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しおりを挟む「さすが…姫様です…まいりました。」
獣人達は戦闘をやめ、パルンを前に深々と頭を下げた。
「姫と一緒におられる方は姫の伴侶でしょうか…ああ、お二人の子ができたらまたお迎えに来るのも良いかもしれませんね。」
獣人達の足元に転移の模様の光の円陣が現れ姿を消した。
パルンは隣にいるシャドーを振り返り、互いに顔を赤くした。
「わっ!師匠、なんかすいません!」
「あ、ああ。伴侶…か。」
「やっ!そこで考えないでください!」
「いや、パルンに愛犬を重ねたのは…何か意味があるのかもしれない。私はこの年まで女性に興味がなかったし…弟子を嫁に迎えるのも良いかもな…パルンの尻尾は実に魅力的だから…」
「わっ!それ以上はセクハラです!」
「クックック、半分冗談だ、領主に報告にゆくぞ。」
「はい!なんて報告するんですか?」
「天空人が人を探しに来たと伝えるよ。で、用が済んで天空に戻ったと。」
「私のことは言わないんですか?」
「黙ってろ、魔導師やれなくなるだろ…命を狙われかねないぞ。」
「それは困ります。」
二人はもと来た道を引き返し岩の割れ目の階段を降りてゆく中、後ろを歩くパルンは足を踏み外しシャドーの背中に抱きつく形に。
「ごめんなさい。転んでしまいました。」
「世話が焼けるな。」
シャドーは後ろへ手を伸ばし背中を差し出した。
「乗れ、おんぶしてやる。」
「え?」
「さっき魔力を使って疲労してるんだ…私はまだ体力があるからな。安心しろ。」
「は…い。」
パルンはシャドーの背中に身を預け、二人は互いの体温を感じ、鼓動をはずませていた。
「師匠の背中温かいです。」
「ああ。」
パルンはシャドーに身を委ねるように顔を首に擦り寄せ甘え、シャドーは嫌がることもなく頬を擦り寄せた。
シャドー思わずその頬に軽くキスをし…恥じらうように顔をそらした。
「お前は私が守ってやるから、勝手に消えたりするなよ。」
「はい…。」
こうして不器用な二人の心は距離を縮め…両思いへと発展した。
魔導師様の愛する可愛らしい弟子はこの先もずっと師匠の側にいることになるのだった。
<おしまい>
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