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2話<春樹のお客現る>
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しおりを挟む「で…あんたは誰だ?何しに来たんだ?俺を探してたんだろ?」
「僕は…川田冬男。雑誌記者です。実は取材中のカメラにこれを…」
川田は恐る恐る写真を見せた。写真には本来目的とする俳優の密会が写されていたが、その奥に写る建物前に止まる車から、建物へ向け狙撃する瞬間が写されていた。
「ヤバイですよね?翌日後ろに写る建物で人が殺されてたのがニュースになって、脅迫状が家に…」
「仕事の話ね、了解。」
春樹は上着の内ポケットからスマホを取り出し、誰かと連絡を取り始めた。
厨房から食事を運んできた美奈は何も知らないまま笑顔で食事を運びテーブルに並べ席を離れると同時に春樹はスマホに話し始めた。
「仕事の依頼来たから依頼料とか聞いてくれるかな?」
『依頼人は近くに?』
「うんポポにいる。」
『天使ちゃんの店?一般人巻き込んじゃうでしょ!』
「なら迎えに来いよ、依頼人渡すから別のとこで話し聞けよ。」
『了解。友人装おってお迎えに参りまーす!』
「ん、よろしく~。」
いつの間にか背後に現れた美奈は春樹に不思議そうに声をかけた。
「お友達増えます?」
「わっ、美奈ちゃん。」
「あ、珈琲のお代りを持ってきたので、すみません。」
「美奈ちゃん大丈夫だよ、この川田くんのお友達が迎えに来るだけだから。なっ?」
春樹の合図に川田は慌てるようにして頷き、美奈は空のカップを回収し新しいカップに入る珈琲をテーブルに置いて周りのテーブルの拭き掃除、後片付けを始めた。
「はあ~、あの子巻き込むわけに行かないんでね。」
「そうですよね、すいません。こんな場所までおしかけてしまって。」
「うん。そろそろ着たかな?」
店の入り口近くに車が止まる音がし、春樹は川田を連れて店の外を覗くと、春樹の職場の上司、水商売系を思わせるドレスを着た女性が黒い高級車から降りて手を振っていた。
「あの人にあとは任せてるから。」
「はい、ありがとうございます。ホステスですか?」
「多分その設定で準備したんだろうな。」
川田は迎えに来た女の後部座席に乗り込み、女は春樹に手を振りまた運転席に乗り込むと、車は猛スピードで走り去った。
こうして喫茶ポポに降りそうだった危機は去り、春樹は店内に戻ると、心配そうに春樹を見る美奈に足を止めた。
「春樹さん、今日はお代二人ぶんお支払になりますが…」
「ああ、だな。今払うよ、ご馳走さま。」
「はい。ありがとうございます!」
春樹は思わぬ出費となったが、美奈の天使の笑顔を守れたからよいかと…笑顔で支払いを済ませたのだった。
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