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〔5章〕結婚へ。後編
valentineと魔女の子犬。
しおりを挟む《2月14日(水曜)バレンタインデー当日》
私は店内で走り回ってレジの処理に終われていた。
私はお店を覗くお客様に笑顔を向けながら声をかけるきっかけを探る。
本日新商品のプルんとした口紅、タイトルは“魅惑のルージュ・フラワー”
花の香りがそれぞれ付いた口紅は、女性の魅力を色彩で表現され…
レッド、ピンク、ベージュ、の三色が売り出し中。
宝箱のような可愛いケースに入るのはチーク、そしてアイシャドー。
チークのケースは黒にゴールドの蝶の模様がデザインされ、アイシャドーのケースも同様に黒いケースにゴールドの蝶の模様があり…ピンクのビーズ蝶を彩る。
アイシャドーは瞼の部位によって色を変えることで女性の色気を引き出してくれる。
ケースの中には四色に別れ入る彩り豊かな魔法の粉。
口紅は一押しの商品だがこれらのチークにアイシャドーも今年のvalentine限定の新商品とありよく売れている。
噂を聞き付け見に来るお客様の“つけてみたい”そんな思いと格闘しながら商品の前を離れられずにいる方に私たちは声をかける。
主任は今日何人にメイクをしただろう、各店舗も皆忙しく働く姿は、お客様に魔法をかける美魔女に見える。
私は美魔女のなかの子分の子犬といったところなのかもしれない。
今日は一段と忙しい。
今夜は私にとっても大事なイベントが待っている。今は、ただ黙々とお客様に尽くすのみ。
素敵な恋が始まることを願いながらお客様に魔法の粉をお試しでお顔に施せば、皆生まれかわったように笑顔で元気に帰ってゆかれた。
勿論多くのかたが気にいった化粧品を買って行かれ、売り上げ上昇。デパートの閉店時間が訪れるのだった。
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