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3話<店主と迷子の仔猫>
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しおりを挟むある日、ポポの勝手口には地面に置かれた器に入ったささみの猫缶。
周りに誰もいないことを確認した茶トラの仔猫が2匹、事前に置かれた器に頭を突っ込みながら競争で勢いよく食べていた。
「ももちゃん、とらちゃん仲良くね。」
仔猫たちは顔を上げ美奈に甘えるように返事した。
「「なぁ~ごぉ~」」
ダンダンダン。
階段を降りる春樹の足音が静まり、春樹は厨房へと顔を出した。
「美奈ちゃん何か腹いっぱい食べれるの用意してくれるかな?」
「じゃあ、いつものサンドイッチと、目玉焼き付きハンバーグ用意しますね。カウンター席が空いてますから、そちらで待っててください。」
「うん~?勝手口に何かいる?」
春樹は美奈と肩を並べるようにたち、ふと勝手口を見ると仔猫が2匹食事中だった。
「飼いだしたのか?」
春樹は猫に接近した途端に2匹の仔猫は跳ねるように飛び上がると外へと逃げていった。
「この前カラスから助けてあげて、裏の物置に最近居座っているんです。まだ人に馴れてなくて…」
「そうか、残念。店で待ってまーす。」
「はーい。」
美奈から離れ厨房を出てゆく春樹の背を見送ると、美奈は腕まくりして調理に取り掛かった。
勝手口にはドアの陰から顔を出した2匹の仔猫は厨房に春樹がいないのを確かめると、美奈の足元に擦寄り始めた。
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