強面営業マンに恋してます。

yu-kie

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〔1章〕好きの始まり。

過去の人と、苦いチョコ。

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坂津深雪、現在26歳。私は2年前まで誰とも付き合ったことがない。
まあ、見ため男の子みたいだったからなぁ~。

高校を卒業し就職した工場で人間関係がうまくいかずに辞めて、ここの契約社員の募集に飛び付いて今に至る。

24歳になる少し前、私の職場に以前いた知人の紹介で知り合った人。

運送屋に勤めていて、何となく彼のさりげないボディータッチで打ち解けた。はずだった。

まさか女の扱いになれてて意図的なタッチだったとその時は知らずに…

付き合い始めて…

互いの予定が合わずにメールや通話のやり取りをして、ようやく会えたのは、仕事あとの夜だった。

彼が車で迎えに来て夜のドライブにくりだした。

あの頃バレンタインの話が出て釘を刺された。

「俺チョコ嫌いだからよこさないで。」

バレンタインデーには会えなくて次の日。

仕事あとに夜のドライブ。

レストランで食事して店を出て車に戻る。

彼がスマホの着信に出ると、先に車に乗るよう促された。

車を閉めたふりして少しだけ開けて耳を澄ませば…女の人の甘い声。

「ああ、昨日はありがとう。チョコ?食べたよ旨かった。ああ、また連れてってやるよ。今度の日曜、俺の為に予定空けとけよ。」

『愛・し・て・る。』

女の微かに聞こえた甘い囁きに私は血の気が引く思いをした。

案の定その日私が休みだと教えていたのに、親と約束があるとか忙しそうにして断られた。

そのあとも女の影が見え隠れ。

最終的に捨てられた。

私は重たいのだそうだよ。

いや、体重ではなくの方だ。

心がドップリ彼への想いに浸かっていたから…その日から食欲も気力もなくなり…ため息の日々。

そんなこともあり私はチョコをあげるとか考えないようになったのだ。

 *

そして今、その記憶を振りはらい、私は戸山さんに連絡を取ろうと、帰宅後の夜、自分の部屋でスマホと格闘していた。

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