強面営業マンに恋してます。

yu-kie

文字の大きさ
上 下
33 / 96
〔4章〕将来

その頃圭樹は?〔葛藤する〕

しおりを挟む
僕は戸山圭樹けいじゅ31歳。

彼女との遠距離が続くが、毎日の夜の電話で癒しをもらう。

初めて会った時…一生懸命考えて、僕の身になってお祝いの品を選んでくれた。
コロコロ変わる表情が可愛くて面白くて…もともと強面な僕に時折びびりながら、真摯しんしに向き合う姿に胸がキュンとしたのが懐かしい。

小さくてちょこちょこ走って、愛しい彼女。

遠距離で、なかなか会えないけれど…彼女の浮気を心配しないと、僕は自惚れているのかもしれない。

  ◆  ◇  ◆

僕は もともと人付き合いが苦手。唯一無愛想な僕に接してくれたのは高校時代の親友。現在夫婦になった、麻田隼人と里菜。その後は進学もあり、別々の道を歩み…僕は大学では経済学を専攻していた。

就職先はプー・メッシュ。

もともと顔に似合わず菓子造りが趣味だったこともあり、面接して、お菓子の知識に興味を持たれて運よく選んでもらえた。

そこでお店の売り込みをするよう営業課に配属。

今は都心の店に併設された営業所に所属している。

人間関係は人一倍努力と忍耐が必要とされる、足を引っ張るのはこの人相。と身長。

笑顔を作るが、強ばってデパートの担当先の派遣女子に怖がられ、仕事もしにくい。

だけど我儘な要望にも迅速に対応するよう心がけた。
だから、信用はしてもらえるようになり、この強面にもなれてくれた。

だがプライベートには線引きをした。気があると誤解されてはややこしくなるからだ。

こんな努力の必要な身だから…恋なんてする余裕もなく…今なら、深雪ちゃんに出会えたのは奇跡とも思える。

キューピットは、隼人と里菜になるのかな?

今の配属先にもなんとかなれてきたけど、担当先に頼られるぶん忙しくしている。

  ◆  ◇  ◆  ◇

とある日の夜、彼女は部署が移動したと戸惑っていた。

「美魔女にはなれないけど頑張るよ。」

「うん、僕もこっちで頑張る。一緒に頑張ろ。でも、綺麗になりすぎたら心配だな。」

「ふふふ。心配するような奇跡的な美女にはならないと断言できるから安心して。」

「深雪ちゃんは謙遜するな~、今の君は十分可愛くて綺麗だよ、メイク教わったら僕に写メして。早く見たいから。」

「え~写メ!ん~困るよぉ、」

「お願い!」

「ん、わかった。一枚だけ送るね。」

次の日、送られた写メには、デパートの制服で以前のシンプルなメイクと違う華やかな、アイシャドーとチーク。

女の色香漂う姿に胸が、動悸が…。

早くじかに会いたい、抱き締めたいと切におもう。

ちなみに僕の友人からラインのトークが飛んできた。

歓迎会帰りの深雪ちゃんに会ったことがかかれていた。

僕の不安を仰ぐ言葉。

『深雪ちゃん、大変身したぞ!しかも友人はさらに美人だ。悪い虫がつかないように気を付けろよ。』

僕は一回…店長に失態を見られているぶん店長の風当たりが強いように思える…。ガックシ。

項垂れる僕は…

『善処します。』

そう返したのだった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

おじさんは予防線にはなりません

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「俺はただの……ただのおじさんだ」 それは、私を完全に拒絶する言葉でした――。 4月から私が派遣された職場はとてもキラキラしたところだったけれど。 女性ばかりでギスギスしていて、上司は影が薄くて頼りにならない。 「おじさんでよかったら、いつでも相談に乗るから」 そう声をかけてくれたおじさんは唯一、頼れそうでした。 でもまさか、この人を好きになるなんて思ってもなかった。 さらにおじさんは、私の気持ちを知って遠ざける。 だから私は、私に好意を持ってくれている宗正さんと偽装恋愛することにした。 ……おじさんに、前と同じように笑いかけてほしくて。 羽坂詩乃 24歳、派遣社員 地味で堅実 真面目 一生懸命で応援してあげたくなる感じ × 池松和佳 38歳、アパレル総合商社レディースファッション部係長 気配り上手でLF部の良心 怒ると怖い 黒ラブ系眼鏡男子 ただし、既婚 × 宗正大河 28歳、アパレル総合商社LF部主任 可愛いのは実は計算? でももしかして根は真面目? ミニチュアダックス系男子 選ぶのはもちろん大河? それとも禁断の恋に手を出すの……? ****** 表紙 巴世里様 Twitter@parsley0129 ****** 毎日20:10更新

妹は奪わない

緑谷めい
恋愛
 妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……  私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...