強面営業マンに恋してます。

yu-kie

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〔1章〕好きの始まり。

音信不通と踏み出す勇気。

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あのあと彼は友達に呼ばれて再び彼らと去っていった。

私は今、何を見ていたのでしょうか?からかわれてるのか?

睨まれるのは慣れて来ると思うけど…あの笑顔は一度見てしまったら、また見たくなってしまう。

「はぁ。」

私はとぼとぼと帰路についた。

 *

あれから数日たち…着信も無く、たまにプー・メッシュを覗けばおやつを買う。

店員さんとも顔馴染みになったけど、戸山さんは一応仕事で来ているみたいであることはわかった。

何度も妄想した、戸山さんの笑顔に…睨みも、可愛く思えるようになってしまった私はもう、あの目で見下ろされても大丈夫だろう。

だけど私はいつ会えるかもわからないまま…行動もできずに…1月最後の週を迎えた。

店内はバレンタイン色。

プー・メッシュも同様にバレンタイン用の可愛いパッケージが並ぶ。

休憩にプー・メッシュに来ればいつのまにか戸山さんが来たのだろう。ショーケース内はバレンタインのチョコと焼き菓子。

私は自分用に買うと休憩室でみんなとわけた。

「深雪今年はどうするの?」

化粧品メーカーの社員の友人が聞いてきた。私の昔の恋人の話を知ってる子だ。

「気になる人はいるよ、でも…昔のことを思い出すから、このまま静かに終わらせたい。このイベントに気付かないふりしてすごそうかと…」

「あげたい人は誰?元カレに似てるとか?」

「元カレもその人も、強面こわもてかな?元カレとは性格は逆かもしれない、いい人なんだけど…今は知り合いって言うだけ。」

「そんな昔のこと早く忘れて、新しい彼氏作りな!」

「うん。そうだよね…わかったよ。」

友人は私の背中をポンと叩いて先に売り場に戻っていった。

少しだけ前に進んでみようかな、少しだけ。
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