あ。」

「うちと取り引きしてくれてる田口運送さんには悪いけど…あんたは社長に恥ずべきことをしてるのよ?しかも今は得意先に商品を納品中よ?出禁にして欲しいの?立場が悪くなれば困るんじゃないの?」

ステーさんはヒステリーに捲し立て、三宅はたじたじ。

「は、すいません。」

「悪いと思うなら心を入れかえてあなたの役目を果たしてちょうだい!そしたら今日の事はあんたの上司に言わないでおいてあげる。」

「あ、はい!すみませんでした‼」

「うん、じゃあ残りの荷物チャッチャッと厨房に運んで!そしたら伝票にサインしてあげる。」

このあと、無心になった三宅玲が荷物を運び入れ、ステーにサインをもらい慌ただしく店をあとにした。



仕事がなくなる恐怖が相当あったのか…それ以来、担当は変わらないが、圭樹への嫌がらせもなくなったのだった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

おじさんは予防線にはなりません

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「俺はただの……ただのおじさんだ」 それは、私を完全に拒絶する言葉でした――。 4月から私が派遣された職場はとてもキラキラしたところだったけれど。 女性ばかりでギスギスしていて、上司は影が薄くて頼りにならない。 「おじさんでよかったら、いつでも相談に乗るから」 そう声をかけてくれたおじさんは唯一、頼れそうでした。 でもまさか、この人を好きになるなんて思ってもなかった。 さらにおじさんは、私の気持ちを知って遠ざける。 だから私は、私に好意を持ってくれている宗正さんと偽装恋愛することにした。 ……おじさんに、前と同じように笑いかけてほしくて。 羽坂詩乃 24歳、派遣社員 地味で堅実 真面目 一生懸命で応援してあげたくなる感じ × 池松和佳 38歳、アパレル総合商社レディースファッション部係長 気配り上手でLF部の良心 怒ると怖い 黒ラブ系眼鏡男子 ただし、既婚 × 宗正大河 28歳、アパレル総合商社LF部主任 可愛いのは実は計算? でももしかして根は真面目? ミニチュアダックス系男子 選ぶのはもちろん大河? それとも禁断の恋に手を出すの……? ****** 表紙 巴世里様 Twitter@parsley0129 ****** 毎日20:10更新

妹は奪わない

緑谷めい
恋愛
 妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……  私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...