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4話<女子大生の恋>1で完結
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しおりを挟む喫茶ぽぽに、最近決まった時間に近くの大学に通う女性が一人でお茶をしに来るようになりました。手入れがされて艶のあるブラウンの長い髪を下ろした、派手さがなく清楚な装いの彼女。
よく来るようになったのは、あの日が関係しているのかもしれません。
ある日、初めていらした日、私はカウンター席に座ったお客様からハーフサイズのパンケーキと珈琲セット注文を受けて準備中の事でした。
「おはよう美奈ちゃん」
「おはようございます。藍川さんもう待ってみえますよ?」
「うん。今日帰れないから猫達の事お願い。」
春樹さんが2階から降りてきて言葉を交わし、部屋の鍵を預かりました。
「わかりました。珈琲は飲む時間あります?」
「うん、お願い。」
「今受けてるお客様のパンケーキの準備が終わったらお持ちします。」
「ありがとう。」
春樹さんはお店で待たせている藍川さんのもとへ向かった直前、カウンター席の方から女性の揉めているように思える声が聞こえてきました。
「いや、断ってるじゃないですか!」
「つれないな、同じ大学なんだし仲良くしようよ。あまり騒いだら周りに迷惑だよ~」
「だって…」
私は女性のお客様に注文受けたハーフサイズのパンケーキをお届けにゆくとそれは起きていたのでした。
「あら~お待たせ。ちょっとお兄さん彼女は私の連れよ?店長、彼女は私の席に移動しま~す。」
女子大生をナンパなお客様から救出したのはなんと、春樹さんではなく藍川さんだった。
こうして本日女装の藍川さんに腕を組まれた女子大生は藍川さんの美しさに見惚れながら奥の席へと移動したのでした。
私は藍川さんの後を追い、春樹さんが面倒臭そうにして座る奥のテーブル席に行き、注文の品を並べました。
「社長、ナンパか?」
「やだ~可愛い女の子が困ってたらつい。さあ、座って、向かいに座ってる強面は見た目だけだから安心して。」
「あ、ありがとうございます。」
私はこの光景を間近にし、なんだが胸の奥がじわじわと暖かくなるのを感じたのでした。
このあと春樹さんに珈琲をお持ちし、彼女をナンパした男性のお会計にレジにたった私は、面白くなさそうに帰る男性に少し怖いと思いながら何事もなくお見送りしたのでした。
あのあと春樹さんたちは女性と別れお仕事に。彼女に藍川さんは男だとあかし、『よくこの時間に来るから、悩み事なら相談にのるわよ』なんて言い残していたのだった。
あれから悩み事があるのかわかりませんが、女子大生のお客様は同じ時間にお店にいらっしゃるようになりました。そして何度かお店にお迎えし彼女から名前を教えてくれました。
菊池華さん近くの某大学1年生。藍川さんがいない時、他のお客様も少ない時間は彼女による藍川さんの情報収集の時間になりました。
「店長さんは藍川さんの事どう思います?」
「綺麗な方ですよね。」
私は間違いは言ってません、感じたことを話しただけ。
「そうじゃなくって~」
「どうたしたんですか?」
少し拗ねた様子の華さんは少し可愛く見えました。あ、もともと綺麗な方なんですけどね。
「店長さんは藍川さん好きだったりします?」
「いい人だと思いますよ。」
「そうじゃなくて」
私が首を傾げたら、菊池さんは顔を赤くして私にだけ聞こえるちいさな声で教えてくれました。
「私は藍川さんが好きみたいなんです。」
菊池 華さんはどうやら藍川さんに恋しているようです。
「そうでしたか。私はそういった気持ちではないので安心してください。菊池さんうまく行くといいですね。」
「うん、ありがとうございます。」
菊池さんは素直にそう言うと珈琲カップを手にし、直後新しいお客様がいらしたので私はお仕事モードに気持ちを切替えて菊池さんの席から離れる直前言った言葉が頭から離れませんでした。
「店長さん!藍川さんと一緒にいる強面な人、店長さんに気があると思いますよ。」
「…えっ、」
私が振り返ると彼女は珈琲を飲みほし、私は直後レジに呼ばれ彼女から離れたのですが…何故だがその言葉は何度も脳内で繰り返し聞こえ、私の心を揺さぶるのでした。
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