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恋愛編

14話・主との休暇の旅も猫で居ます。

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 遠征から戻ったリュイはハリスの部屋、白猫の姿で窓際からそとを眺めながら、母親のことを思い出していた。

 ベッドにはすやすや眠るハリスがおり、リュイは母親を探す術はないか考えていた。

「母様に会いたい…」

 思わず声がこぼれでて、明け方、眠りから目を覚ましたハリスは窓に背を向けたままリュイの声に静かに耳を傾けた。

 リュイは声を圧し殺すようにいつまでも泣いていた。

     *

 ハリスは数日休暇を取り、その間の討伐の指揮を副隊長に任せリュイを連れて旅行にでたのだった。

     *

「ハリス様、私と旅行だなんてどうしたんですか?」

 白猫のリュイはハリスの前を歩きながら顔だけ見上げて問いかけた。

「リュイの会いたい人を探しに行こう。」
「もしかして…」

ハリスはリュイを抱き上げるととんとんと背中をさすり囁いた。

「手がかりならある。行ってみる価値はあるはずだ。」
「ふにゃあ~ハリス様~。」

 こうしてハリスはリュイを連れて馬車を借り旅に出た。リュイの会いたい人を訪ねる旅へ。

     *   *   *   *   *   *

 最初に訪れたのは、国の境にある町だった。

 エルフとの交流もあるとゆう。町には、妖精が住むと言われている塔があり、捜し物を教えてくれるとか。

 ハリスはそんな噂を聞きつけてこの町にやってきた。

 町についた馬車は止まり、ハリスと猫のリュイは馬車から降り、ハリスは御者にここまでの代金を支払い、御者は手綱を引き、馬車を走らせ去って行った。

「行っちゃいましたね。」
「今日はこの町の宿に泊まるからね、まずは噂の塔探しだ。」

 リュイはちょこんと地面に座り馬車を見送っていると、ハリスはリュイを抱き上げ肩にのせ、てにもつメモをもとに歩き始めた。

 二人はリュイの母の行方を知るため妖精の塔に向かう。

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